書籍・雑誌

2021年11月 7日 (日)

ジュンク堂書店 新潟店

昼休みに、駅南のロック板が上がるコインパーキングに車を停めて、新潟駅に向う。左に行けば、三吉屋のラーメンかブロンコのランチステーキを食べることになるが、今日はジュンク堂が先だ。信号をわたりプラーカ3に入りエスカレーターで地下に降りる。通行人がまばらな地下道を進み階段を上がったところで、万引き防止センサーをヒヤヒヤしながら通り抜け、ジュンク堂のコミックコーナーに入る。コミックの充実ぶりときたら凄いの一言だ。広いコミックコーナーを通り抜け、理工書コーナーを過ぎたところで左に曲がり、喫茶エリアの前にあるエスカレーターで、今度は地上1階に上がる。

キャッシャーの前のベストセラーのコーナーで立ち止まって一瞥する。そこから、左手の文庫と新書の新刊コーナーに行き、そこもさらりと流す。奥に進み、売れ筋の文芸書の棚でランキングを確認し、隣の棚の翻訳ミステリもチェックする。最近、新書を読むことが多いので、右手の新書コーナーでは平積みと立てかけ本(業界では面陳列という)をじっくり吟味する。文庫本は一番奥のハヤカワや創元社のSFとミステリを入念に物色する。うんざりするほどたくさんあるその他の文庫は、あらかじめ買う文庫を決めているときに探索することにしている。というような手順で、圧倒的な品揃えが魅力のジュンク堂に、週に1回は出没している。ちなみに、ジュンク堂は丸善の子会社で、先ほどのエスカレーターを上がったところで、キャッシャーの反対側に行けば丸善の文房具売り場である。

本屋に通うようになったのはいつの頃からだろう。高校生の頃、参考書と称する受験対策本を買ってからだろうか。浪人の頃は予備校が御茶ノ水にあったので、時折帰りは御茶ノ水駅には向かわず、坂を下って神田の古本屋街をうろついた。神田から九段方面に向かい靖国神社の中を通り抜け、飯田橋駅か市ヶ谷駅、ときには足を延ばして四ツ谷駅から中央線に乗って東横線沿線の下宿に帰った。電車だと遠く感じるが、御茶ノ水から四ツ谷までは4キロちょっとだ。古本屋で買った本は、受験勉強そっちのけで読んで、読み終わると古本屋に持っていった。 

最近は、ジュンク堂4、萬松堂2、アマゾン2、蔦屋1、紀伊国屋0.5、くまざわ書店0.5くらいの割合で、本を購入している。かつて、古町商店街に活気を取り戻すため微力ながら貢献しようと、本はできるだけ萬松堂で買うことにしていたが、一向に好転しそうにないので、最近はその気持ちがしぼみつつある。

アマゾンは絶版であっても取り揃えていて、1円で買える本もあり、午前中に注文すれば多くの場合は翌日に届くので、圧倒的に便利だ。利便さを求めるのならアマゾンだろう。しかし本はできれば手にとってページをめくって買うかどうかを決めたい。「いつもお買い上げいただきありがとうございます」と言われた感激に再び浸るためにも、萬松堂での購入に引き続き努力するつもりだが、ジュンク堂の1位の座は揺るがないだろうな。

 

2020年4月14日 (火)

オンデマンド(ぺーパーバック)

アマゾンを探っていると、絶版の本に「オンデマンド(ペーパーバック)」と見慣れない単語が目についた。絶版であるのに中古本の表示がなく、オンデマンド(ペーパーバック)「1新品」となっている。要するに中古本は扱っておらず、定価の約2倍のオンデマンド(ペーパーバック)という仕様の本が1冊あるという意味である。とりあえず購入した。

「オンデマンド(ペーパーバック)」は、POD (プリント・オン・デマンド)ともいう。ネットの書籍マーケットの売り上げは、草食恐竜ブラキオサウルスの横の姿をグラフにした形になっていて、頭部はよく売れるベストセラー本、尻尾は古書や絶版本が相当する。たまにしか売れないが一定の需要はある「ロングテール」の部分に、「オンデマンド(ペーパーバック)」が加わった。

通常の本は出版社が定価を決める「再販制度」に基づいて数千〜数万冊を出版社が印刷して書店におろす。「再販制度」とはメーカーが小売店に対し、商品の販売価格を拘束する制度だ。本、雑誌、新聞、音楽ソフトなどは、全国一律の価格で販売されている。独占禁止法に抵触するとの批判があり見直しが迫られている。
オンデマンド(ペーパーバック)では、注文が入ってから1冊ずつ印刷する。出版社は在庫リスクや保管費用を減らせるほか、絶版となった本もPOD用のデータさえあれば販売できる。
オンデマンド(ペーパーバック)は「再販制度」の対象外で、書店が本の売値を決められる。オンディマンド(ペーパーバック)が威力を発揮するのは、出版部数が少なかった、いわば売れ筋ではなかった本だ。本来なら忘れ去られていく本が何かの理由で多少の需要が出てきたときに活躍する。

さて購入したオンディマンド(ペーパーバック)である。装丁はどことなく海賊版風である。乱暴なことに帯は表紙と一体で印刷されている。さらに、まるで工業製品のようである。どこもかしこも角ばっていて、ページを開くと硬い。1ページずつめくりづらい。ページを開くと硬い紙が開かれまいと抵抗するし、閉じると開きグセがついて開いたままになる。

さて、オンディマンド(ペーパーバック)は、絶版図書を蘇らせる光明なのか、あるいは駆逐されつつある紙文化のはかない灯火なのか、はたまたペーパレス時代の到来を加速するあだ花なのか。

なぜ本の名称に「カッコ」をつけるのか。オンディマンド・ペーパーバックでは不都合があるのか。そんな疑問を抱いていた、たった2週の間に、ペーパーバックで統一された。