『万葉集から古代を読み解く』『がん免疫療法とは何か』『ミゲル・ストリート』『ポピュリズムとは何か』
5月25日(SAN)☀ ジュンク堂
『万葉集から古代を読み解く』上野誠 ちくま新書 2017年
「令和」という年号が『万葉集』から生まれたということで、『万葉集』関連本は脚光を浴びている。本書の著者がテレビに出ていたが、エンターテイメント性があるおしゃべりな人物だった。内容は、「令和」に絡んで『万葉集』の魅力を語ったものだった。
本書は、2017年の発刊で「令和」が決まってから書かれたものでないというところがいい。『万葉集』を扱った新書として、内容がざっくばらんそうだ。なんてったって、出だしは話題のアニメ映画『君の名は』だ。
ごく最近、著者は『令和』というそのままのタイトルの万葉集の解説本を出した。そっちがなにかと馴染めそうだから、それも買うことにしよう。著者のテレビへの露出も多くなるだろうから、『令和』はベストセラーにのし上がるな。
と思ったら、勘違いだった。2014年発刊の『万葉の人びと』という新書に、「令和」と大きく書いたカバーを被せた、いわば改元に便乗して厚化粧したものだった。詐欺すれすれ。
筑摩書房
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『がん免疫療法とは何か』本庶 佑 岩波新書 2019年4月
著者は、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」の開発の基礎となる研究で、2018年のノーベル賞医学生理学賞を獲得した。免疫機能にはアクセルとブレーキを促すメカニズムがあり、がんは免疫細胞の活動にブレーキがかかっているから増殖するにであり、ブレーキの機能を解除することにより、がん細胞を攻撃するリンパ球の活動性を賦活するという機序。(→レヴューはこちら)
『ミゲル・ストリート』V・S ナイポール 岩波文庫 2019年4月
ほのぼの漫画を読んでいるような感覚に浸れる。
舞台はイギリスの植民地だったトリニダードトバコ、1940年代だ。
本書が処女作の作者はノーベル文学賞を受賞(2001年)している。
朴訥で寡黙な文章で個性的な世界観が形成されている。饒舌さに飽きたときはこれだ。
岩波書店
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『ポピュリズムとは何か』水島治郎 中公新書 2016年
ポピュリズムは「大衆迎合主義」と訳すものだと思っていたが、そう単純ではないらしい。第一の定義は、固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に直接訴える政治スタイルをポピュリズムととらえる。
第二の定義は、人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動。上のエリートたちを下から批判する。本書では後者の定義を採ることにしている。
エリートと人民の対立とする政治運動をポピュリズムとする。
現在、世界各地を揺るがしているポピュリズムは、エリート批判を中心とする下からの運動に支えられてる。
中央公論新社
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