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『クリスマスのフロスト』 R.D ウィングフィールド

クリスマスのフロスト (創元推理文庫)
R.D ウィングフィールド 芹澤 恵 訳
東京創元社
1994年9月

ロンドンから70マイル離れた田舎町のデントンで、クリスマスを10日後にひかえた雪の降る日に、娼婦の8歳の娘が行方不明になった。この事件を皮切りに、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする強盗が出没し、さらに詐欺、白骨死体の発見などの事件が次々に起こる。

折しも、主任警部が病気で倒れフロスト警部が責任者となる。
警察長の甥っ子、ロンドン仕込みの奇抜なファッションに身を包んだ新米巡査のクライヴを引き連れて、ワーカーホリック男のフロストはエネルギッシュに捜査にあたる。クライヴといえば、"肥溜め"のようなデントン警察署に配属されたことに大いに不満を感じていた。あまりの仕事の量の多さに寝不足に苛まれ不平を言いつつも、どこか憎めない人柄のフロスト警部に従うようになる。

エビ茶の色のマフラー、よれよれのコートに背広、こ汚いドタ靴が、フロスト警部のトレードマーク。さらに、煙草の吸殻を窓から捨てたり、人の机の灰皿に押しつぶしたり、署の携帯電話器を3台も返さずにためこんだり、署長の新車に自分の車をこすってしらんふりを決め込んだりと、道徳心に欠ける傍若無人ぶりだ。
そして、フロスト警部の真骨頂は、速射砲のように下ネタジョークを一日じゅうまわりに撒き散らすことだ。

ダメオヤジに仕立てすぎで、筋がぼやけるのではと心配する向きもあるが、そこはうまく構成されている。締めるところはフロスト警部とて、冗談抜きだ。

ところで、警察官という公僕の立場にある者が、真昼間にビールだのシェリーだのウイスキーを飲んで仕事するイギリスという国は一体全体どうなっているのだ。

それはさておき、フロスト警部のジョークは、スポーツ紙の中ほどにあるわいせつ紙面の内容と変わらない。このとってつけたようなニュース性ゼロの紙面がなければ、スポーツ紙の売り上げは落ちるだろう。
つまり、世の男たちはフロスト警部のジョークのようなことを、日がな一日頭に浮かべているということだ。
本書にどっぷり浸かったので、フロスト警部ばりの憚られるジョークが、ちょろっと口をついて出てしまうかもしれない。気をつけよう。→人気ブログランキング

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