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2019年12月

2019年12月27日 (金)

『リベラル・デモクラシーの現在』『パンティオロジー』『さいはての中国』

12月27日(金)☔ ジュンク堂

『リベラル・デモクラシーの現在』
井口陽一(Iguchi Youichi) 岩波新書 2019年12月
まずは定義を。デモクラシーは、公けのことや公けのもの、つまり選挙である。
リベラルは基本権、思想の自由、表現の自由のことである。その両方のゆるい意味で含んだものとしてのリベラル・デモクラシーである。
いまや、イリベララル・デモクラシーという言葉が使われるに至った。
デモクラシーの崩壊をどうとらえるかを語る。

 

 

『パンティオロジー』
秋山あい 集英社インターナショナル 2019年11月
著者はパンティの写実的なイラストを描いている。そう自己紹介して、相手にセクシー、リラックス、お気に入りの3枚を選んでもらい、パンティにまつわる思いを語ってもらう。夫や交際相手のことも訊ねていて、生々しい私生活が見えてくる。
国籍も人種も、年齢もバラバラ。著者はフランスと日本を行き来しているので、日本人とフランス人が多いが、アメリカ、イタリア、ポーランド、イランなど多岐に渡る。著者が命名したパンティオロジーという造語は風格がある。
帯の「パンティは女心の充電器である」。的確だ。匹敵するしっくりくるフレーズをひねり出したい。「パンティは女性のオンオフのスイッチだ」はどうだろう。


パンティオロジー

パンティオロジー
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秋山 あい
集英社インターナショナル
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『さいはての中国』
安田峰俊(Yasuda Minetoshi)小学館新書 2018年
著者は中国人になりすまし中国人の街と化した西川口駅南西部の繁華街に乗りこむ。普通の日本人では見られない街の裏側をのぞくためだ。
中国国内外の中国的に腐った場所や毒を含んだ場所、中国らしい個性に溢れた場所に潜入した。中国に関する行かないほうがいいような場所のルポルタージュだ。中国には道理が通らない怖さを感じる。


さいはての中国(小学館新書)

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2019年12月24日 (火)

『拳銃使いの娘』

12月24日(火)☁ ☔ くまざわ書店

『拳銃使いの娘』
ジョーダン・ハーバー/鈴木恵 早川書房 2019年
本書は、2020年度版『このミステリーがすごい!』の海外編の2位を獲得した。
また、2017年アメリカ探偵作家クラブ賞(MWN賞、エドガー賞)の処女(新人部門)長編賞を受賞している。解説によると父親と娘の組み合わせは、『子連れ狼』からヒントを得ているという。

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2019年12月18日 (水)

『 21世紀の啓蒙 上』

12月18日(水) ☔ くまざわ書店

『21世紀の啓蒙 上』
スティーブン・ピンカー/橘明美+坂田雪子 草思社 2019年12月
現状と将来を否定する本ばかりでうんざりしている人は多いだろう。
本書は、総論で見れば、人間が住む世界は良くなっているとしている。
啓蒙主義は、時代遅れの能天気な思想と捉えられる傾向にあったが、素直で健康的な啓蒙思想の功績をデーターで示すという内容である。


21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩

スティーブン ピンカー
草思社
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2019年12月13日 (金)

『11月に去りし者』

12月13日(金)☁  くまざわ書店


11月に去りし者 (ハーパーBOOKS)

11月に去りし者
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ルー・バーニー/加賀山卓朗
ハーパーBOOKS
2019年9月 ✳︎9
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パルモア・レナードを彷彿とさせるノアール小説。
『このミステリがすごい』では海外部門6位、『週刊文春』では20位と、評価が分かれているのはなぜだろう。
20位というのは、あまりにも低すぎではないか。

ケネディ大統領暗殺の黒幕との疑いがある実在の人物カルロス・マルチェロは、暗殺に関わった人物を次々と殺していく。
ケイジャン人のギドリーは犯人逃走用の車を手配しただけだった。車を処分した男が殺された。ギドリーは自分に魔の手が及ぶと予測し、カリフォルニアに向かう。

一方、オクラホマの田舎町でふたりの幼い娘を抱え、飲んだくれの夫に悩まされているシャーロットは、ある日決断した。娘と病気の犬を車に乗せてサンフランシシスコに住むおばの家に向かった。

本来なら絶対に接点を持つことのない二人、ニューオリンズのチンピラとオクラホマの主婦が出会い、そこにチンピラを追う殺し屋が加わる。

ところで、本作はアンソニー賞、バリー賞、マカヴィティ賞、ハメット賞の4冠に輝いた。それぞれの賞は、次のような賞(wikiより)。
アンソニー賞は、1986年からミステリの世界大会バウチャーコンにおいて推理作家らに贈られる文学賞。アメリカ探偵作家クラブの創設者の1人であるアントニー・バウチャーに因んで名付けられ、毎年秋に異なる都市で開催される。

バリー賞は、1997年からアメリカの季刊推理雑誌『デッドリー・プレジャーズ 』の編集者らによって授与されるミステリの賞。2007年から2009年には『ミステリー・ニュース』の出版と合わせてバウチャーコンの会場で受賞作が発表された。賞の名は、アメリカの批評家、バリー・ガードナーにちなむ。

マカヴィティ賞は、国際ミステリ愛好家クラブが主催する推理小説の賞。同団体のメンバーによって候補作・受賞作が決められる。賞の名はイギリスの詩人T・S・エリオットの著作『キャッツーオポッサムおじさんの猫とつき合う法』に登場する猫にちなむ。

ハメット賞は、国際推理作家協会北米支部が、アメリカ及びカナダの優れた推理小説やノンフィクション作品に授与するミステリの文学賞。賞の名は作家ダシール・ハメットに由来する。

2019年12月 7日 (土)

『イヴェリン嬢は七回殺される』『世界の危険思想』『革命と戦争のクラシック音楽』

12月7日(土)☀ ジュンク堂

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イヴェリン嬢は七回殺される

ステュアート・タートン/三角和代
文藝春秋
2019年8月

 

週刊文春の「ミステリー・ベストテン2019」で、海外部門第2位。第1位はダントツでアンソニー・ホロヴィッツの『メインテーマは殺人』。
2位となれば購入せざるを得ないだろう。これから2019年の種々のミステリ・ランキングを頼りにして、購入することになる。
以下は、表紙の折り込み部分のサマリー、ほぼそのまま。
館で夜に催される仮面舞踏会に招待された客が集まっていた。その夜にイヴリン嬢が殺され、その謎を解かない限り延々と同じ朝に戻ると、主人公の耳元でささやき声がした。タイムループから逃れるためには、真犯人を見つけるしかない。真犯人を追い求めながら人格転換をするという人物が、主人公の他にもいるという、奇妙で大胆な設定でストーリーは展開する。

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世界の危険思想

丸山ゴンザレス
光文社新書
2019年5月



ジャーナリストの著者は、日本や海外の裏社会やスラムや治安が悪いとされる場所を取材してきた。著者の強面の面構えは、本書を書くにふさわしい。危険な地区では、現地の人間に間違われるという。
そこで出会った悪い人たちの頭の中ってどうなっているのかと思うことが何度かあったという。そうした危険な考え方の根幹の理解に近づくことが目的である。
ジャマイカで殺し屋に会う。その日暮らしに困るような貧乏人。クライアントから電話が入る。クライアントが恥をかかされた女を殺して欲しいという依頼だ。引き受けたというが実行されたかは不明。
依頼者と実行者どちらが本当に恐ろしいのか?
殺人を生業としなければならない人の頭の中はどうなっているのだろうというのが著者の知らせたいことなのだ。

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革命と戦争のクラシック音楽

片山杜秀(Ktayama Morihide)
NHK出版新書
2019年9月



戦争と芸術は両立しないというが、戦争を描写し、時には兵士を鼓舞してきた。戦争と芸術は互いを刺激する関係性がある。
音楽はあらゆる芸術の中で特に戦争や暴力との関わりが深いという。
軍隊が攻めるとき、一死攻撃にしたって、一斉射撃にしたって、リズムをとっての合図が必要だ。雄叫びと打楽器の響きは、攻撃開始の合図だ。

2019年12月 6日 (金)

『イザベラ・バードと日本の旅』『朝鮮紀行』

12月6日(金)☔ アマゾン

GAFA関連の本を読んでから、ネットでの買い物は極力控えてきた。『イザベラ・バードと日本の旅』『朝鮮紀行』は、どちらも絶版にてやむなくアマゾンに頼る。
イザベラ・バードについて、いずれ何かを書きたいと思っている。

 Photo_20191209142801イザベラ・バードと日本の旅

金坂清則
平凡社新書
2014年


 

著者はイザベラ・バードを科学的に研究してきたという。英国のヴィクトリア王朝時代に世界を旅したヴィクトリア・レディー・トラベラーの一人であるバードの日本の旅を解説する。病弱だと言われたバードが、開国して11年しか経ってない日本をどう旅したのか。著者は「科学的に」という言葉を使う。「科学的に」とは、バードの書いた『日本奥地紀行』を、関連文献に当たり、日本の当時の情勢や果ては世界情勢との関連の中で、エビデンスを確認しながら論じるということだ。

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朝鮮紀行

イザベラ・バード/時岡敬子
講談社学術文庫
1998年

 

 

助言者と指導者の役割を担っていた清国軍が撤退して日本がその役目を引き継いだが、今はロシアの保護のもとに継続されている。1894年1月から1897年3月にかけて、バードは4回朝鮮を訪問している。朝鮮という国はついた当初は嫌悪感をいだくが、それを乗り越えると、例外なく心を惹かれるという。
キリスト教布教が成功した国であるから、イギリス人にとって、悪い居心地ではなかったのかもしれない。

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