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古きよきアメリカン・スイーツ 岡部 史

キャンプで、棒にさして焼いたマシュマロをアメリカ人からすすめられたことがあった。
マシュマロのフワフワした食感は消えて、とろりとして甘みが強くなっていた。
チョコレートをマシュマロに埋め込んで焼いたのをすすめられたこともあった。
アメリカでは、マシュマロはキャンプファイヤーの必需品なのだそうだ。
彼らの甘さに対する抵抗力は強靭だ。
彼らとは甘さに対する閾値が違うなと感じた。

Photo_20201204084501古きよきアメリカン・スイーツ
岡部 史 (Okabe Fumi)
平凡社
2004年

アメリカ人の甘い物に対する姿勢を、著者は次のように述べている。
<ちょっとした集いでもお菓子が用意されるべきである、という風潮が強いし、まして食後にデザートがないなんてことは絶対に許されない、とみんなが信じきっている様子なのである。P10>

目次には、おおらかで、若くて、夢がある、めくるめくアメリカンスイーツがずらりと並んでいる。
本書はスイーツからみたアメリカ文化史である。

1 ペカンパイ  大いなる大地のめぐみ
2 ブラウニー  アメリカンホームメード・スイーツの代表
3 ピーナッツバター  お菓子かおかずか
4 キャンディバーとキャンディ  アメリカの駄菓子
5 ポプコーン  映画館のはじけるたのしさ
6 ガム  人はなぜ噛むのか
7 マシュマロ  キャンプファイヤーの必需品
8 ジェロ ア メリカンお助けデザート
9 パンプキンパイ  陽気な秋の使者
10 ブルーベリーマフィン  焼き菓子の幸福な出会い
11 チョコレート   新大陸のお菓子の王
12 メイプルシロップ  樹液の甘い滴り
13 コカ・コーラ  世界を制した飲料
14 クッキー  家族のくつろぎのお菓子
15 パンケーキ  聖なるお菓子の変転
16 アップルパイ  ほがらかな実りのお菓子
17 チーズケーキ  ニューヨーク育ちのお菓子の逸品
18 ドーナッツ  ハイク詩人がこだわった味
19 ベーグル  ニューヨークを席巻するパン
20 プレッツェル  かたちに残る歴史

アメリカに甘いものの種類が多いことや、アメリカ人が甘い物を好む理由については、次のように分析している。
<アメリカ人は、とりわけ若さを尊ぶ人たちである。実年齢の若さというものではなく、個人の努力によって保たれる精神的な、かつ肉体的な若さである。そのエネルギー源として、また内面の支えとして年を経てもお菓子への興味を失わない・・・・・・、私の目にはそんなふうに映る。P13>
もうひとつの理由として次の点を挙げている。
<アメリカで生活することは、想像以上にストレスが溜まることなのだった。・・・・・・
彼らは心の安定のために、よくお菓子を利用する。お菓子の甘さや口当たりのよさは、母体に包み込まれるような安らぎを与えてくれるからである。P14>

多民族国家であるアメリカには、多様な食文化が成り立っている。それぞれの民族の固有のスイーツがアメリカというふるいにかけられてアメリカ発のスイーツになるには、認め合わなければ生き残れないという受け入れる側の寛大さもあったと思う。
アメリカの包容力なのだろうか、あるいは童話翻訳家の著者の人柄なのだろうか、アメリカンスイーツを食べたくなるようなほのぼのとした読後感に浸ることができる。

好物のジェリービーンズをとりあげてほしかった。
それと、2002年1月、テレビでアメリカンフットボール観戦中にプレッツェルを喉につまらせた大統領について、ちょっとしたジョークを加えて取りあげて欲しかった。→人気ブログランキング

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