『日の名残り』
ダーリントン邸の新しい主人ルイス(クリストファー・リーヴ)は、執事のス(アンソニー・ホプキンス)に車での旅行をすすめた。
原題:The Remains of The Day
監督:ジェームス・アイヴォリー
原作:カズオ・イシグロ
製作国:アメリカ 1993
★★★★★
かつてのダーリントン邸では、国際的な会合や政府要人の会合が瀕回に行われ、ダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)のもとで、スがそれらをとり仕切っていた。
そんな中、堅実なスと勝気な女中頭のミス・ケントン(エマ・トンプソン)は、対立を繰り返しながらも惹かれあっていった。しかし、仕事を優先するスは、ミス・ケントンの思いに応えようとしなかった。
自己抑制することで執事として役目を全うしようとした。
やがて、ミス・ケントンに結婚話が持ち上がり、邸を去って行った。
20年が経ち、スは元女中頭が夫とうまくいっていないことを手紙で知った。今回の旅行の目的は彼女に会うことである。あわよくば、仕事に戻ってもらえるかもしれないと考えるのであった。
元女中頭と再開し、「人生を誤ったと思うことがある」と彼女が告白すると、スは「人は皆人生に後悔があるものだ」と自己を弁護することを言うのである。彼は最後まで心情を明らかにする言葉を吐けなかったのだ。
原作よりも、スとミス・ケントンの関係に焦点が当たり、大人の恋愛ものになっている。
影の存在に徹する執事の役柄を、アンソニー・パーキンスが見事に演じている。威厳がありそうで、どこか滑稽で、慇懃すぎず、浮世離れした独特の味が、醸し出されている。
それにしても、スにハンニバル・レクター博士の影がちらついて困った。
→【2012.04.14】『日の名残り』 カズオ イシグロ
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