1988年

『ダーティハリー5』

ダーティハリー5 [DVD]
ダーティハリー5 [DVD]
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The Dead Pool
監督:バディ・ヴァン・ホーン
脚本:スティーヴ・シャロン
音楽:ラロ・シフリン
アメリカ 1988年 90分 ★★★★☆

本作では、ハリー(クリント・イーストウッド)がマスコミから賞賛を受けるという今までになかった出だしで始まる。
サンフランシスコ市警のハリー刑事は賭博の元締めジャネロを逮捕した。その事件がテレビで放映されハリーは一躍有名人となる。そのテレビ画面をじっと見つめる人物は、「死亡予想(Dead Pool)」と記された人名リストに、ハリーの名を付け足す。その夜、ハリーは高速道路のランプでジャネロの手下に機関銃で襲われるが、44口径マグナムで、3人を殺し難なく切り抜けてしまう。
例によって上司から派手な銃撃戦の小言を食らうが、ハリーはまったく意に返さない。
本作の相棒は中華街でチンピラとして鳴らした中国系のクアン。彼はカンフーの使い手である。

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いよいよ本題の事件が起きる。
B級ホラー映画の撮影現場で主演のロック・アーティストが、麻薬の多量摂取で殺される事件が起きる。そこに駆けつけたのは、若かりし日のパトリシア・クラークソンが演じるテレビキャスター役のサマンサ。彼女は老け顏だ。彼女は「時の人」であるハリーにインタビューを試みるが、軽くあしらわれてしまう。

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ハリーとはクアンは中華街のレストランで強盗事件に遭遇し、強盗を倒すが、強盗の撃った流れ弾にあたり男が死亡する。その男は、麻薬の過剰摂取で死んだロック・アーティストが出演していた映画の経理担当だった。男は手には「死亡予想」の紙が握られていて、ハリーの名も書かれていた。

 

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ハリーは、一連の事件の中心人物である、ホラー映画を撮影している映画監督のピーター・スワン(リーアム・ニーソン)に接触するようになる。その間にもリストに書かれた人物が殺されていった。

 

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あるとき、ハリーとクワンが乗った車が爆薬を積んだリモコン・カーに追われ、クワンが重傷を負ってしまう。このリモコン・カーは驚異的なスピーで走るのだ。
やがて犯人は、監督の狂信的なファンで精神異常のハーラン・ロック(デイヴィッド・ハント)であることが分かる。

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ロックはサマンサを手にかけようとしていた。
ハリーは、ロックに人質として取られたサマンサを助けるために愛銃マグナム44を手放さざるをえなくなるが、最後は巨大な捕鯨砲をロックにぶち込むのだった。
「5」にて、ダーティー・ハリー・シリーズは終結する。→ブログランキングへ

 

ダーティハリー Dirty Harry』1971年
ダーティハリー2 Magnum Force』1973年
ダーティハリー3 The Enforcer』1976年
ダーティハリー4 Sudden Impact』1983年
ダーティハリー5 The Dead Pool』1988年

『存在の耐えられない軽さ』

存在の耐えられない軽さ [DVD]
The Unbearable Lightness of Being
監督:フィリップ・カウフマン
脚本:ジャン=クロード・カリエール/フィリップ・カウフマン
原作:ミラン・クンデラ
音楽:レオシュ・ヤナーチェク
アメリカ  1988年  171分 ★★★★☆

1968年のチェコ事件を背景に、ミラン・クンデナが書いた同名の世界的ベストセラー小説の映画化。 激動の時代に翻弄された若い男女が描かれている。「チェコ事件」は、チェコスロバキアの民主化、自由主義化運動「プラハの春」に対して、ソ連が指揮するワルシャワ条約機構軍がプラハに侵攻して、やがてチェコ全土を占領し民主化が制圧された事件である。

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腕のいい脳外科医のトマシュ(ダニエル・デイ=ルイス)は、女にすぐ手を出すプレーボーイである。画家のザビーナと深い関係にある。
そのトマシュは郊外の病院へ出張に出かけたときに、ウェートレスのテレーザ(ジュリエット・ビノシュ)に話しかける。それがきっかで、トマシュとテレーザは結婚する。原作では、トマシュがテレーザに一目惚れしたことになっている。

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ふたりは犬を飼い、テレーザが読んでいた『アンナ・カレーニナ』にちなんで、犬にはカレーニンと名付けた。

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やがてワルシャワ条約機構軍がプラハに侵攻してくる。
チェコ語でカヴァーされたビートルズの『ヘイ・ジュード』が流れる中、戦車が人々の抵抗を抑え込んでいく場面が描かれる。当時チェコでは『ヘイ・ジュード』が自由主義化運動のシンボリックな曲として歌われていた。

テレーザは、侵攻の様子を写真に撮りネガを外国人に手渡し、世界に知らせようする。人々の抵抗にもかかわらず、ソ連の締めつけは厳しくなり反対する者は弾圧された。
そんな状況にたまりかねたサビーニはジュネーブに逃れ、やがてトマシュとテレーザも続いた。

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「存在の耐えられない軽さ」というフレーズは、疎開先のジュネーブでも変わらず女を追いかけ回し、刹那的に生きるトマシュに対して、テレーザがぶつけたフレーズである。そうした軽い夫に、テレーザは将来が不安だといって、疎開先のスイスからソ連監視下のプラハにカレーニンを連れて舞い戻ってしまう。
それを追いかけてトマシュもプラハに戻るが、かつてオイディプスの神話にひっかけて書いた共産主義批判の論文がソ連当局の目に留まり、内容を撤回するよう圧力がかかる。しかし、腹をくくったトマシュは拒否する。トマシュは重い選択をしたのだった。このことで、脳外科医としての仕事が奪われてしまう。
ふたりは田舎に引っ越して自然の中でゆったりとした農家の暮らしをする。

一方、ザビーナは妻と離縁して彼女に求愛する大学教授を振り払って、アメリカに渡った。人とのしがらみを避けて、軽い生き方を選択したわけである。ある日、カリフォルニアで芸術活動を続けるザビーナのもとに、プラハから悲報が届く。トマシュとテレーザが事故死したと書かれてあった。→ブログランキングへ

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ミラン・クンデラ
集英社
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『告発の行方』

若い男が道路沿いの公衆電話から、「レイプしている。男が3~4人、いやもっといる!」と警察に通報する。そのあとにバーから走って出てきた半裸の若い女性サラ(ジョディ・フォスター)が、通りすがりの車を止めて乗り込む場面から、この映画は始まる。
本作品で体当たりの演技を見せたジョディ・フォスターは、第61回アカデミー賞主演女優賞を獲得した。

告発の行方 [DVD]
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The Accused
監督 ジョナサン・カプラン
脚本 トム・トーパー
音楽:ブラッド・フィーデル
アメリカ 1988年  111分 ★★★★★



サラの事件を担当するのは、地方検事補キャサリン・マーフィ(ケリー・マクギリス)。彼女は、サラと保安官のダンカン(テリー・デイヴィッド・ムリガン)を伴ってバー乗りこみ、そこでレイプ犯の3名のうち2名を確認する。もうひとりの大学生ボブは帰宅していた。

キャサリンの服装は、バブル期の象徴である肩パット入りのスーツ、上背もあるので、いかにもやり手で頼りになりそうだ。一方、家でくつろぐサラは、「阪神タイガーズのハッピ」を羽織っていた。
なんでサラがタイガースのハッピを着ているのだろう?吉田監督のもとで、阪神が巨人戦でバース・掛布・岡田のバックスクリーン3連発で勢いに乗り、ペナントレースを制し、西武を下して日本一に輝いたのは1985年。本作の公開が1988年、阪神のハッピの旬は過ぎているが、撮影中は優勝の余韻が残っていたのかもしれない。日本のプロ野球通でタイガーズファンのスタッフがいたのだろう。

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レイプを告発する決意をしたサラだったが、酔っ払ってマリファナを吸っていたし、男たちを挑発するかのような行動をとっていた。サラにとって有利な証拠はない。キャサリンはレイプでの告訴を諦め、傷害罪で裁定取引きをし、3人には禁固刑が下された。しかし、あくまでレイプでの告訴を望んだサラは失望し、キャサリンを責めるのだった。

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ある日、ショッピングセンターで、バーでレイプを煽った男クリフ(レオ・ロッシ)と出会い、あの夜のことを執拗にからかってきた。我慢ができなくなったサラは、その男のトラックめがけて何度も自分の車をぶつけ自らも入院するようなケガを負うのだった。

サラを見舞ったキャサリンは、レイプを煽った男たちを「暴行教唆」の罪で告発することを決意する。しかし上司は、前例がない「暴行教唆」での告訴は勝ち目がないとキャサリンを諭すが、検事補としてのキャリアに箔をつけるチャンスと踏んだ彼女は、一か八かの賭けに出る決意をする。

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キャサリンは、警察に通報してきた大学生のケン・ジョイス(バーニー・カールソン)を探し出し証言を求めるが、彼は収監されている同僚のボブをかばい真実を話そうとしない。
立証が難しいと言われるレイプ事件、しかも麻薬所持の前歴があり、同夜、酒に酔いマリファナを吸っていたサラには、ケンの証言がなければ勝ち目はない。ケンが語った事件の全容は、陪審員に「有罪」の結論を出させるのだった。

ハッピーエンドで終わるが、サラに裁判長からの一言があるべきだろう。「今後、男を挑発するようなことは厳に慎むように!いいね、サラ」と。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 』(マイケル・サランデル著)で扱われそうな問題がある。
警察に通報はしたものの、ケンはレイプを止めようとしたわけでなく傍観していた。その後ろめたさがケンに証言させたのだろう。しかし友人を売ったのは事実だ。
ケンの立場だったら、証言に応じるか拒否するか、どうする?という問いには、簡単には答えられない。

アメリカの司法省によれば、2010年に発生した強姦件数は18万8380件となっている。しかし実際に強姦被害に遭った女性は、その約10倍いるという。因みに日本では1402件(2009年)である。ブログランキングへ

【ジョディー・フォスター出演作品】(サイト内リンク)
おとなのけんか(11年)
フライトプラン(05年)
告発の行方(88年)
タクシー・ドライバー(76年)

『バード』

バード [DVD]
バード [DVD]
posted with amazlet at 12.05.03
Bird
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジョエル・オリアンスキー
製作総指揮:デヴィッド・ヴァルデス
音楽:レニー・ニーハウス
製作国:アメリカ  1988年

その後、ニューヨークのクラブで自ら創始したアドリブ主体のビ・バップが、少しずつ観客に受け入れられるようになる。
その頃、彼はダンサーのチャン(ダイアン・ヴェノーラ)と出会い、やっとの思いで彼女のハートを射止めた。

やがてバードのよき理解者ディジー・ガレスピー(サミュエル・E・ライト)とともに西部に進出するが、受け入れられなかった。
失意のうちに、彼は酒浸りとなり入院する。
そんな彼が再びニューヨークで仕事に就けたのは、チャンが仕事探しに奔走したおかげだった。
1949年は、バードにとって飛躍の年となった。
パリでのコンサートは成功し、ニューヨークでもバードの演奏に観客は熱狂した。
さらに、白人トランペッター、レッド・ロドニー(マイケル・ゼルニカー)をバンドに入れ、南部の演奏旅行で成功を収めた。
しかしレッドが麻薬所持で逮捕され、ニューヨークでは仕事がほとんどできなくなってしまう。

このころからバードに不運がつきまとうようになる。
娘が亡くなり、その半年後に失意のあまり自殺を図るが、病院に運ばれ事なきをうる。
彼は仕事を見つけようといつも奮闘しなければならなかった。
ところが、いやがらせをし金を巻き上げようとする悪徳警察官にしょっちゅう追い回されていた。
その頃ニューヨークではやり始めたロックンロールのあまりの幼稚な音楽性に、深い失望を感じる。

ドラッグとアルコールでボロボロになったバードは、ジャズ男爵夫人と呼ばれるパノニカ(ダイアン・ヴェノーラ)が暮らすニューヨークのホテルで息をひきとった。 34歳だった。パノニカもバードのよき理解者であった。
→ 【2011.11.26】『ジャズに生きた女たち』 中川ヨウ