« 『マーチ家の父 もうひとつの若草物語』 | トップページ | 『エミール』『米中メガテック競争戦略』 »

2019年5月30日 (木)

『万葉集から古代を読み解く』『がん免疫療法とは何か』『ミゲル・ストリート』『ポピュリズムとは何か』

5月25日(SAN)☀ ジュンク堂

万葉集から古代を読み解く』上野誠 ちくま新書 2017年
「令和」という年号が『万葉集』から生まれたということで、『万葉集』関連本は脚光を浴びている。本書の著者がテレビに出ていたが、エンターテイメント性があるおしゃべりな人物だった。内容は、「令和」に絡んで『万葉集』の魅力を語ったものだった。
本書は、2017年の発刊で「令和」が決まってから書かれたものでないというところがいい。『万葉集』を扱った新書として、内容がざっくばらんそうだ。なんてったって、出だしは話題のアニメ映画『君の名は』だ。
ごく最近、著者は『令和』というそのままのタイトルの万葉集の解説本を出した。そっちがなにかと馴染めそうだから、それも買うことにしよう。著者のテレビへの露出も多くなるだろうから、『令和』はベストセラーにのし上がるな。

と思ったら、勘違いだった。2014年発刊の『万葉の人びと』という新書に、「令和」と大きく書いたカバーを被せた、いわば改元に便乗して厚化粧したものだった。詐欺すれすれ。

万葉集から古代を読みとく (ちくま新書1254)
上野 誠
筑摩書房
売り上げランキング: 90,200

 

がん免疫療法とは何か』本庶 佑 岩波新書 2019年4月
著者は、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」の開発の基礎となる研究で、2018年のノーベル賞医学生理学賞を獲得した。免疫機能にはアクセルとブレーキを促すメカニズムがあり、がんは免疫細胞の活動にブレーキがかかっているから増殖するにであり、ブレーキの機能を解除することにより、がん細胞を攻撃するリンパ球の活動性を賦活するという機序。(→レヴューはこちら

がん免疫療法とは何か (岩波新書)
本庶 佑
岩波書店
売り上げランキング: 2,264

 

ミゲル・ストリート』V・S ナイポール 岩波文庫 2019年4月
ほのぼの漫画を読んでいるような感覚に浸れる。
舞台はイギリスの植民地だったトリニダードトバコ、1940年代だ。
本書が処女作の作者はノーベル文学賞を受賞(2001年)している。
朴訥で寡黙な文章で個性的な世界観が形成されている。饒舌さに飽きたときはこれだ。

ミゲル・ストリート (岩波文庫)
V.S. ナイポール
岩波書店
売り上げランキング: 56,695

 

ポピュリズムとは何か』水島治郎 中公新書 2016年
ポピュリズムは「大衆迎合主義」と訳すものだと思っていたが、そう単純ではないらしい。第一の定義は、固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に直接訴える政治スタイルをポピュリズムととらえる。
第二の定義は、人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動。上のエリートたちを下から批判する。本書では後者の定義を採ることにしている。
エリートと人民の対立とする政治運動をポピュリズムとする。
現在、世界各地を揺るがしているポピュリズムは、エリート批判を中心とする下からの運動に支えられてる。

ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)
水島 治郎
中央公論新社
売り上げランキング: 21,686

 

« 『マーチ家の父 もうひとつの若草物語』 | トップページ | 『エミール』『米中メガテック競争戦略』 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

古典」カテゴリの記事

医学」カテゴリの記事

翻訳」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『マーチ家の父 もうひとつの若草物語』 | トップページ | 『エミール』『米中メガテック競争戦略』 »

2024年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のコメント

無料ブログはココログ