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2012年3月31日 (土)

『三本の緑の小壜』 D・M ディヴァイン 

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)

三本の緑の小壜

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D・M・ディヴァイン
山田 蘭 訳
創元社推理文庫
2011年
★★★☆☆

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夏の夕方、学校の友人達と泳ぎに出かけた13歳の少女ジャニスは帰ってこなかった。
翌日、近くのゴルフ場で全裸死体となって発見される。
容疑者として浮上したのは、町の診療所に勤務する若き医師テリー・ケンダルであった。
数日後、精神的に追い詰められたテリーは崖から転落死する。
警察は少女殺しを苦にしての自殺と断定し、事件は終結したと思われた。
しかし、兄の死の報せを受けてアメリカから帰国した弟のマーク・ケンダルは、死因に疑問を抱いた。
事件の真相を明らかにしようと兄の勤務先に職を得て、独自に調査を開始した。
やがてジャニスの友達であった13歳の少女が、同じように全裸で殺される。
殺されたふたりの共通点は、飛び抜けて成績が優秀で美貌も備えていることだった。

本書は5部構成になっていて、各章が一人称で書かれている。
それぞれの章の最後は、次へのプロローグとして三人称で書かれている。
一人称で描かれることよって、主人公が3人登場することになる。
こうした多視点からの描写により、登場人物の心理のひだや人間関係の細部が浮き彫りにされている。
さらに、作者の観察眼の鋭さや描写の上手さが加味されて、ミステリにとどまらない本書の魅力となっている。
さて、タイトルの『三本の緑の小壜』の謂われは、数え歌の歌詞の一節であると、後半にさりげなく明かさる。
そして、結末でその意味するところにたどり着くのである。

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