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2012年1月12日 (木)

ブラッド・ブラザー ジャック・カーリイ 

サイコパスのシリアルキラー、ジェレミー・リッジクリフは、「僕」ことアラバマ州モビール市警のカーソン・ライダー刑事の6歳年上の兄である。飛び抜けてIQが高いジェレミーは、15歳の時に父親を惨殺し、26歳の時には暴力的かつ象徴的な方法で5人の女性を殺害し逮捕された。それ以後は、アラバマ州逸脱行動矯正施設の中で厳重な監視下にある。兄弟は父親の壮絶な虐待にあっていた。
Photo_20220208075801ブラッド・ブラザー
ジャック・カーリイ/三角和代 訳
文春文庫
2011年

上司からカーソンに緊急の呼び出しがかかり、直ちにニューヨークに向かうように命令がくだされた。カーソンは空港に向かえ来たニューヨーク市警察のウォルフ刑事とともに、レンガ造りの倉庫に向かった。倉庫には、下腹部が切り裂かれそこに切り取られた頭部が突っ込まれた、アラバマ州逸脱矯正施設の所長ヴァンジー・ブロウズの遺体があった。ブロウズは死の前に撮影されたビデオで、カーソンに捜査を指揮させるようにと訴えていた。カーソンには、反社会的人格障害者にガードを緩めさせる才能があるというのが理由である。

空港の監視カメラに、ブロウズに追い迫る施設に閉じ込められているはずのジェレミーが映っていた。ジェレミーはどうやって施設を脱出したのか。ブロウズを殺害したのはジェレミーなのか。カーソンがニューヨークに滞在し始めたその夜に、ふたり目の女性の惨殺死体が発見される。

カーソンは、事件の責任者フォルジャー警部補や捜査班のメンバーから田舎者扱いされながら、捜査を進めることになる。そして、3人目の女性が惨殺された。カーソンは、犯人がジェレミーではないのではと考え始めていた。ジェレミーが手にかけるのは30代から40代初めの白人、母親の身代わりになるような女性のはずである。3人目はラテン系の女性だった。やがて、フォルジャー警部補やカーソンの周囲に犯人の影がちらつき始める。

前半はバラバラであった事件が、後半は一点に向かって畳み掛けるように集約していく。超人的なサイコパスのシリアルキラーのきわめつきは、トマス・ハリスのハン二バル・レクターである。レクター博士には拭いきれない不気味さが終始つきまとうが、同じように超人的なジェレミーは当初の不気味さが徐々に影を潜め、愛すべきキャラクターに変わっていく。→人気ブログランキング
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