USAカニバケツ 超大国の三面記事的真実 町山智浩
日本社会の例えによく使われるというのだが。。
いや、むしろ著者が紹介するアメリカの社会を象徴するのにぴったりの言葉だ。
足の引っ張り合い。アメリカンドリームをつかんだのもつかの間、またもとのバケツの中に舞い戻る。
中庸なんてことには収まらない、極端なことだらけのアメリカが紹介されている。
ドラッグ、セックス、金、暴力、殺人、人種差別、男女差別、成り上がろうと企む男女、本音と建前の違う社会など、三面記事から集めた話題となれば、「いくらんなんでもそりゃーやりすぎだろう」というような限度を超えたことばかりだ。ハチャメチャなエネルギーに満ちたアメリカが伝わってくる。
気の利いたジョークで、不幸も幸福も笑い飛ばしてしまう。
憚れるようなえげつないジョークも飛び出して、三面記事のアメリカはまさにカニバケツだ。
抜群の情報収集力と分析力をもとに、たんたんとした語り口で書かれたコラムは読み応え十分。あとがきで著者は「底の方から見ている」と書いている。つまりバケツの底からだ。
著者の紹介するスラップスティックなアメリカは、なにはともあれ大いに魅力的だ。→人気ブログランキング
キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/町山智浩/文春文庫/2011年
USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実 /町山智浩/ちくま文庫/2011年
底抜け合衆国: アメリカが最もバカだった4年間/町山智浩/ちくま文庫/2012年
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