1990年

『推定無罪』

推定無罪 [DVD]
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Presumed Innocent
監督:アラン・J・パクラ
脚本:フランク・ピアスン/アラン・J・パクラ
原作:スコット・トゥロー
アメリカ  1990年  127分 ★★★★☆

ラスティ・ザビッチ(ハリソン・フォード)は地方検事局の主席検事補。
妻のバーバラ(ボニー・ベデリア)は数学の博士論文を仕上げるのに何年もかかっていて、いまも大学の研究室に通っている。

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検事局に若い美人女性検事補キャロリン(グレタ・スカッキ)が赴任してくる。ラスティはキャロリンに仕事の協力を求められ、やがて彼は彼女と関係を持ってしまう。これは、出世欲旺盛なキャロリンの罠だ。ラスティはその罠にまんまとはまり、キャロリンに入れあげてしまう。

ある日、キャロリンが全裸で後ろ手に縛られ、鈍器で頭部を殴られた死体で発見される。
折りしも地方検事選挙戦の真っ最中。現職の地方検事レイモンド・ホーガンは、事件を無事解決して選挙戦を有利にしようと、ラスティにこの事件を任せることにした。
ラスティが調査を進めるうちに、彼女が検事局の何人もの男性たちと関係を持っていることがわかってくる。
さらに、彼女が担当した過去の事件に操作が加えられたような不審な点が出てくる。

ここで日本と異なるアメリカの地方検事について確認してみる。
アメリカの地方検事は4年ごとに住民の選挙で選ばれ、その検事が検事補を任命して訴訟を担当させる。
検事は選挙で選ばれるため、マスコミに注目されるような事件を担当し、住民感情に沿うような判決が下されれば知名度が上がり、ゆくゆくは議員になる可能性が出てくる。検事は政治家としての側面が強い。

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現場にあったコップからラスティの指紋が採取され、被害者の体内に残されていた精液の血液型はラスティのものと一致し、彼は逮捕される。
ラスティが弁護を依頼したのは、仕事上でこれまでに散々手を焼いてきたやり手弁護士。
キャロリンはレイモンドとも関係を持っていた。地方検事選挙での再任を目指すレイモンドは、当然のことながらラスティに見切りを付ける。これでラスティはますます不利な状況に追い込まれていく。

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ところが、決定的な物的証拠のコップが保管庫からどこかに消えてしまうという、とんでもないことが起こる。なんという杜撰な管理だろう。
決定的な証拠がなくなった今、黒人の裁判長はあくまで中立の立場を貫き、ラスティを犯人に仕立てようとする検察側の強引な手法に異議を唱え、裁判の無効を宣言してしまう。

最後になって、意外なところから被害者の血と髪の毛がついた凶器が出てきて真犯人がわかるのだが、このストーリーのどこが推定無罪なんだという疑問が残る。 映画(全般) ブログランキングへ

『虚栄のかがり火』

虚栄のかがり火 [DVD]
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The Bonfire of the Vanities
原作:トム・ウルフ『虚栄の篝火』
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:マイケル・クリストファー
音楽:デイヴ・グルーシン
アメリカ  1990年

飲んだくれ新聞記者のピーター・ファロ(ブルース・ウィリス)が、語る形でストーリーが進む。
世の中が浮かれていたバブル絶頂期、マッコイ(トム・ハンクス)は、1日に100万ドルを稼ぎ出すウォール街のエリートトレーダー。彼は自分がこの世の支配者であると思い上がっている。

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ある夜、不倫相手のマリア(メラニー・グリフィス)と車でブロンクスに迷い込み、黒人の少年を轢いてしまう。少年は病院に収容され昏睡状態になる。運転していたのはマリアだった。マッコイは警察に報告しようと促すが、マリアは意に介さない。
マリアの高齢の夫は彼女の浮気を公認しているから、マリアは不倫が生き甲斐のようなユルユルの女である。

黒人のべーコン牧師は、白人が黒人を轢いても警察は何もしないと批判し黒人たちの不満を煽ることに躍起となっている。
一方、NY市長選に立候補しようと目論む検事エイブ・ワイス(F・マーリー・エイブラハム)は、白人エリートが黒人少年の轢き逃げ事件で有罪になれば、黒人票を獲得できると踏んで強引に捜査を進める。
やがて車の持ち主であるマッコイが逮捕される。
マッコイは保釈されるものの、妻のジュディ(キム・キャトラル)から離婚を突きつけられ、会社からは解雇され、高級マンションから追い出される。天国から地獄に突き落とされたようなものだ。

ブロンクスの法廷は黒人の傍聴人で埋めつくされている。
傍聴人たちはマッコイが不利になれば歓喜の声を挙げ、有利に傾くとブーイングする。
問題は、黒人少年を轢いたとき誰が車を運転していたかだ。
マリアは猫なで声で、運転していたのはマッコイで、警察に連絡するように進言したのに無視されたと、嘘の証言するのだった。
そのとき、マッコイはニンマリと笑って、本来は証拠として認められない事故についてのふたりの会話の盗聴テープを法廷内に流した。
裁判官レオナルド・ホワイト(モーガン・フリーマン)は、盗聴テープを証拠と認め無罪判決を下す。

裁判の結果に騒然とする法廷を、レオナルドは木槌をガンガン叩いて「シャラップ」を連呼して鎮め、「やいやい、てめーら、いい加減にしろ」とは言わなかったが、大見得を切る。この映画の見所は、モーガン・フリーマンがしゃがれ声で傍聴人たちに語るこの場面だろう。すっかり、主役を食っちゃている。

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君たちに正義とは何か教えよう。正義とは法である。法とは、人間の品格 "decency" の原則を定めようとするささやかな努力だ。それは取引でも、金儲けでも、人を騙すペテンでもない。品格、それはおばあちゃんから教わるものだ。君たちの心の一部だ。さあ、家に帰りたまえ。帰って品格ある人間になりなさい。節度ある生き方に立ち戻りなさい」とモーガンは言う。
そう言われると、遠い昔にばあさんから品格のようなものを教わったような気がする。

ピーターは本事件を書き上げピューリツアー賞を受賞する。
欲にまみれたバブル期に、強欲な気持ちになったことを反省しなさいという教訓に満ちた映画だ。そんなわけないか。