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『セックスと科学のイケない関係』 メアリー・ローチ

セックスと科学のイケない関係
メアリー ローチ
池田真紀子訳
日本放送出版協会
2008年11年25日
ISBN 978-4-14-081327-0

ジュンク堂の検索用PCで本書の有無を検索したところ、「昨日まで1冊あった」と表示された。
本のありかは地階の「理工書:進化論」の書棚。
硬いタイトルの本に紛れ込んで、ピンク色のラメがあやしい輝きを放っていた。
手にとってみるとカバーの端は擦り切れて、まるで古本のようである。
書棚から引き出されページをめくられ戻されるということが、何回くり返されるとここまでみすぼらしくなるのだろう。
数ページめくったのち、先輩たちがやったように書棚のもとの位置に戻した。
帰ったらアマゾンに注文しよう。

前戯(プロローグ)には本書を執筆するに当たっての心構えが書かれている。
こういうテーマは、著者に泥をかぶる覚悟がないとうまくいかない。
多少のことでひるむ著者ではないが、体験記の箇所を将来ふたりの娘が読んで、まともに目を合わせられなくならないように、表現に配慮したそうだ。
夫を巻き込むのは仕方ないとして、子供にとばっちりがかかることは避けたというのは母親の本能であるが、うまくはいかなかったという。
この分野は、そうそう上品に書けはしない。著者夫婦が体験した、ことの最中をMRIを撮影するというのは科学のためとはいえ、子供は間違いなく驚く。驚く以上のことが起こることも覚悟しなくてはならない。
下(しも)がからないようにという心構えそれはそれとして、扱う代物が難敵なだけに、少年少女には遠慮願いたいような、スラングも業界用語も医学用語も、それこそ下がかった表現もふんだんに使われてる。
ところが、書きようがあまりにもあっけらかんとしているので、心配するニュアンスにはなっていない。

「まったくよくやってくれるよ」だ、それは、研究者たちおよび著者のどちらも。
研究者と名のっているものの、一歩間違えば、間違えなくとも、ヘンタイと言われかねないような人物がぞろぞろ出てくる。
本書には、バカバカしくって、大真面目で、熱くて、見方によってはことさら卑猥で、それだから面白い「性研究」の世界が繰り広げられている。

その昔、謝国権、奈良林洋、ドクトル・チエコ、キンゼイなどを胡散臭く感じ、モアリポートも「なんじゃこりゃ」と眉をひそめていたにもかかわらず、本書に拍手を送るというわが変節ぶりを、なんと言い訳したらいいのやら。


メアリー・ローチの講演
(1/2)http://www.youtube.com/watch?v=6ahjxgBZqjs
(2/2)http://www.youtube.com/watch?v=wXcwDxuin3M

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