宇宙

2022年4月19日 (火)

春の朝

宇宙は猛烈な勢いで膨張しているから、朝起きて昨夜枕元においた目覚まし時計が手の届かない離れたところに移動していたものの、少しも動揺しなかった。壁のコンセントからのコードに繋いだアイホンとiPadも離れたところに移動していた。
猫は同じ和室で籐の長椅子の上で、布団を規則的に上下させて寝ている。

東向きの窓からは、障子越しに陽光が差し込んでいる。障子を開けて眼下の裏庭に目をやると、昨日、ウバメガシの木に鳥の巣箱を設置したことを思い出した。枝に乗せて3箇所を紐で幹と枝にくくりつけた。一番下の枝に乗せたので、2階から見ると葉に隠れて巣箱がよく見えない。庭全体を見渡すと、なんだか少し裏庭が広くなったような感じがした。

今朝は気温が下がっているので小鳥たちの姿は見えないが、ふと、堀口大学が訳したローバート・ブラウニングの詩『春の朝』が思い浮かんだ。
「時は春、日は朝(あした)、朝は七時(ななとき)、片岡に露みちて、揚雲雀(あげひばり)なのりいで、蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。」

今日は、松食い虫駆除の薬散布が近くの松林で行われる。回覧板には松林への接近厳禁のお触れが市から出ていた。もう少しすると、噴霧機のモーターが動き出して、やかましい音を立てるはずだ。
枕元においたペットボトルが1メートルほど向こうに転がっているが、当たり前だ。宇宙は膨張し続けているのだ。