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2019年4月 8日 (月)

晩春の落ち葉ども

晩春には、常緑広葉樹は葉が茂るに伴い、古い葉をだらだらと落葉し続ける。この時期、3面が道路に面しているわが家は、道路の落ち葉掃除に追われる。

わが家が面する道路のアスファルトは、目の粗い水はけのよい仕様である。家を建てたときに、市の条例に従い1メートルのセットバックを強いられた。セットバックした部分が砂利のままなので、舗装することにした。このとき、アスファルトに種類があるとは知らず、「水はけの良い方にしましょう」という建築会社の担当者の意見に従った。わが家の周りだけが目の粗いアスファルトになった。

アスファルトには、大まかに透水性と排水性の2種類がある。そのほかカラー仕上げや弾力素材を混ぜたりすることもできて、細かく分けると10種類以上もあるそうだ。町の幹線道路は排水性アスファルト仕様で、道路の中央が高く端にいくほど低くなっている。雨が降ると傾斜に沿って道路端の側溝や下水に雨水が流れ込む構造になっている。目が粗い透水性アスファルトは、雨が降るとそのまま染み込むようになっている。

家の正面は、低木のキャラボクを植え、さらにカクレミノを等間隔で10本ほど並べた。裏庭はウバメガシの生垣で囲った。垣根といえば『夏は来ぬ』に出てくる卯の花と思っていたが、「最近、卯の花の垣根は流行っていませんね。落葉樹ですから垣根には向いていませんよ」と、庭師にあっさり却下された。

ウバメガシは備長炭の原料となる硬い木質の雑木で生命力が強く、晩春にはこれでもかというくらい旺盛に落葉を繰り返す。ウバメガシの葉には山なりのカーブがあり、葉脈の先端が尖っている。尖ったところが粗い目のアスファルトに引っかかり、ホウキで掃いてもビクともしないことがある。ホウキの力に逆らい、チリトリとは別の方向に跳ねたりして、まるで意志を持っているかのように反抗的に振舞ったりする。さらに、塀のコンクリートの土台とアスファルトの隙間に刺さった葉は、手でつまんで取るしかない。これを1か月以上続けなければならないのだ。

近くの公園の卯の花が香る頃になると、ウバメガシの垣根に妥協しまったことを後悔する。

 

2019年4月 2日 (火)

そばを打つ

だいぶ前からそばを食べ歩くようになり、そのうちにそばを打ちたくなった。そば打ちの手順は雑誌や本を読んで頭に入れている。水回し、のし、そば切りのコツは、そばを打ったことがない人に説明できるくらいに暗記している。2ヵ月前に郊外の大型ホームセンターに行ったときに、「そば打ちセット」が、そば粉つき、打ち方のDVDつきで売っているのをじっくり見ておいた。

そば打ちセットは、2万7千円である。椀は本物の漆塗りを揃えたいところだが、上級品は腕が上がってから手に入れるとして、この際てかてか光るABS樹脂製で妥協することにした。そばを包む紙は障子紙がいいそうなので、それも購入する。最近の障子紙は破ろうとしてもそうそう破れない強化障子紙が主流であるが、それではなくて舐めた指で突っつけば、穴が開くようなやわなタイプだ。そばを盛る一人前用のざるを5枚購入したし、タコ唐草模様のそば猪口は前から食器棚にある。水は前もって名水で名高い湧き水を汲んで備蓄してある。返しは2週前に作って寝かせているし、本わさびと辛味大根を売っているスーパーも調査済みだ。出汁用に、とびっきりの羅臼昆布も、まあまあの花カツオを揃えた。そば粉は通販で信州の老舗の製粉所から購入した。

さて、そば粉十割でいくか二八にするかだが、これが思案のしどころだった。そばを打つなら十割が本懐だが、難しいらしい。しかし二八じゃ、いかにも軟弱な気がする。悩んだ末に潔く十割でいくことにした。「そばを打つのに十割も二八もそう変わりませんよ」と、知り合いのそば職人が言ったからだ。

そば粉をコップに入れそこに水を入れても、そば粉は水に溶けない。つまり手を加えないとそば粉には水が染み込まないのだ。水回しとはそば粉に水を均等にいきわたらせ、そばの塊を作ることである。天候や気温で水の量を変えるというようなことが言われていて、そば打ちをするまでは大げさと思っていたが、これは本当である。数CCで水っぽくもなるし、乾き気味にもなる。だからそば粉と水の量は計量器で厳密に計っておく。

次は、そばの塊を麺棒で薄く延ばすのしの工程に入る。そばを細くするなら薄く延ばさなくてはならないが、妥協して中太にするなら多少厚くてもいいわけだ。そりゃあ、無論ぎりぎりの薄さに挑戦する。これがどういうわけかあっさり上手くいった。そして、そば切りは細心の注意で幅を極細にそろえる。家族の反応は「まあまあ食べられる」だった。

家族の評判が多少良かったのは初めのうちだけで、そのうちに、またそばなのか、うどん打ったら、スパゲティがいい、などと勝手なことを言うようになった。そして、台所が粉だらけになるとか道具が邪魔だとか、逆風が吹くようになった。そうした評判の悪さもあって、というより、もともと熱しやすく冷めやすい質なので、半年くらいでぱたりとそばを打たなくなった。

先日、久しぶりにそば打ちの道具を手にしたら、長さ60センチ直径3センチほどの麺棒がわずかに弯曲していた。これじゃあそばを打てないな。

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