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『ふしぎなキリスト教』 橋爪 大三郎 × 大澤 真幸

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
橋爪 大三郎 × 大澤 真幸
講談社
2011年5月
★★★★★


近代化とは、西洋からキリスト教に由来するアイデアや制度やものの考え方を、西洋の外部にいた者たちが受け入れてきた過程であるとしている。今後、新たな社会を選択したり、新たな制度を作り出していくためには、キリスト教を理解しなければならないという。

多民族の国では、自然を崇拝する多神教では統率がとれず立ち行かなかった。そういう国で一神教、つまりキリスト教やイスラム教などの世界宗教が広まった。

一神教では神は絶対である。一神教で偶像崇拝が許されないのは、偶像は人間が作るものだから。偶像を崇めることは人間が自分自身を崇めることになるという。

キリスト教は、神の子であるキリストがいることで 、一神教として不思議な状況が生まれているという。人間そのものが間違った存在であり、人間はどうやても罪(神に背くこと)を犯してしまう、それが原罪である。キリストの贖罪は、人間の罪を引き受けたということである。そこで、キリストが救い主だと受け入れた人は特別に赦されるかもしれないという。つまり裏口入学みたいなもの。キリスト(神の子)を崇めれば神エホバを崇めることになるという、なんとも、一神教らしくない解釈がされた。

キリスト教はユダヤ教の上に成り立っている二段ロケットのようなもの。イエスは、律法を廃棄して愛に置きかえた。ユダヤ教での多数の律法が、キリスト教では「主を愛しなさい、隣人を愛しなさい」のふたつになっという。

イスラム教の方がキリスト教よりも宗教として首尾一貫性があり、16世紀まではイスラム世界が有利であったという。なぜ、キリスト教が世界を牛耳っていったのか。キリスト教に、ユダヤ教やイスラム教のような律法がなかったからだろうという。律法がないから、人間が自由に法律を作ることができた。さらに、キリスト教には宗教法がないので、人間が神学や自然科学を研究する必要があったという。そうしたことにより、キリスト教世界が発展していったとしている。

日本人には神に支配されたくないという感情がある。「はまると怖い」というのが、大多数の日本人の共通感覚。マルクス主義も一神教に似た思想であるから、日本人がマルクス主義を受け入れないという感覚と似ているという。

ふたりの社会学者が対談の形式で、わかりやすくキリスト教を論じている。キリスト教には一神教として不完全な部分があり、イエス・キリストという不思議な存在がある。だからこそ、西洋社会は発展することができたのだろう。


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