1992年

『ゆりかごを揺らす手』

住み込みのベビーシッターが、自分を信じ切っている夫婦に復讐するというサスペンス。
患者に対するわいせつ行為で、婦人科医が妊婦たちから訴えられて自殺する。
その妻ペイトン(レベッカ・デモーネイ)は、夫の自殺と頼みの遺産の没収で、ショックのあまり流産し子宮を摘出されてしまう。一方、婦人科医を告発したクレア(アナベラ・シオラ)は無事に男の子を出産する。

ゆりかごを揺らす手 [DVD]
The Hand That Rocks the Cradle
監督:カーティス・ハンソン
脚本:アマンダ・シルヴァー
音楽:グレーム・レヴェル
アメリカ  1992年  110分 ★★★★★

そして6ヶ月後、復讐を思い立ったペイトンは住み込みベビーシッターとしてクレアに雇われ、赤ん坊と幼い娘エマの世話をすることになる。ふたりの子供はまるで人質に取られたようなもの、このドメスティックな状況が不安感を一層かきたてる。

__2

ペイトンは赤ん坊に自らの母乳を与え、エマにはクレアに禁止されていることを許可して手なずける。母乳を与えている現場を使用人のソロモン(アーニー・ハドソン)に見られ、ペイトンはソロモンにロリコン趣味の濡れ衣を着せて、解雇に追い込んでしまう。社会福祉センターから派遣された黒人のソロモンは、少しIQが低いのだが、必ずこの家族を守ると誓うのだった。
さらにクレアの夫マイケル(マット・マッコイ)の論文を破棄して、クレアに持病の喘息発作を起こさせる。
また、マイケルのかつての恋人マリーン(ジュリアン・ムーア)を焚きつけて浮気を画策し、夫婦の間に波風を立たせようする。こうして、ペイトンの思い通りに、ことはじわりじわりと進んでいくのだった。
ペイトン役のレベッカ・デモーネイが、ことのほか色白で蝋人形のように見えて、一層の恐怖感を煽るのである。

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あるとき、マリーンは不動産業の物件の写真を見ていて、ペイトンが自殺した産婦人科医の妻であることを突き止める。マリーンはそれをクレアに知らせようとするが、ペイトンがしかけた罠にはまり温室の中で殺される。
クレアは、マリーンが掴んだ手がかりを追い、ついにペイトンの正体を突き止めるだった。そして復讐鬼と化したペイトンは、クレアたちを襲うのだが、間一髪で、誓い通りソロモンが現れる。→ブログランキングへ

【ジュリアン・ムーア出演作】
『キャリー』Carrie 2013年
『メイジーの瞳 』What Maisie Knew 2012年
『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』Game Change 2012年
*『ラブ・アゲイン 』Crazy, Stupid, Love. 2011年
*『 キッズ・オールライト』The Kids Are All Right 2010年
*『シェルター』Shelter 2010年
*『CHLOE/クロエ』Chloe 2009年
*『シングルマン』A Single Man 2009年
『50歳の恋愛白書』 The Private Lives of Pippa Lee 2009年
*『美しすぎる母』Savage Grace 2008年
『ブラインドネス』Blindness  2008年
*『アイム・ノット・ゼア』 I'm Not There 2007年
『NEXT -ネクスト-』Next 2007年
『フリーダムランド』Freedomland 2006年
*『NOセックス、NOライフ! 』Trust the Man 2006年
『トゥモロー・ワールド』Children of Men 2006年
『フォーガットン』The Forgotten 2004年
*『エデンより彼方に』Far from Heaven 2002年
*『めぐりあう時間たち』The Hours 2002年
*『ハンニバル』Hannibal 2001年
『エボリューション』Evolution 2001年
*『シッピング・ニュース』The Shipping News 2001年
*『クッキー・フォーチュン』Cookie's Fortune 1999年
『理想の結婚』An Ideal Husband 1999年
『マップ・オブ・ザ・ワールド』A Map of the World 1999年
*『ことの終わり』The End of the Affair 1999年
*『マグノリア』Magnolia 1999年
*『ビッグ・リボウスキ』The Big Lebowski 1998年
『サイコ』Psycho 1998年
*『ジュラシック・パーク』Jurassic Park 1997年
『家族という名の他人』The Myth of Fingerprints 1997年
*『ブギーナイツ』Boogie Nights 1997年
『SAFE』Safe 1996年
『9か月』Nine Months 1996年
『暗殺者』Assassins 1996年
『サバイビング・ピカソ』Surviving Picasso 1996年
*『ショート・カッツ』Short Cuts 1994年
『42丁目のワーニャ』Vanya on 42nd Street 1994年
『ボディ』Body of Evidence 1993年
『妹の恋人』Benny & Joon 1993
『逃亡者』The Fugitive 1993年
*『ゆりかごを揺らす手』The Hand That Rocks The Cradle 1992年

『遥かなる大地へ』

遥かなる大地へ [DVD]
遥かなる大地へ [DVD]
posted with amazlet at 13.08.07
原題:Far and Away
監督:ロン・ハワード
脚本:ボブ・ドルマン
原案:ロン・ハワード/ボブ・ドルマン
音楽:ジョン・ウィリアムズ/主題歌:エンヤ「BOOK OF DAYS」
アメリカ 1992年 140分 ★★★★☆

19世紀、アイルランドにおけるジャガイモ飢饉によって、多数のアイルランド人が故郷を捨てアメリカへ渡った。土地争奪戦(ランドラッシュ)は、19世紀後半にオクラホマで行われた。本作にはこうした歴史上の事実が盛り込まれている。

小作人のジョセフ(トム・クルーズ)は、西アイルランドの痩せた土地で極貧の生活を強いられていた。
地主ダニエル(ロバート・プロスキー)に対し、住民が立ち上がり暴動が起きたときに、ジョセフの父親は瓦礫の下敷きになり亡くなった。

1

ジョセフは父の仇を打ちに地主の家に向かう。納屋に潜んでいるところを、地主のじゃじゃ馬娘シャノン(ニコール・キッドマン)に見つかり、干し草用フォークで太腿を刺されてしまう。ジョセフはそのまま地主の家で治療を受ける。シャノンはジョセフの寝ている部屋に忍び込んで、桶で隠されたジョセフの局所を見てニンマリする。なんだろうこの場面は、この時、キッドマンとクルーズは夫婦だった。

シャノンはアメリカのオクラホマで土地をただで手に入れることができるというチラシを手に、ジョセフを渡米に誘う。しかし、あくまでシャノンは地主のお嬢様で身分は上、ジョセフは下僕の扱いである。

2

ボストンに渡ったシャノンは、騙されて頼みの銀食器をすべて失ってしまう。
住むところも金もないないふたりは、売春宿になんとか潜り込み、兄妹と偽って暮らすことになる。
やがて、ジョゼフはボクシングの試合で稼げるようになり、シャノンは食肉工場で働くが、こちらはうまくいかない。シャノンは向こう見ずにも酒場のダンサーになってしまう。
市会議員が主催したボクシングの試合中に、議員がシャノンにちょっかいを出そうとするのを見て、議員に殴りかかったジョセフは、その試合で惨敗を喫す。そして、飼い犬に手を噛まれたとボクシングの興行主はふたりを宿からたたき出す。
雪の夜に、ふたりは空腹と寒さで無人の邸宅に忍び込み、戻ってきた家の主人にシャノンが撃たれてしまう。ジョセフは傷ついたシャノンをクリスティー家に渡し彼女の前から去っていった。

8カ月後、ジョセフは列車で移動中に、オクラホマに土地を求めてやって来た人々に合流し、そこでシャノンと再会する。

3

さて土地争奪戦(ランドラッシュ)の日がやってきた。荒くれ馬に乗ったジョセフに、シャノンは「鼻綱を引くのよ」と、荒くれ馬を乗りこなすコツを耳打ちするのだった。そして、悪戦苦闘の末、川の近くの肥沃な土地に一番乗りしたジョセフは、シャノンとともに自分のものとなる土地に旗を立てるのだった。→ブログランキングへ

『レザボア・ドッグス』

レザボア・ドッグス [DVD]
Reservoir Dogs
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
音楽:カリン・ラクトマン/主題歌:ジョージ・ベイカー「リトル・グリーン・バッグ」
アメリカ  1992年  100分 ★★★★☆

ギャングたちの宝石店襲撃は警察にばれていて、警察のイヌ探しでお互いが銃を向けあい、ついには引き金を引いてしまうというストーリー。
ストーリーと関係のない会話がそこかしこに入り込むものの、話の運びはスムースで斬新。これが、タランティーノのその後の作品にも見られるパターンである。女性は出てこない男だけのギャングストーリー。
タイトルのReservoir Dogsの意味は、掃き溜め(貯水池)の犬たち。
なお本作は、イギリスの雑誌『エンパイア』(2011年)が選んだインディペンデント(インディーズ)映画ベスト50のトップに輝いた。

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不都合なことが起こったときに警察に素姓がばれないという理由で、ボスがメンバーを色で呼ぶことにした。ところが、Mr.ピンクはピンクは嫌だパープルにしてくれと駄々をこねる。『サブウェイ・パニック』(ジョセフ・サージェント監督 、1974年)でも、実行メンバーが色で呼ばれているとのこと。
メンバーを色のあだ名で呼ぶところは、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹著)にも出てきた。

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レストランで、タランティーノ演じるMr.ブラウンが、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」についてのしょうもない薀蓄をたれ、その横ではボスの手帳をMr.ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)が取り上げて、ボスが返せというのを返さない、そんな小学生のようなことをやっている。後に、タランティーノに対し、マドンナは「セックスの歌ではなくて、恋の歌よ」と書いたCDを彼に送ったという。
ボスが、「オレが食事代を払うから、お前たちはチップを1ドルずつ出せ」というと、Mr.ピンク(スティーヴ・ブシェミ)が嫌だという。マクドナルドではチップを払わないのに、レストランで払うのは変だと、Mr.ピンクが屁理屈をいう。高卒の女性の就職ナンバーワンの職業がウェートレスなのは、チップの実入りがバカにならないからだと誰かがいう。その構図を崩さないためにも譲歩しろという。結局、Mr.ピンクも1ドル払って決着する。
というようなストーリーと関係のない会話が交わされ、これから宝石店を襲撃する緊張感は微塵もない。

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彼らは警察が待ち伏せしていることを知らずに宝石店に押し入り、ふたりが射殺される。そのあと逃走用に奪った車の運転手にMr.オレンジが腹を撃たれ、後部座席に血まみれでのたうち回るMr.オレンジ(ティム・ロス)をその車に乗せて、Mr.ホワイトは待ち合わせの倉庫にたどり着く。そこにMr.ピンクが現れ会話が始まる。さらに、警官たちに銃を乱射したMr.ブロンド(マイケル・マドセン)が現れ、メンバーに紛れた警察のイヌ探しが始まる。ひと騒動あってからボスとその息子(クリス・ペン)が現れ、最後はMr.ピンクを除いて、お互いの銃で撃ちあって死んでしまうという結末。

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ストーリーと関係のない会話がプロットとうまく絡み合っていて、ラジオのDJのトークや流れる音楽もタランティーノ監督ならではの凝りよう。→ブログランキングへ

『ナイト・オン・ザ・プラネット』

ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]
Night on Earth
監督:ジム・ジャームッシュ
脚本:ジム・ジャームッシュ
製作:ジム・ジャームッシュ
製作総指揮:ジム・スターク
音楽:トム・ウェイツ
製作国:米、英、仏  1992年  129分 ★★★★★

地球上の都市で、今もタクシード運転手と乗客の様々なやり取りが行われている。そんな思いを抱かせる話がオムニバスとなって5つ、それぞれに深い味わいがある。

1

ロサンゼルス。
コーキー(ウィノナ・ライダー)は、空港で拾った客中年の女性ヴィクトリア(ジーナ・ローランズ)をビバリーヒルズへ運ぶ。車内で携帯電話で話すヴィクトリアは、映画の若い女性の出演者を探していた。ヴィクトリアはコーキーに映画に出演しないかと誘う。ガムを噛みながら、タバコを吸い続ける、中途半端に生きていそうなコーキーには、将来に対するきちんとした設計図があった。

2

ニューヨーク。
凍えそうに寒い夜、黒人のヨーヨーがようやく捕まえたタクシーを運転していたのは、東ドイツからきたばかりのヘルムート。彼は英語がろくにできず、オートマ車をまともに運転できない。その上ブルックリンまでの道を知らないという有様。ヨーヨーは、金を払うから運転を変われと言い出す。このふたり、かみ合わないジョークを言い合って、至って能天気。そうこうするうちに、ブルックリン橋にさしかかる。

3

パリ。
酔った黒人ふたりの態度に腹を立てた黒人のタクシー運転手は、ふたりを途中で降ろしてしまう。続いて乗ってきたのは若い盲目の女性。感覚の鋭い彼女は、彼が黒人であることを当ててしまうし、橋を渡らなかったことも分かっている。彼は気の強い女に、心を見透かされたような気分になる。

4_2

ローマ。
運転手のジーノ、神父を乗せる。ジーノは司教ではないという神父を司教と呼び、勝手に懺悔し始める。話は子供の頃からの性の話。心臓の悪い神父は薬を飲もうとするが、ジーノが乱暴にハンドルを切ったせいで、薬を車内に撒き散らしてしまう。ジーノの懺悔を聞くうちに、神父は心臓発作を起こす。

5

ヘルシンキ。
無線連絡を受けた場所にミカが着くと、凍てついた歩道に酔っ払った労働者風の3人の男が待っている。その中のひとりアキは酔い潰れていて、他のふたりが、今日がアキにとってどれほど不幸な一日かをミカに説明する。しかし、ミカはアキよりはるかに不幸だ。ミカはふたりに自らの不幸を話し始める。

場面は車の中、登場人物はタクシー運転手と乗客だけという限られた条件で、巧みに人間模様が描かれている。落語のようなオチのある話がずらり、珠玉の短編集といった感じだ。


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『セント・オブ・ウーマン/女の香り』

セント・オブ・ウーマン/夢の香り [DVD]
原題:Scent of a Woman
監督:マーティン・ブレスト
脚本:ボー・ゴールドマン
製作:マーティン・ブレスト
音楽:トーマス・ニューマン
製作国:アメリカ合衆国  1992年  157分

ボストンの名門高校で、トラスク校長(ジェイムス・レブホーン)が愛車のジャガーもろとも自らも頭からペンキをかぶせられた。
そんな悪戯されても当然の校長なのだが。。
前の夜に、この悪ふざけの準備をする生徒たちを目撃したチャーリー(クリス・オドネル)に、校長は犯人の名前を明かすように迫る。
この校長が教育者の風上におけないような悪者で、オレゴンの田舎から出てきた苦学生のチャーリーの弱みにつけ込んで、白状すればハーバード大学への推薦状を書くが、白状しなければ退学だと脅すのだ。
目撃したもうひとりの生徒は、父親が金持ちなのでこういう脅迫は受けない。

1

苦悩するチャーリーは、そのことはさておき、週末に盲人の面倒を看る割のいいアルバイトをすることにした。その盲人というのが退役軍人の厄介者フランク・スレード中佐(アルパチーノ)。
過去の栄光にすがり、わがまま放題で厭世的で、酒浸りの生活を送っているフランクは、有無を言わせずチャーリーを連れてニューヨークの一流ホテルに逗留し豪遊するのだった。

2

フランクは、この旅の最後に銃で頭を撃ち抜いて自殺するシナリオを描いていた。彼はチャーリーとともに過ごすなかで、次第に心を開いていく。そしてチャーリーの説得にフランクは自殺を断念するのだった。

3

ボストンに戻ったチャーリーを待っていたのは、全教師および全生徒の前で行われる公開懲戒委員会であった。
そんな場で、友人を売るなんてことは、あり得ない。
再三、名前を言うように迫る校長に、チャーリーはあくまで「犯人の名前を言えない」と突っぱねる。校長がチャーリーに退学を言いわたそうとすと、フランクが現れる。
フランクは持ち前の強引さで、校長の誤ちを質しチャーリーの高潔さを訴える演説を行い、満場の拍手を受けるのだった。こうして懲戒委員会は、チャーリーにお咎めなしの裁定を下す。
フランクの演説に感激した女性教師(フランセス・コロイン)がフランクに声をかけ、女性大好きのフランクは相好を崩す。こうしてフランクの新しい生活が始まろうとする。

笑いと涙の感動作。
アル・パチーノの迫真の演技が見もの。彼はアカデミー賞主演男優賞を受賞した。