アフリカ 資本主義最後のフロンティア 「NHKスペシャル」取材班
2010年4月に、テレビ番組のNHKスペシャル『アフリカンドリーム』が、3回にわたり放映された。のべ1年、1万キロにわたる東アフリカの取材に基づいて、本書は書かれている。
「なにもないからこそ巨大なビジネスチャンスがある」これが、アフリカにおけるビジネスの鉄則である。
アフリカ―資本主義最後のフロンティア 「NHKスペシャル」取材班 新潮新書 2011年 |
ケニアでは、2009年の時点で人口4000万人の約半数に携帯電話が普及している。
出稼ぎ先から携帯を使って送金できるシステムが確立されている。
ルワンダでは、1994年に始まったフツ族によるツチ族の大量殺戮により、100万人もの人たちが犠牲になったといわれている。
国外に脱出したツチ族(ディアスポラ)が、高等教育を身につけ、金を儲け、人脈を築き上げ、ルアンダに戻り、ルワンダのめざましい経済発展に寄与している。
ルワンダ発展の原動力はディアスポラと言われている。
ディアスポラとは、もとの国や居住地を離れて暮らす民族やコミュニティのことを指す。
多数派であったが立場が逆転してしまったフツ族は社会的に重要な地位につけず、ツチ族の報復を恐れ新たな問題となっている。
ルワンダの経済成長率は8%を維持し、アフリカの奇跡といわれている。
エチオピア、ザンビアでは、中国企業による携帯通信網の整備が進んでいる。
中国の狙いはエチオピアからザンビアにかけてのカッパーベルト、つまり良質の銅の鉱山の利権である。
タンザニア、ボツアナでは、金やダイアモンド採掘に沸く。
タンザニアは、「21世紀のゴールドラッシュ」と呼ばれる金採掘ブームとなっている。
問題は、金メジャーと地元生産者の力関係。
そして、隆盛を誇ったジンバヴエは経済破綻に至った。
ムガベ大統領の失政、つまり大地主の白人から肥沃な土地を取り上げ黒人に分け与えた農地改革に対して、欧米が反発し経済制裁を行なった。
その結果、ジンバブエは財政赤字に陥り、ジンバブエドルを際限なく発行したため、2億%を超える空前のインフレとなった。
南アフリカでは、高等教育を受けたジンバブエ人が難民となって南アフリカに流れ込み、南アフリカはその難民たちを受け入れ、移民の扱いで安い労働力にしている。
この政策に、南アフリカのしたたかさがうかがわれる。
気になるのは、いったい日本はアフリカで何をやっているのかということ、日本のODAがどう評価されているかということ。→人気ブログランキング
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