2001年

『アザーズ』

アザーズ [DVD]
アザーズ [DVD]
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The Others
監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル
音楽:アレハンドロ・アメナーバル
スペイン  フランス  アメリカ  2001年 104分  ★★★★☆

ホラー映画は辻褄が合わなくても、ある程度話の筋が通っていれば通用する。矛盾に目を瞑るくらいの鷹揚さが、ホラー映画を観る者には必要だ。本作は王道のゴシックホラーであるから、血や残虐な暴力などのグロテスクな描写はない。観ている者が、ぞくぞくする恐怖を感じれば、それで映画として成功である。本作はホラーの名作と言える。

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1945年、英国の島。
グレース(ニコール・キッドマン)には、光過敏症の娘アンと息子ニコラスがいて、広大な屋敷の中で暮らしている。厄介なことに、ふたりを日光から守るために、日中カーテンをいてき光を遮断し、部屋の鍵は出入りの度にかけなければならない。
毅然として恐怖に打ち勝とうとする感の強い女性がグレースだが、そういう女性を演じたらニコール・キッドマンの右に出るものはいないと思う。

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そんなある日、ミルズ(フィオヌラ・フラナガン)と言葉を喋ることのできないリディア、庭師のタトル(エリック・サイクス)の3人が屋敷を訪れ、そのまま使用人として雇われる。

屋敷の中では、足音や話し声が聞こえ、ピアノが独りでに鳴りだすという怪奇現象が起き始める。侵入者がいると怯えるグレースに、アンは一枚の絵を描いてみせる。そこには全く見覚えのない、男の子とその両親と老婆が描かれていた。

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やがて3人の使用人は、半世紀以上も前にこの屋敷に奉公し亡くなった幽霊と判明する。さらに、グレースとアンとニコラスも幽霊だった。
アンが描いたのは、かつて入居した実在の一家で、屋敷に恐怖を感じ彼らは去っていったのだった。

ホラーは観る者に媚を売らない強引な姿勢を貫くことを求められる。最後になって、登場人物が、実は、とっくに死んでいたのだという本作のような設定すらありだ。→ブログランキングへ

『女はみんな生きている』

女はみんな生きている [DVD]
原題:Chaos
監督:コリーヌ・セロー
脚本:コリーヌ・セロー
音楽:リュドヴィク・ナヴァール
フランス 2001年  112分 ★★★★★

パリに住むリベラルそうな白人一家も、アラブの大家族も突き詰めれば同じで、頼り甲斐のない男どもが威張っている。女を下僕のように扱う男社会に対するアンチテーゼの物語。

年老いた母親がアパートに訪ねてくると、夫のポールは居留守を使い妻エレーヌに応対させる。エレーヌが息子のアパートを訪れると今度は息子が居留守を使い、同棲相手に対応させる。まったく親子揃って同じことをやっている。

ある日、暴漢から逃れようと若い女がポールとエレーヌの乗った車に助けを求めたが、ポールは無視する。女性はふたりの目の前で殴られ重症を負ってしまう。エレーヌが救急車を呼ぼうとするのを制止し、ポールは車を走らせ立ち去った。

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女性の容態が気になって仕方がないエレーヌは、その女ノエミの入院先を突き止め、瀕死の彼女に付き添う。徐々に回復するノエミを暴漢が連れ去ろうとするが、ふたりは魔の手から危機一髪で逃れる。やがてエレーヌは休暇をとって、ひたすらノエミを助けようとする。

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一方、エレーヌの留守宅では、彼女がいないとポールも息子も何もできない。洗濯物はたまるし、寝室も台所も居間も汚れ放題、そんな状況にポールはブチ切れて家具に当たり散らしている。

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一方、ノエミの抜き差しならない事情を知るに至ったエレーヌは、ノエミとともに組織に追跡されるようになってしまう。したたかに生きてきたノエミは、組織への復讐を次々に成し遂げていくのだった。
本作では、男がとことん頼りない一方、女はしたたかで力強く描かれている。女性の活躍が痛快なコメディタッチの作品。→映画(全般) ブログランキングへ

『アイリス』

アイリス [DVD]
アイリス [DVD]
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Iris
監督:リチャード・エアー
脚本:リチャード・エアー/チャールズ・ウッド
原作:ジョン・ベイリー
音楽:ジェームズ・ホーナー
イギリス  アメリカ  2001年  91分 ★★★☆☆

実在の作家アイリス・マードックを、若い頃はケイト・ウィンスレットが、アルツハイマー病を患った晩年はジュディ・デンチが鬼気迫る演技で演じている。若い頃と晩年が交互に映し出される。
ジョンを演じたジム・ブロードベントがアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
ジム・ブロードベントは『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(11年)で、本作と似た役柄のサッチャー首相の夫デニスを演じた。

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自由奔放で才能あふれる魅力的なアイリスの夫は生半可な男には務まらない。
心が広い、男女関係に疎い、そういうことに気がつかない純粋な、言い方を変えれば鈍感な男に限る。
オックスフォード大学の講師であるジョンは、こうした条件を兼ね備えたアイリスにぴったりの男である。都合のいいことに6歳年下のジョンはアイリスに、一目惚れしてしまう。
アイリスもジョンに惹かれるようになり、ふたりは結婚する。

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結婚してからもアイリスの奔放さは変わらない。アイリスの男性関係に悩まされるが、ひたすら彼女を愛するジョンは苦悩を乗り越えていく。
そんなアイリスはイギリスを代表する小説家として活躍するようになる。

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そして40年後、年老いたアイリスにアルツハイマーの症状が現れる。病気の進行は予想以上に早く、知的だったアイリスがどんどん朽ちていく。そのアイリスをジョンは献身的に介護しようとするが、彼も寄る年波には勝てず、アイリスを施設に預けることにする。

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夫婦の永遠の愛が描かれた感動の伝記ドラマ。
ジョンは若い頃はアイリスの奔放な男性遍歴に悩まされ、老いてからはアルツハイマー病を患った彼女を介護する。傍から見れば、アイリスに振り回された人生に見えるが、彼にとってはアイリスと一緒にいられることが至福だったのだろう。

湖だか池だかで泳ぐシーンが数囘出てくるが、水が少し濁っている。『裏切りのサーカス』でも同じようにあまりきれいでない淡水で泳ぐシーンがあるが、イギリスでは少しくらい濁った水は気にしないのかもしれない。→映画(全般) ブログランキングへ

【ケイト・ウィンスレット出演作品】
おとなのけんか』Carnage/2011年
『コンテイジョン』Contagion/2011年
『ミルドレッド・ピアース 幸せの代償』Mildred Pierce /2011年
愛を読むひと』The Reader/2008年
リトル・チルドレン』Little Children/2006年
エターナル・サンシャイン』Eternal Sunshine of the Spotless Mind/2004年
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』The Life of David Gale/2003年 
アイリス』Iris/2001年
『エニグマ』Enigma/2001年
『タイタニック』Titanic/1997年
いつか晴れた日に』Sense and Sensibility/1995年
『乙女の祈り』Heavenly Creatures/1994年

『マルホランド・ドライブ』

話が前後したり、空想や回想のシーンが出てきたり、関係のない話が差し込まれたり、人物が入れ替わったり、つじつまが合わなくなったりする。だからといって、投げ出したくなるかと思いきや、目を話せない魅力がある。ワクワク感と不安感がない交ぜになったような気分にさせてくれる。
デヴィット・リンチ監督の「単純な恋愛もの、ハリウッドのダークサイトを描いた」という言葉をヒントにすると、謎は解ける。

マルホランド・ドライブ [Blu-ray]
Mulholland Drive
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
アメリカ・フランス   2001年  145分 ★★★★☆

夜のマルホランド・ドライブで起こった交通事故で、生き延びた女が記憶喪失になる。彼女は、ハリウッドの灯りを目指して歩き出しサンセット通りの高級アパートに入り込む。そこは、大女優の家で、女優は撮影に出かけるところだった。
女優の姪ベティ(ナオミ・ワッツ)が映画のオーディションを受けるために、その家を借りることになり、シャワーを浴びている記憶喪失の女に出くわす。ベティに名前を訊ねられた女は、リタ・ヘイワースのポスターが目に入り、とっさにリタ(ローラ・ハリング)と名乗る。

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こうした流れとは別の話が進む。
ダイナーでは青年が夢の話をし、映画のオーディションを受ける若い女に男がつきまとい、ドジな男が殺人を犯してドタバタしたり、ハリウッドの顔役が映画のヒロインを強引に指名したり、若手監督(ジャスティン・セロー)が妻の浮気現場を目撃して間男に殴られたり、得体のしれないカウボーイが現れたり、それぞれの話が関連がありそうで、そうでもないような形でストーリーは進む。

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ベティはリタの記憶を取り戻させようとリタに優しく接し、積極的に行動する。やがて、ふたりはレスビアンの関係になり愛し合うようになる。このあたりから、ストーリーがこんがらがってくる。

夜中の2時に、ふたりはタクシーでクラブ・シレンシオに向かう。
ふたりは女性歌手の歌に涙して感動し、ベティはひきつけを起こさんばかりに体が震えるのだった。
ここから、人物が入れ替わる。
ベティはダイアンになり、リタは女優のカミーラになり、ベティがリタに近づくと拒絶される、ベティはリタに振られたのだ。

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ここで冒頭で映し出されたマルランド・ドライブの標識が、再び映し出される。
ここから結末に向かってストーリーは進む。
ベティことダイアンが、リタことカミーラが他の男や女と親密にすることに嫉妬し、錯乱状態になってしまう。

マルホランド・ドライブは実在する道路で、ハリウッドが一望に見渡せる小高いところにある。
本作中、ハリウッド・ヒルズのハリウッド・サイン、マルホランド・ドライブからのハリウッドの夜景、ハリウッドの空撮映像、サンセット通りが何回か映し出される。
本作は、1950年の映画「サンセット大通り」へのオマージュだという。 →人気ブログランキング

『チョコレート』

チョコレート [DVD]
チョコレート [DVD]
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Monster's Ball
監督:マーク・フォースター
脚本:ミロ・アディカ/ウィル・ロコス
製作:リー・ダニエルズ
製作総指揮:マーク・ウルマン/マイケル・バーンズ/マイケル・パセオネック
製作国:アメリカ合衆国  2001年  111分 ★★★*☆

ハンクは、息子の自殺と交通事故に遭った黒人の子どもの死を経験し考え方が変わる。黒人の子どもの母親レティシアを愛するようになり、父親が貫く南部の白人の男としての生き方に疑問を感じ、人間らしい生き方に目覚める。

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ジョージア州ジャクソン刑務所の看守ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)一家は、父親(ピーター・ボイル)、ハンク、息子のソニー(ヒース・レジャー)の3人ともに看守を仕事としてきた。父親もハンクも人種差別主義者、しかしソニーは母親似で優しい性格をしている。

南部の男といえば人種差別主義者で、男尊女卑のガチガチのマッチョというイメージが強い。父親はその典型、ハンクは父親に感化されて南部の男を演じているようなところがあるが、ソニーは優男だ。そんなソニーをハンクは嫌っている。

3

黒人の死刑囚ローレンスの刑執行が間近に迫り、妻レティシア(ハル・ベリー)と息子が、最後の面会に訪れた。息子は父親を描いた絵が学校新聞の表紙になると誇らしげに父に伝える。そうして面会が終わった。

2

死刑執行の日、ハンクが「イギリスでは、死刑執行前の看守たちの宴をMonster's Ballと呼ぶ」と薀蓄を披露し、看守たちはローレンスのために祈りを捧げるのだった。
その日、死刑執行に初めて携わったソニーはローレンスを監房から移動させる途中で吐いてしまう。ローレンスはハンクとソニーに「写真とは違って、似顔絵は心を描くことができる」と言いながら似顔絵を書き残した。フローレンスは妻への伝言をハンクに頼むのがハンクは断る。

刑が終わると、ハンクはソニーを罵倒しながら掴みかかった。死刑囚の最期のときを台無しにしたのは、看守として失格だというのだ。その夜、ソニーは「父さんが好きだった」言いながら、ハンクの目の前で銃で自殺する。
息子の自殺をきっかけに、ハンクは自分の人生を見つめ直すようになる。 ある雨の夜、レティシアと一緒に歩いていた息子が車にはねられる。そこに、たまたま車で通りかかったハンクはふたりを病院に運ぶが、少年はそのまま息をひきとる。短い間に夫と息子を亡くし、ひとりになったレティシアは悲嘆にくれる。
ハンクは初対面だったレティシアをアパートに送る。そのアパートには、「家賃を払わなければ、30日後に立ち退きを命ずる」との札が貼られていた。

死刑の方法は、絞首刑、電気椅子、静脈注射などがあるが、ジョージア州立刑務所は電気椅子である。レティシアの亡くなった息子を解剖することになる。それに対しレシティアは、「息子は黒人なのに警察は犯人を捕まえてくれるの?」と疑問を抱く。交通事故で黒人が亡くなっても、警察はまともに捜査しないという土地柄らしい。

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レティシアの勤めるカフェで、コーヒーとチョコレートアイスクリームを注文し、車が壊れたレティシアに家まで送ると言って、ふたりの交際が始まるのだった。

ある日ハンクは、刑務所を辞めてしまう。 そして退職金で、ガソリンスタンドを購入する。ハンクは、息子のピックアップトラックを、以前は嫌っていた黒人の整備士に整備を頼み、レティシアにプレゼントするのだった。

ハンクを訪ねて家にやってきたレティシアに、差別的な言葉を投げかけた父親に業を煮やし、ハンクは父親を施設に入れてしまう。もはや、ハンクには人種差別し女性蔑視する父親に我慢がならなくなっていた。

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ハンクは自宅の壁を塗り替えて、ガソリンスタンドにレティシアと書いたネオンサインを取り付け、アパートを追い出されたレティシアを家に向かい入れるのだった。
そして、ハンクがチョコレートアイスクリームを買いに行っている間に、レティシアは夫が描いたハンクとソニーの似顔絵を発見し、ハンクが夫の最期を看取ったことを知るのだった。

父親に呪縛されていたハンクが「南部の白人男」を演じることから開放され、黒人のレティシアとの愛が育まれていく過程が丁寧に描かれている。
邦題の『チョコレート』は、ハンクの大好物チョコレートアイスクリームと黒人の肌の色からとったもの。
本作で、ハル・ベリーは有色人種初となるアカデミー賞主演女優賞を獲得した。


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『イン・ザ・ベッドルーム』

イン・ザ・ベッドルーム [DVD]
イン・ザ・ベッドルーム [DVD]
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In the Bedroom
監督:トッド・フィールド
脚本:ロバート・フェスティンガー/トッド・フィールド
製作 グレアム・リーダー/ロス・カッツ/トッド・フィールド
製作総指揮:テッド・ホープ/ジョン・ペノッティ
音楽:トーマス・ニューマン
製作国:アメリカ  2001年  130分 ★★★*☆
売り上げランキング: 50948

アメリカの北東端メイン州の漁港町。
大学生のフランク(ニック・スタール)は、夏の間、帰省してロブスター漁のアルバイトをしている。両親は、開業医のマット・ファウラー(トム・ウィルキンソン)と合唱隊の教師ルース(シシー・スペイセク)。

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フランクは、年上でふたりの息子を持つナタリー(マリサ・トメイ)と交際している。彼女との離婚に応じない夫のリチャード(ウィリアム・マポーザー)が、よりを戻そうと彼女を訪ねてくる。

潔癖な母親は、息子が年上のふたりの子持ちの女と付き合っていることを快く思っておらず、交際に対して寛容に振舞う夫には、苛立ちを感じている。フランクはナタリーに惹かれてはいるものの、母親には「一夏の恋」と調子のいいことをいけしゃーしゃーと言っている。

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ある日、ナタリーからリチャードが強引に家に入ろうとしていると助けを求める電話がかかり、フランクが駆けつけると、リチャードは銃を放ちフランクは射殺されてしまう。
リチャードは計画性があったわけではない、もみ合っているうちにかっとなって銃を撃ってしまったと故殺を主張。

計画性のない故殺が認められれば、刑はたった5年である。
暴力夫とは言え、リチャードは離婚を望んでおらず、ナタリーとフランクが不倫の関係にあったことも、量刑に影響したかもしれない。

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息子の死以来、夫婦の間には気まずい空気が流れている。ルースはマットが寛容過ぎた、子持ちの女と付き合うようになったのは、マットのせいともとれるようなことを言う。一方、マットはルースが口やかましく、何事も制限したと非難する。

一人息子を殺された両親が加害者の量刑があまりにも軽すぎると、やり場のない怒りを感じるのはもっともだ。
その犯人と、ときどき顔を合わせなければならないとしたらどうだろう。精神の安寧は保てるのだろうか。

そんなある日、ルースはスーパーで保釈中のリチャードを目撃して動揺する。
ルースの様子を見てマットは決意する。
マットはリチャードの家に忍び込み、銃で脅しながら旅行仕度をさせ、街から出ていくように言う。
マットは空港に送ると言ってリチャードを車で連れ出し、山荘で友人のところへ行き、彼を撃ち殺してしまう。

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明け方になって、マットが家に帰り、ルースに気づかれないようにとベッドルームに入ると、彼女は起きていた。

画面が静かにゆっくり進み、両親の思いがことさら見ている側に伝わってくる。
第72回アカデミー賞の脚本賞、主演男優賞(トム・ウィルキンソン)、主演女優賞(シシー・スペイシク)、助演女優賞(マリサ・トメイ)に、ノミネートされた。


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『ビューティフル・マインド』

ビューティフル・マインド [DVD]
原題:A Beautiful Mind
監督:ロン・ハワード
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
原作:シルヴィア・ネイサー
音楽:ジェームズ・ホーナー
主題歌:シャルロット・チャーチ "All Love Can Be"
製作国:アメリカ合衆国  2001年

1994年、「ゲーム理論」を唱え、他のふたりと共にノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュの実話に基づく作品。

1947年、ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)はプリンストン大学大学院の数学科に入学する。大学院で優秀な成績を修めたナッシュは、教授の推薦でMITのウィーラー研究所に移籍し、この世の全てを支配できるという画期的な「ゲーム理論」を発見する。

ある時、諜報員パーチャー(エド・ハリス)にソ連の暗号解読を依頼される。米国の危機を救うことを使命と思い、暗号解読にのめり込んでいく。
一方では、聴講生のアリシア(ジェニファー・コネリー)と親密になり、ほどなく2人は結婚する。結婚後も、ナッシュは暗号解読の任務を続けていたが、ひどい幻覚に悩まされるようになる。

最初のうちは、どこまでがリアルで、どこからが幻覚なのか、ナッシュ本人はもちろん観ている方も分からない。
数学の天才なので変なやつと思われて当然なところがあるから、講義の内容がぶっ飛んでいたって、幻覚を見てぶつぶつ独り言っても、そんなものだろうと周囲は思ってしまう。
やがて奇行がエスカレートしていき、ついには手に負えなくなり、精神病院に強制入院させられる。本人は、ソ連のスパイに捕まり収監されたと思っていた。
ナッシュは統合失調症と診断され、一歩間違えば死に至るかもしれない危険な治療であるインシュリン大量療法や電気ショック療法が施されるが、効果はない。

ナッシュの大学時代の友人チャールズ(ポール・ベタニー)とその姪は、ナッシュの幻覚の産物であった。そうすると、諜報員パーチャーも幻覚だろう。

病状が少し安定すると、妻のアリシアは夫をプリンストン大学に通うよう促す。
ナッシュは妻の励ましに応え、トラブルが起きても気を奮い立たせ通い続け、講義ができるまでに回復する。
幻覚の3人が現れても、ナッシュは関わらないようにしている。幻覚とのつきあい方を会得したのだ。

ノーベル賞受賞式の会場に3人は現れるが、ナッシュは一瞥して通り過ぎる。そして、ノーベル賞受賞のあいさつで妻への最大級の感謝を述べ、スタンディングオベーションのなかスピーチを終えるのだった。
心温まるね。

第74回(2001年度)アカデミー賞作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞に輝く。
→『ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡』シルヴィア・ナサー/塩川 優 訳 新潮社 2002年