『英国王のスピーチ』
のちにジョージ6世(コリン・ファース)となるアルバート王子は幼いころから吃音症で、人前でしゃべることが苦手だった。厳格な英国王ジョージ5世は、そんな息子を鍛えようと様々な式典でスピーチをさせた。ジョージの妻エリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、いろいろな治療を夫に勧めるが、効き目はまったくない。そして、エリザベスは評判を聞きつけてスピーチ矯正のセラピスト、ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとに夫を連れていった。ライオネルはオーストラリア出身の俳優志望の中年男。ライオネルが治療を行うにあたりアルバートに突きつけた条件は、診療中は「お互い敬語を使わない」「バーディ、ライオネルと愛称で呼び合う」「禁煙」というもの。そのやり方に、アルバートはプライドが傷つき一旦は治療を拒否するのだが、やがてライオネルのところに戻ってくる。そして、ライオネルとアルバートの二人三脚での奮闘が始まる。
父親が亡くなり、アルバートはジョージ6世として王位を継承するとになる。
おりしも、ドイツではナチス国民党が台頭し、ヒットラーの演説の画像を観たジョージはその迫力に感心するのであった。
そして、全国民を前に王の尊厳と誇りをかけたラジオ演説が始まるのである。
ジョージ6世は、長じるに、国民から「善良王」と慕われるようになった。
この作品では、医学は、カビ臭い、権威だけ振りかざす、大して効果のないものとされている。チャールズ皇太子の異常なまでの代替医療への肩入れは、このスピーチセラピストの活躍が根底にあるのだろうかと、ふと思った。(→【2012.03.28】『代替医療のトリック』)