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2022年4月 4日 (月)

伐採される桜の木

桜前線が日本列島を北上するなか、桜の木が全国的に伐採されるというニュースが流れている。たとえば、2022年3月、横浜市の海軍道路の200日本で最初にラーメンを食べた人物が 余本の桜が、道路の拡張工事に伴い伐採されると報じられた。植樹から約50年が経ち桜は老木となり、昨年は台風により倒木したという。

以前、ソメイヨシノの寿命は30〜40年であるとなにかで読んだことがあり、その短さに驚いたことを覚えている。そこで、ソメイヨシノの寿命を調べてみた。手にとったのは『桜の科学』(勝木俊雄 SBクリエイティブ株式会社 2018年)である。

本書によると、〈染井吉野(本種では漢字で表記)は決して短命ではない。染井吉野の特徴は成長が早いことであり、1年で2メートル以上となり、10年で10メートルに達するという。20メートルくらいになると成長が止まる。成長が止まると、樹木は古い枝を落として新しい枝を出すが、染井吉野はそれがうまくいかないという。古い枯れ枝が目立つようになり、50年くらいで花の鑑賞価値も下がる。そのせいで染井吉野は短命といわれるのではないか。〉ということであった。つまり、50年は寿命ではないが、樹姿がいかにも老木の佇まいになるということである。

桜については忘れられない思い出が二つある。小中学校への通学路は一部が城址の堀沿いであった。そこには20本ほどの桜が植えられていて、新学期になって桜が咲いて、その下を歩くとうきうきした気分になった。花が散り葉桜の緑が鮮やかになり、その後しばらくすると桜の実が落下した。出来損ないのサクランボである。小さな赤黒い硬い実が桜の木の下に散らばるのである。一部は実が潰れ道を汚していた。桜は花と葉桜は美しいが、その後はまるっきり冴えないというのが、子供なりの評価だった。ソメイヨシノはクローンであるから、ソメイヨシノ同士の花粉では結実しないといわれている。堀沿いの桜はソメイヨシノの雑種だったのだろうか。

町の北西を流れる河の土手の桜並木は「長堤十里六千本の桜樹」とうたわれ、市民の自慢だった。しかし昭和41年と42年と2年連続で、豪雨により河の堤防が決壊し、市は甚大な被害を被った。昭和39年から昭和49年かけて行われた河川改修工事とダム建設により、桜の木は一部を残して殆どが伐採された。町を襲った2年続いての水害も衝撃的だったが、桜の木lの伐採も相当にショッキングなことだった。
桜並木は、大正4年(1915年)に分水路完成と大正天皇即位の記念として6000本が堤防に植えられたもので、50年ほど経っていた。その後、河の氾濫は起こらなくなったが、ピンク色の長い帯を見ることができなくなったのは返す返すも残念だ。

プロレスごっこの頃

 

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