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2012年5月

2012年5月31日 (木)

『ある公爵夫人の生涯 』

ある公爵夫人の生涯 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
原題:The Duchess
監督:ソウル・ディブ
脚本:ソウル・ディブ
原作:アマンダ・フォアマン
製作:ガブリエル・ターナ マイケル・クーン
製作:イギリス  2008年

18世紀後半、スペンサー家で育った17歳のジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)は英国で最も裕福なデヴォンジャー公爵(レイフ・ファインズ)のもとに嫁ぐ。
美貌と知性を備えたジョージアナは、社交界で注目の的となる。
しかし公爵はジョージアナに世継ぎを残すことだけを求め、愛情を示すわけではなかった。
ジョージアナは公爵が女中に産ませた女児と自らの娘ふたりを、分け隔てなく育てるが、公爵は娘たちに見向きもしない。

あるパーティで知り合ったエリザベス・フォスター(ヘイリー・アトウェル)の身の上話を聞いて、そのベスを館で住まわせることを公爵の願う。ベスにはふたりの息子がいるが、夫から家から追い出され、子どもに会えない日々が続いているという境遇である。
やがてベスが館で暮らすようになり、あろうことか夫はベスと不倫関係になってしまう。
公爵は、英国で公爵夫人を愛さない唯一の男とまで陰口を叩かれるようになる。

やがて、ジョージアナは、若い政治家のチャールズ・グレイ(ドミニク・クーパー)に肩入れをして、彼女も人気も手伝って、グレイは当選する。やがてふたりは情事を交わすようになり、スキャンダルになっていく。

ジョージアナ・スペンサーは故ダイアナ妃の祖先にあたる。
クイーン』を観ると、ダイアナとジョージアナがダブっているようにみえてくる。

2012年5月30日 (水)

チョコレートの世界史 武田尚子

バレンタインデーを当て込んで発刊したチョコレートの本だろうと思って手にとったら、まるで違った。
あくまでチョコレートに関する歴史書である。
Photo_20201118084101チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石
武田 尚子
中央公論新社
2010年

チョコレートの歴史は、大きく3つに分けることができると思う。
「カカオ豆の時代」、「ココアの時代」、「チョコレートの時代」である。本書にこの時代区分が記載されているわけではないが、こうして3つに分類すると理解しやすい。
「カカオ豆の時代」は、中米でカカオ豆が貨幣の代わりや薬として用いられた時代のことである。カカオ豆は王侯貴族たち専有の貴重品だった。
「ココアの時代」は、大航海時代になって新大陸のカカオ豆がヨーロッパに持ち込まれたころから、庶民がココアを飲むことができるようになるまでである。
カカオについての宗教論争が巻き起こった、ややこしい時代である。
ココアが飲み物か食べ物かの論争がなんと100年も続いたというのだ。カソリック教徒には断食の戒律があったので、飲み物であれば断食のときに栄養源になりえて都合が良かった。他の宗派はそうはいくものかと、飲み物にしてしまうことに反対した。
また、カカオ豆をどうしたら飲みやすい物にできるかの、研究が重ねられた時代である。
カカオは、茶やコーヒーのように簡単に加工はできなかった。
「チョコレートの時代」は、特にイギリスおいて、ココアが固形のチョコレートに生まれ変わり、庶民の手が届く値段で普及していく時代である。

著者はバレンタインデーについて、まったく言及していない。
チョコレートの悠久な歴史からみれば、毎年バレンタインデーに繰り広げられる極東の国のチョコレート騒ぎは、さしたる歴史的な意味を持たないことのようだ。
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高級ショコラのすべて』小椋三嘉
チョコレートの世界史』武田尚子

『ミスティック・リバー』

ミスティック・リバー [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-04-21)
原題:Mystic River
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
原作:デニス・ルヘイン
音楽:クリント・イーストウッド
製作:アメリカ 2003年

ジミー(ショーン・ペン)の19歳の娘ケイティ(エミー・ロッサム)が背後から銃で打たれ殺害される。
娘をこよなく愛していたジミーは悲嘆にくれ、自ら犯人を突き止めようと、取り巻きたちに犯人探しを命じる。
ジミーはかつて強盗事件を起こし刑務所暮しをしていた。今は雑貨屋を営んでいる。

デイブ(ティム・ロビンス)は、ケイティがバーで踊っていたところを目撃している。その夜、手と腹部をを負傷した帰ってきたデイブに、妻が問いただすと、車に乗ろうとしたところ強盗にあい、腹を刺され右手を負傷したと説明する。ひょっとすると強盗を殺してしまったかもしれないという。病院に行くことを頑なに拒否する。
しかし、その後デイブのいうような事件は新聞に書かれていない。

一方、郡警察のショーン(ケヴィン・ベーコン)は、森の中で殺されているケイティーを発見した。
捜査を進めるうちに、以前に起きた強盗事件で使われた拳銃が、ケイティーを殺したものと同じであることが判明した。その拳銃のありかはどこなのか。

子どもの頃、デイブとジミーとショーンは幼馴染でよく一緒に遊んでいた。
ある日3人の前に警察のふりをした男が車で現れ、デイブを連れ去った。デイブは暴行を受け4日後に帰ってきた。
デイブはそのトラウマから抜けきれず、悩み続けている。

ショーンはケイティが殺された夜のデイブのアリバイに疑問を持ち、連行して尋問する。
デイブの妻は夫に疑惑があるとジミーに告げてしまう。
ジミーたちはデイブを連れ出し、ケイティの殺害を白状させようと迫る。
そして、予想もしない人物が犯人として浮かび上がる。

不条理な復讐劇に、何とも言えないやり切れなさが残る。
原作は、デニス・ルヘインの同名の小説。

2012年5月29日 (火)

スリーウィメン

HBO(アメリカのケーブルテレビ)のTVムービー。
時間を越えて、ひとつの家に起こる3人の女性の妊娠にまつわるオムニバス。

1973年、アメリカ合衆国最高裁判所のロー判決により、妊娠を継続するか否かはプライバシー権に含まれるとして、堕胎の権利が認められるようになった。
しかし、プロライフ派などを中心にキリスト教右派は、強鞭に中絶反対の立場を貫いている。
1992年には中絶医の射殺事件、1998年には中絶専門病院の爆破事件が起こっている。その後もこうした事件は跡を絶たない、という宗教国家アメリカならではの背景がある。時代設定が重要な鍵になっている。
Photo_20201202141301スリーウイメン
If These Walls Could Talk
監督:ナンシー・サヴォカ/ シェール
製作総指揮:デミ・ムーア/スーザン・ドット
音楽:クリフ・エデルマン
製作:アメリカ  2005年

1952年、看護婦のクレア(デミ・ムーア)は、亡くなった夫の弟に迫られれて妊娠してしまう。なんとか堕ろそうと薬を飲んだり、自分で掻爬を試みるが無駄であった。やがて、堕胎を請け負う人物と連絡がつく。。

1976年、大学に通う主婦のバーバラ(シシー・スペイセク)は、大学入学を控える娘を筆頭に4人の子供がいるのに、妊娠してしまう。彼女は、順調に進んいることを出産で中断しなければならないと悩んでいる。娘は母親に、数年前に合法化された中絶を勧めるが、バーバラの心は揺れる。

1996年、教授との不倫関係で妊娠した大学生のクリスは人工中絶を決意する。病院の前にはプロライフ派の人々が押しかけて騒然とするなか、掻爬手術が始まろうとしている。。
3話目は産科医をシェールが演じ、監督も務めている。
この問題に、彼女はただならぬ思い入れがあるのかもしれない。→人気ブログランキング

2012年5月28日 (月)

トゥルー・クライム

妻と離婚の危機にあるヴェテラン新聞記者のスティーヴ・エヴェット(クリント・イーストウッド)は女グセが滅法悪く、仕事仲間とうまくいかず、酒での失態を繰り返してきた。
Image_20201216093101トゥルー・クライム
原題:True Crime
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ラリー・グロス
原作:『真夜中の死線』 (創元推理文庫) アンドリュー・クラヴァン
製作:クリント・イーストウッド
音楽:レニー・ニーハウス
主題歌:ダイアナ・クラール「ホワイ・シュッド・アイ・ケア」
製作:アメリカ 1999年

スティーヴは自身の新聞記者としての勘を信じている。
勘によってスクープをものにしたことがあるが、痛い目にあったこともある。
女店員殺しの罪で間もなく死刑が執行されるフランク(イザイア・ワシントン)の取材を始めると、証人の証言と物的証拠に誤りがあることに気づいた。フランクに面会したスティーヴは、フランクの無罪を確信する。
土壇場で無罪を勝ち取り、スクープをものにすれば、自分自身の活路も見いだせる。
死刑執行が間近に迫るなか、スティーヴはフランクの無実を証明しようと奔走する。

最後に流れる、ダイアナ・クラールが歌うイーストウッド作曲の「ホワイ・シュッド・アイ・ケア」は、心にしみる。→人気ブログランキング

Image_20201216093901ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ
ダイアナ・クラール
ユニバーサル ミュージック クラシック
2005年
『トゥルー・クライム』の主題歌「ホワイ・シュッド・アイ・ケア」を含む13曲が収録されている

2012年5月27日 (日)

『舟を編む』 三浦しをん

舟を編む

舟を編む

posted with amazlet at 13.12.04
三浦 しをん
光文社
2011年9月20日
ISBN 978-4-344-92776-9
★★★★☆

大手総合出版社のに勤務する27歳の馬締光也(まじめみつや)は、ある日、辞書編集部に転属を命じられる。
営業部では変人として持て余されていたが、言葉にこだわる非凡な能力を買われて、辞書編集部に迎え入れられたのだ。
辞書編集部は馬締を加えて4名と小所帯であるというのに、2カ月後には上司が定年になる。
不景気で採算性のよくない辞書編集部に、人員の補充は望めない。
無謀なことに、定年になる上司が中心になって、広辞苑や大辞林クラスの中規模の辞書、20万余の項目を収録する『大渡海』の出版がすでに計画されている。
『大渡海』は、「辞書は言葉の海を渡る舟、海を渡るにふさわしい舟を編む」という思いを込めて上司たちが名付けた。
その責任者を馬締が引き受けることになる。

辞書を作る作業は、編纂に携わるそれぞれが日々の暮らしの中で拾い集めた言葉を、用例採集カードにメモし蓄積しておくという単純な作業の積み重ねからなりたつ。
その言葉の語源を調べ、関連図書を探り、メモに書き込んでいく。
辞書を作る段になって、それらのカードのなかからどの言葉を採用すべきかを検討する。
ひとつの言葉の持つあらゆる意味を拾い、それを深く掘り下げ、そして最小限の言葉で表す(語釈)という作業が、延々と行われるのだ。
それぞれの分野の専門家にも専門用語の執筆を依頼する。
こうした作業は、馬締の執念によって13年の間に少しずつ進んでいた。

本書は、辞書の編纂が、いかに膨大な労力と時間そして資金がかかる作業であるかを教えてくれる。
辞書を作り上げる過程の舞台裏が、人間味豊かにそして面白く書かれている。著者の意図するところは十分に満喫できるけれど、コミック風の軽さが漂っているのは否めない。

→映画『舟を編む』2013年/The Great Passage/石井裕也

2012年5月26日 (土)

『上海』

太平洋戦争開戦直前1941年、上海では日米英独が入り乱れて勢力争いにしのぎを削っていた。
米国諜報員ポール・ソームズ(ジョン・キューザック)は、カジノで会う約束をしていた同僚のコナーが殺されたこを知る。コナーは上海の有力マフィアのボス、アンソニー・ランティン(チョウ・ユンファ)の捜査をしていた。
ソームズはドイツ大使館で開かれたパティーで、日本軍諜報部のトップのタナカ大佐(渡辺謙)と、ランティンの妻アンナ(コン・リー)に会う。アンナの父親は南京事件を批判して、日本軍に殺された政治家だった。アンナは日本軍から身を隠すかのように、ランティンと結婚した。
ソームズとアンナは情報を共有することで、信頼関係が生まれていく。
そんななか、反日レジスタンス活動が始まる。
アンナは夫に隠れてレジスタンス活動に加わっていたのだった。アンナたちはタナカが擁護するジャンキーのスミコ(菊池凛子)を手中にいれて、拘束されている仲間との交換を迫ろうとするが、ソームズは無駄だという。必要がなくなられば殺してしまう連中である。
ついに、日本が真珠湾攻撃をしかけ太平洋戦争が勃発する。上海ではレジスタンスと日本軍の銃撃戦が起こり、タナカは腕を負傷する。
上海が徐々に日本軍に支配されていくなか、欧米人を優先的に出国させることになり、ソームズとアンナは港の検問所に向かう。そこには、負傷したタナカ大佐が待っていた。
・・・・・・
ネオンが妖しく輝く混沌と退廃の魔都上海で繰り広げられる、陰謀と策略と欲望が交錯する、戦争アクションサスペンスミステリ。
見応えあり。→公式サイト

2012年5月25日 (金)

ミリオンダラー・ベイビー

トレラーハウスで育った31歳のマギー(ヒラリー・スワンク)は、ウェートレスの仕事をしながら、ボクシングに打ちこんでいる。
彼女は、小さなボクシングジムを経営する初老のトレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)に弟子入りを懇願するが、女の面倒はみないと断られる。
Photo_20210226075201ミリオンダラー・ベイビー
原題:Million Dollar Baby
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ポール・ハギス
音楽:クリント・イーストウッド
製作:アメリカ  2004年

ジムの雑役係スクラップ(モーガン・フリーマン)は、かつてフランキーが治療係務めたボクシングの試合で、選手生命が絶たれるケガを負った。フランキーは、なんとかできなかったかと良心の呵責を感じている。
マギーのトレーニングに励む姿に、フランキーは心を動かされ、ついに指導を始める。やがてフランキーと家族の愛に恵まれないマギーの間には、師弟関係を超えた深い絆が芽生えていく。
そしてマギーはメキメキと腕を上げチャンピョンに挑戦するまでになる。

いよいよ、百万ドルのファイトマネーを賭けたタイトル・マッチの日がくる。チャンピョンは汚い手を使うことで知られるビリー。試合はマギーの優勢で進んだものの、ビリーの反則攻撃によりマギーは致命傷を追ってしまう。
ここで、終わっても物語は成立つのであるが、話は続く。
フランキーはあらゆる治療をマギーに受けさせるが、全身麻痺は回復しない。
やがて彼女は死を願うようになる。
・・・・・・
理由は明らかにされていないが、娘に送るフランキーの手紙は開封されず毎回送り返されてくる。
その娘への愛の代償としてマギーに愛情を注いでいる。→人気ブログランキング

2012年5月24日 (木)

マシンガン・パニック

ある夜、サンフランシスコの下町を走るバスの中で、小型マシンガン乱射事件が起こり8名が犠牲になる。犯人はそのまま立ち去った。
サンフランシスコ警察殺人課の刑事ジェーク・マーティン(ウォルター・マッソー)、レオ・ラーセン(ブルース・ダーン)たちが駆けつけ、殺された乗客の中に同僚のエバンスが含まれていることに気づく。
亡くなったエバンスはマーティンと組んで捜査に当たっていた。
事件はどんどん悲惨になる、世の中が悪くなっていくとラーセンが嘆く。
エバンスは迷宮入りになったテレサ殺人事件を非番のときに一人で捜査していた。
テレサ事件は2年前にマーティンとエバンスが手掛けたが、迷宮入りとなった事件だった。
Photo_20210423084401マシンガン・パニック/笑う警官
原題:The Laughing Policeman
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
脚本:トーマス・リックマン
音楽:チャールズ・フォックス
製作:アメリカ  1976年

やがて、マーティンはテレサ事件とバス乱射事件は関係があると推理し、テレサとつきあっていたカメレロの身辺調査を始める。そしてカメレロの正体が明らかになっていく。
マーティンたちは尾行を続け、それとなくカメレロに精神的な圧力を加えていった。
ある日、マーティンが尾行していると、トランクをかかえたカメレロがバスに乗り込んだ。マーティンも強引にそのバスに乗り込む。
・・・・・・
本作は、ドキュメンタリーのような描き方でとっつきにくい。
原作の『笑う警官 (角川文庫)』は、ペール・ヴァールーとマイ・シューヴァル共著によるスウェーデンの警察小説「マルティン・ベック シリーズ」の第4作である。文庫の解説では、本作品を駄作と断じている。
舞台をストックフォルムからサンフランシスコに移している。→人気ブログランキング

2012年5月23日 (水)

クイーン

ダイアナの死に振り回される女王と王家を、さもありなんという筋書きで描いた作品。
チャールズ皇太子と離婚し、アルファイドと婚約寸前までになっていたダイアナは、1997年8月31日パリでアルファイドとともに交通事故に遭い亡くなる。
チャールズ皇太子との結婚中も離婚の後も、ダイアナは王家にとって頭痛の種である。民間人となったダイアナの死に対し、無関係の立場をとってもいい女王は冷たい対応をする。
Image_20210120084101クイーン
原題:The Queen
監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本:ピーター・モーガン
音楽:アレクサンドル・デプラ
製作:イギリス  フランス   イタリア   2006年

ところが、ダイアナを悼む国民は、女王や王家に対して批判的になっていく。バッキンガム宮殿の正門前には、衛兵の交代式ができなくなるくらいの、おびただしい数の献花が供えられる。
夫のエディンバラ公爵と王太后は半旗を掲げる必要はないと言う。そもそも王家に半旗を掲げる習慣はない。
公爵は、「ダイアナは、ゲイと、セレブと最近いわれる人たちに人気がある」と吐き捨てるようにいう。
やがて、世論調査は、王室の廃止を望む声が存続を上回る結果になる。

国民寄りの立場をとるのはチャールズ皇太子であり、女王に世論の動向を伝えるのは、選挙で勝利を収めたばかりの労働党のブレア首相である。

そして、世論に屈するような形で、女王は声明を発表し追悼の意を表する。バッキンガム宮殿には、伝統を破りユニオンジャックが半旗として掲げられた。
国葬にすべきとする世論に対し、英国議会は王家の伝統を鑑み、国民葬(9月6日)とした。
ダイアナは、王家にとっても英国民にとっても、なにかとお騒がせな女性だった。
ある公爵夫人の生涯』の主人公デヴォンジャー公爵夫人のジョージアナは、ダイアナと同じスペンサー家の出身。→人気ブログランキング

2012年5月22日 (火)

『ある貴婦人の肖像』

19世紀の末。イザベラ(ニコール・キッドマン)は、両親をなくしアメリカからイギリスに渡り、大富豪の叔父の庇護のもとで暮らしている。
アメリカ人のゲートウッド卿からプロポーズされるが、もう少し世の中をみたい自分にはやりたいことがあると断る。
叔父の息子ラルフは結核を患っていて、長くは生きられないと自ら悟っている。
やがて、叔父がなくなり、イザベラに膨大な遺産の一部が転がり込む。相続した遺産は7万ポンドで、彼女は大金持ちになる。

ある貴婦人の肖像 [DVD]
ある貴婦人の肖像
posted with amazlet at 12.05.22
ビデオメーカー (2011-09-09)
原題:The Portrait of a Lady
監督:ジェーン・カンピオン
脚本:ローラ・ジョーンズ
音楽:ヴォイチェフ・キラール
製作:イギリス  1996年 ★★★★☆



ある日、イザベラはフィレンツェに住む子持ちのオズモンド(ジョン・マルコヴィッチ)を紹介される。美術品を収集し、話術が巧みなオズモンドにイザベラはどうしたわけか魅かれる。
オズモンドの人間性を身抜いたラルフの猛反対を振り切ってプロポーズを受けてしまう。

案の定オズモンドは狭小で陰鬱、自分ことしか考えない冷徹な男である。
娘の結婚相手が現れると、裕福でないという理由で娘から遠ざけ、金持ちの男爵と結ばれるようイザベラに画策させる。
しかし、オズモンドの思惑通りにいかないことで、イザベラを責めるのだった。
やがて、イザベラはオズモンドの自分との結婚が金目当てであったと気づく。

冬のある日、英国のラルフの危篤が伝えられ、イザベラは英国行きをオズモンドに願い出るが、夫は許さない。
しかしイザベラはそんな夫を振り切ってラルフもとに駆けつける。
叔父に遺産をイザベラに残すように進言したのが、ラルフであることを知り、彼のいままでの献身的な愛情に気づくのであった。→ブログランキングへ

賢く世の中を変えるかもしれないと周囲が思っている女性が、どう見てもその考えを潰そうとする爬虫類のような男に、まんまと引っかかってしまうのはどうしたことだ。

【ニコール・キッドマン主演作品(サイト内リンク)】
ラビット・ホール』Rabitt Hole/2010年
マーゴット・ウェディング』Margot at the Wedding/2007年
インベージョン』The Invasion/2007年
奥さまは魔女』Bewhiched/2005年
ザ・インタープリター』The Interpreter/2005年
記憶の棘』Birth/2004年
ステップフォード・ワイフ』The Stepford Wivwes/2004年
コールド・マウンテン』Cold Mountain/2003年
白いカラス』The Human Stain/2003年
ドッグヴィル』Dogville/2003年
バースデイ・ガール』Birthday Girl/2002年
めぐりあう時間たち』The Hours/2002年
アイズ・ワイド・シャット』Eyes Wide Shut/1999年
ある貴婦人の肖像』The Portrait of a Lady/1996年
誘う女』To Die For/1995年


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2012年5月21日 (月)

あるスキャンダルの覚え書き

労働者階級の子弟が通う、公立学校に美術の新任教師としてシーバ・ハー(ケイト・ブランシェット)が赴任してくる。
シーバのクラスで男子生徒が喧嘩を始め、彼女が仲裁しようとするが、治まらない。そこに老女性教師のバーバラ・コヴェット(ジュディ・デンチ)が現れ、あっさり喧嘩をやめさせてしまう。
シーバはバーバラに感謝し、ふたりは接近していく。
やがて、シーバはバーバラを自宅に招く。
Photo_20210520081701あるスキャンダルの覚え書き
原題:Notes on a Scandal
監督:リチャード・エアー
脚本:パトリック・マーバー
音楽:フィリップ・グラス
製作:イギリス 2006年

ある日、バーバラは学校内でシーバと男子生徒の性行為を目撃する。
バーバラは校長に知らせると脅し、シーバにすべてを告白させる。シーバのすべてを知ることが、誰からも疎まれ孤独な生活を送るバーバラにとっての楽しみである。
バーバラの忠告にもかかわらずシーバと生徒との関係は続き、潮時とみたバーバラは同僚の女教師にシーバのことをそれとなく匂わす。
思惑どおり噂はまたたく間に広がり、生徒の母親がシーバの家に乗り込んで、スキャンダルが明るみ出てしまう。
シーバは解雇され家庭は崩壊寸前となる。
定年を1年後に控えたバーバラは、シーバについての供述を拒んだことで、学校を辞めさせられる。そして、シーバに代わる次の獲物を探しに公園に現れるのだった。

バーバラの本棚には、こうしたスキャンダルを綴ったノートがずらりと並んでいる。他人のスキャンダルを握って自分の意のままにすることが無上の喜びという異常な心理が、ジュディ・デンチの絶妙の演技から伝わってくる。→人気ブログランキング

2012年5月20日 (日)

ウィンターズ ・ボーン

ミズーリ州の片田舎に暮らす17歳のリー(ジェニファー・ローレンス)は、幼い弟と妹、精神を病んだ母親の面倒をみながら、気丈に暮している。
父親は家を出て数年前に覚醒剤の製造の罪で逮捕され、保釈金のために家や土地を担保に入れた。裁判の日に姿を見せず、行方不明になっている。
リーは、次の裁判が開かれる日に父親が現れなければ、土地と住む家を没収すると告げられた。
Photo_20201212084101ウィンターズ・ボーン
Winter's Bone
監督:デブラ・グラニック
原作:ダニエル・ウッドレル
音楽:ディコン・ハインクリフェ
製作国:アメリカ  2011年

彼女は父親の消息を知ろうと親戚を訪ねるが、誰もが沈黙を守っている。父を探すことは闇社会に足を踏み入れることだった。探し回ることを辞めるように親戚たちから脅しをかけられるのであった。
しかし諦めずに探しているうちに、父親が親戚の誰かに殺害されたことを知る。
父親が死んだ証拠を期限の1週間後までに裁判所に提出しなければならない。やがて、はじめは協力的ではなかった、父親の兄が力を貸してくれるようになる。
暴行を受けても引き下がらないリーの必死に父親を探す姿をみて、親戚たちが消息を教えるのだった。

父の死が証明されても、一家の生活が変わるわけではなく、見終わったあとにやりきれなさが残るが、リーの健気な生き様が心に残る不思議な魅力もつ作品である。
舞台となったオーザック地方は都会と完全に隔離されていて、この地でしか通用しない言い回しがいくつもあるという。→人気ブログランキング

2012年5月19日 (土)

『目撃』

目撃(Blu-ray Disc)
目撃(Blu-ray Disc)
posted with amazlet at 12.05.18
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-07-14)
原題:Absolute Power
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
原作:デイヴィッド・バルダッチ
音楽:レニー・ニーハウス
製作:アメリカ 1997年
★★★★

ルーサー・ホイットニー(クリント・イーストウッド)は腕利きの泥棒である。彼が富豪の留守宅に忍び込み、貴金属や金をバックパックに詰めいざ屋敷から出ようとしたときに、ハイチに出かけたはずの富豪の若い妻と不倫相手の中年の男が、部屋に入ってくる。
彼は逃げ出すことができずに、マジックミラー越しにふたりの情事を見ている。
男はサディスティックになり、それを逃れようとした女がナイフを振りかざしたその時に、女は背後から撃たれて死亡する。
男はアメリカ合衆国大統領(ジーン・ハックマン)、撃ったのはシークレットサービスの男たちだった。
そこに、女性補佐官(ジュディ・デイヴィス)が現れて証拠を隠滅し彼らは立ち去るが、血のついたナイフを置き忘れてしまう。
ナイフを取りに男たちが戻ったときに、ルーサーはナイフを持って逃走していた。

警察の捜査陣は、辻褄が合わない強盗殺人事件にとまどう。一方大統領サイドも独自の手を打つ。
やがて、華麗な盗みの手口からルーサーが容疑者として浮上する。
彼は外国に高飛びするつもりで空港に行くが、テレビに映し出された殺人事件ついての大統領のスピーチに憤りを覚え出国を思い直す。
モラルの欠如した大統領に悪事の報いを受けさせようと画策しはじめる。
ルーサーへの捜査の輪が絞られて行くなか、警察は彼の娘(ローラ・リニー)を囮にして逮捕しようとするが、すんでのところで失敗に終わる。
そして、大統領サイドは娘の口を封ずるために、娘を車ごと崖から突き落とす。
・・・・・・
ルーサーは娘の成長期に、刑務所に入っていて娘と関わることができなかったことに対し、良心の呵責を感じている。
出所したルーサーは娘の前に姿を現すことはほとんどなかったが、折につけ密かに娘をカメラに収め、その写真を自室に飾っていたのだった。
イーストウッドのテーマのひとつである父性性が、本作では明快に描かれている。
結末は痛快。

2012年5月18日 (金)

アメリカの食卓 本間千枝子

メリル・ストリープが演じるジュリア・チャイルドの映画を観ていて、以前に読んだことがある話だと思った。
チャイルド夫人は一般向けのフランス料理の本を書き、テレビの料理番組に出演し、アメリカの家庭料理に革命をもたらしたと言われる人物である。
Image_20201127102401アメリカの食卓
本間千枝子
文春文庫
1984年

料理番組の箇所は、次のように書かれている。
<彼女(ジュリア・チャイルド)の悠々迫らざるモノローグの説明はごく自然で、役者ぶりはまさに天下一品、まるでカメラを意識していない。動作の方も、失敗するまい、より良く見せようという、背伸びしたこせこせしたところがまるでない。何かを落としたり、置き忘れたり、見る方の側があれはミスだな、と気付くことをしでかしても、決してあわてたりしたことがなかった。私はいつしか彼女のスケールの大きな物腰や人柄に魅かれ、ファンになった。>
まさに著者が書いている通りのことを、映画のなかの白黒のテレビの画面に映っているメリル・ストリープが演じていた。

本書は、著者が1940年代後半からから70年代にかけて通算7年にわたるアメリカ生活で経験したアメリカ食文化についてのエッセイ集である。エッセイとはいっても、あとがきにあるように、アメリカの食を肌でとらえた著者ならではの視点に基づいた「アメリカ料理開拓史」のニュアンスがある。

ラフカディオ・ハーンの料理本を捜し求めるくだりや、その時代の随一の散文家と著者が折り紙をつけるM・F・K フィッシャー夫人に直接会いに行くくだりに、著者の何事に対してもとことん追求する姿勢がうかがわれる。
さりげなく引用される先人の箴言や食に対する言葉の数々、そして横溢せんばかりの著者の知識が、本書を格調高くしている。→人気ブログランキング

ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本/ラフカディオ・ハーン/河島弘美 監修 鈴木あかね 訳 /CCCメディアハウス/2017年
『ジュリア&ジュリー』DVD

2012年5月17日 (木)

『シャーロック・ホームズ』

シャーロック・ホームズ [DVD]

シャーロック・ホームズ

posted with amazlet at 12.05.12
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-11-23)
原題:Sherlock Holmes
監督:ガイ・リッチー
製作国:イギリス  アメリカ オーストラリア 2009年
日本公開:2010年3月12日

Amazon.co.jp で詳細を見る

 

ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)は、黒魔術の儀式を行い若い女性を次々と殺害したブラックウッド卿(マーク・ストロング)を逮捕した。
ブラックウッド卿は、必ず生き返って殺人を繰り返すとホームズに宣戦布告する。
絞首刑が施行され、ワトソン(ジュード・ロウ)医師が死亡を確認したはずのブラックウッド卿が墓から蘇り、再び殺戮を始める。
ブラックウッド卿の野望は、自らが国を掌握し、かつての大英帝国の植民地を奪還し、アメリカを手中に入れ、世界を我がものにすることである。
自らに同調する有力者たちを修道会に集め、誓いの儀式を行なった。
野望を実現するために、大量殺戮機械、兵器、毒薬、解毒薬を部下に開発させていたのだった。

本作のホームズは不潔で自分勝手、ワトソンの婚約者メアリー(ケリー・ライリー)に対し、彼女の過去を暴くという無礼をはたらき、顔にワインをかけられてしまう。
彼はブラックウッド卿が蘇ったカラクリを、得意の推理で解き明かす。彼は練達の武闘家であり、頭脳的な動きで悪党どもをなぎ倒おす。
元軍人のワトソン医師も仕込み杖を使って、ホームズの危機を救う。
敵か味方か判然としないアイリーン(レイチェル・マクアダムス)もホームズ側について、ブラックウッド卿にたち向う。
脚本を担当したライオネル・ウィグラムのコミックノベルに基づいているとのこと。
コナンドイルの原作とは異なるアクションものになっている。

次作『シャーロックホームズ シャドウゲーム』に登場するモリアティ教授の影がチラついている。

【2012.04.17】『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』

2012年5月16日 (水)

スノーボール・アース  生命大進化をもたらした全地球凍結

こんなに刺激的でワクワクさせる科学ノンフィクションには、そうお目にかかれない。
地球が誕生したのは46億年前、生物が生まれたのが35億年前、先カンブリア時代は地球が生まれてからの40億年間である。
地球の歴史の90%を占めるこの時代に、何の変化も起こらなかったとされる。
つまり、生命の進化の歴史にとって暗黒の時代である。
藻類やアメーバーのような単細胞生物が進化することなく地球上に生存していた。
カンブリア紀に入ると、多細胞生物が爆発的に出現して、凄まじい速度で進化が始まった。
なぜ、前カンブリア時代には進化が起こらなかったのか。そして、カンブリア紀になって爆発的進化が起こったのはなぜか。
__20210312141301スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結
ガブリエル ウォーカー
川上紳一 監修  渡会圭子 訳
早川ノンフィクション文庫
2011年

この謎を解く鍵は、先カンブリア時代に潜んでいるのではないかと、本書の主人公ポール・ホフマンは考えた。
その鍵とは、ポールが提唱する「スノーボールアース説(全地球凍結仮説)」である。
前カンブリア時代は地球が氷で覆われていた時代がかなり長くあったという説である。
最近あった何回かの短い氷河期のことではない。

本書は、スノーボールアース説を信念をもって提唱し続けるポールとその先駆者たち、そして同時代のこの仮説に反対の立場をとる人たち、あるいは賛同する人たちのノンフィクションドラマである。いずれも強い個性の持ち主ばかりだ。

スノーボールアース説は、主に「ドロップストーン」「炭酸塩石」「石に含まれる磁性物質」についての研究に基づいて構築されている。
ドロップストーンは氷河にえぐり取られた石であり、前カンブリア時代のドロップストーンが赤道付近で発見されている。
炭酸塩石は温かい海で作られる。炭酸塩石の層のあいだにアイスロックがあれば、その地層はある時期に氷に覆われていたことになる。
石は生まれた場所に固有の地球の磁場の特性を帯びているので、磁性を調べればその石の素姓がわかる。
先カンブリア時代の終わりに磁性の強い鉄鉱石が世界中に見られる。この原因は氷、海が凍っていれば空気から遮断される。そのあいだに海底火山から鉄分が海に溶け出し、氷が溶けて海水が空気に触れれば、一気にさびて鉄鉱石の層が生まれる。

巨大隕石の衝突による恐竜滅亡説も大陸移動説(プレートテクトニクス)も、はじめは馬鹿げたものだと思われていたが、今や受け入れられているように、スノーボールアース説もやがて受け入れられるだろうと著者はいう。→人気ブログランキング

2012年5月15日 (火)

『ジュリー&ジュリア』

ジュリー&ジュリア [DVD]

ジュリー&ジュリア

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Julie & Julia
監督・脚本:ノーラ・エフロン
原作:ジュリー・パウエル ジュリア・チャイルド
アメリカ  2009年 123分 ★★★★☆

本作品は、ふたつの実話に基づいて作られている。
1949年、ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は、外交官の夫と共にパリに引っ越してくる。
フランス料理に感激し食にめざめたジュリアは、名門の料理学校に入校し、あろうことかシェフ養成コースに席をおく。ジュリアは、愛嬌のある陽気な性格で、少しくらいの失敗はものともせず奮闘しつづけ上達してゆく。
食べることと飲むことが大好きなジュリアは、やがて、友人ふたりと素人向けの料理本を執筆するという大胆なことを思いつく。
マッカーシズムが加熱するなか、夫は身辺調査をされ転勤を命ぜられたりし、平穏な暮らしばかりではなかった。
ジュリアは持ち前のバイタリティーで、そうした困難を乗り切っていく。やがて、本を書き上げテレビの料理番組『フレンチ・シェフ』で、人気者になっていく。

 

その50年後の2002年、ニューヨークで公共機関に勤めるジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は、「9.11」の市民相談係として、応対に追われる毎日である。
そんなマンネリな日々を脱却しようと、小説家志望だったジュリーは、ジュリアの料理本に載っているレシピを片っ端から作り、それを食べて毎日ブログに書くという無謀なことを思いついた。夫は大賛成だった。
料理に明け暮れブログを書くことに追われるジュリーだったが、ブログの閲覧ヒット数はさっぱり増えず、コメントも寄せられなかった。やがて、仕事をこなし料理を作りブログを書くことに疲れ、己れを見失ってしまう。
そんなある日、新聞社から取材のオファーがくる。

生きた時代も環境も異なるジュリアとジュリーが料理に生き甲斐をみつけていく過程を、シンクロさせ交互に描いている。
料理好き、食べ物好きにはこたえられない作品。
ジュリアたちの著書『フランス料理の達人』は、アメリカの主婦たちの料理の腕を画期的に上げるきっかけになったと言われている。
公式サイト

2012年5月13日 (日)

フライド・グリーン・トマト

人種差別、ドメスティック・バイオレンス、ミステリの要素があり、ゲイかもしれず、カニバリズムの疑惑もあって、涙あり感動ありの息もつかせぬストーリー展開。
『ミザリー』で見る者を恐怖のどん底に引き込んだキャシー・ベイツがエヴェリン役で、『ドライビング Miss デイジー』でアカデミー主演女優賞を獲得したジェシカ・タンディがニニー役で、いい味を出している。
Image_20210131084301フライド・グリーン・トマト
Fried Green Tomatoes
ジョン・アヴネット
ファニー・フラッグ
アメリカ 1991年

エヴリンは夫のエドへの愛情が失せつつあり、夫婦仲は倦怠期そのもの。彼女は自己啓発セミナーに通いマンネリ生活から脱却しようと奮闘するが効果はない。
そんなある日、叔母の面会で訪ねた老人ホームで、ニニーに出会う。そしてニニーが語る昔話にエヴリンは引き込まれていく。

約50年前、アラバマの小さな町に暮らす男勝りのイジー(メアリー・スチュアート・マスターソン)は、最愛の兄バディを事故で亡くしてしまう。失意のイジーとバディの恋人だったルース(メアリー=ルイーズ・パーカー)のふたりは友好を深め、お互いになくてはならない存在になっていた。
やがてルースは結婚する。
しかし、夫のフランクが彼女に暴力をふるい、イジーは身重のルースをフランクのもとから連れて帰る。
イジーとルイスは、黒人やホームレスたちも入ることができる食堂を経営し、店は繁盛する。
しかし、黒人に優しい対応をするふたりを、快く思わない住人がいた。フランクやKKK団から嫌がらせを受け続けていた。
そして、村の祭りの夜に、赤ん坊を奪い取ろうとしたフランクが車ごと姿を消す。・・・・・・
エヴリンはニニーの話に感動し、生きる希望を見い出していく。

タイトルの『フライド・グリーン・トマト』は、カフェの名物料理のこと。スライスした青いトマトに衣をつけて揚げたもの。食べてみたいね。→人気ブログランキング

2012年5月12日 (土)

セザンヌ展@国立新美術館

5月◯日(土)

東京メトロ千代田線乃木坂駅の6番改札口を出て階段を登ると、国立新美術館への連絡路にたどり着く。
その連絡路の手前で、美術展のチケットを売っていた。
お金を払おうとすると、併催されているエルミタージュ展も観る場合は200円の割引があるので、美術館入口のチケット売り場て買った方がいいと説明を受けた。

120505

まだ開館前だというのにすでに100名ほどが並んんでいた。
入館すると、音声ガイドを借りるところで渋滞している。
その次の、本美術展の趣旨を書いた看板の前にも人だかりができていて、一向に前に進まない。
今日は夏日になるとのことで、節電のせいもあるのか、汗ばんできた。
思いやられるなー。

今回のテーマは「北と南」、天気の移ろいやすい光が穏やかなパリと陽射しの強い南仏のプロヴァンスの対比だそうだ。
主に初期の作品を90点集めたとのこと。

印象派を支援したエミール・ゾラ(1840.4.2~1902.9.29)とポール・セザンヌ(1839.1.19~1906.10.22)は中学校の同級生だったという。
セザンヌはパリでは印象派に加わり、1874年の第1回印象派展に出品している。彼は若い頃から極光を浴びていたわけではないとのこと。
デッサンは上手くない。

120505_

セザンヌは傷つきやすい性格で、何かあると故郷のエクサンプロヴァンスに帰っていた。パリとプロヴァンスを行き来しながら、絵画的な実験を繰り返していたそうだ。
プロヴァンスの強い陽射しを表現するために、大胆で力強い描き方を選択していった。静物画においては、現実ではありえない多視点の構図を描いた。
こうした試みがポスト印象派として、後のピカソたちのキュビズムに繋がっていったという。
セザンヌの立ち位置がはっきりと伝わる絵画展だった。

コーヒーを飲んで一息ついたら、エルミタージュ展だ。

セザンヌ パリとプロバンス
国立新美術館
2012.3.28(水)~2012.6.11(月)
開館時間 10:00~18:00(金曜日は20:00まで)
休館日 火曜日

2012年5月11日 (金)

『小説家を見つけたら』

小説家を見つけたら [DVD]

小説家を見つけたら

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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2009-06-26)
原題:Finding Forrester
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:マイク・リッチ
製作国: 2000年 アメリカ

 

ある日、仲間にそそのかされて、小説家のウィリアム・フォレスター(ショーン・コネリー)のアパートに忍び込み、書棚の蔵書に感激する。その場から逃げるさいにバックパックを置いてきてしまう。
フォレスターは、40年前にピューリツアー賞を受賞したものの、その後文壇から姿を消し社会と断絶した生活を送っている。
翌日、バックパックは窓から投げ返され、ジャマールの創作ノートには赤字でアドバイスが書き込まれていた。
ジャマールは再びアパートを訪れ、文章の書き方を教えて欲しいと願い出る。フォレスターは、はじめは断るもののジャマールの才能を認め、やがて少年と老小説家の間に友情が芽生えてくる。
フォレスターは文章の書き方をジャマールに教え、ジャマールはフォレスターをなんとか外に連れ出そうとする。
転校先の私立高校で、ジャマールの文学の才能に気がついたロバート・クローフォード教授(F・マーリー・エイブラハム)が、ジャマールのレポートがフォレスターが昔書いたエッセイと似ていると糾弾する。ジャマールは退学の危機にさらされるが、フォレスターが汚名をなんとか晴らそうとする。

すべてを見通したかのような利発なジャマール、苦悩から徐々に開放されていくフォレスター、嫉妬深く狡猾そうなクロフォード教授、それぞれの個性が際立って描かれている。マット・デイモンが弁護士役で出演している。

2012年5月 9日 (水)

わらの犬(リメイク版)

ロサンゼルスの映画脚本家デヴィッド(ジェームズ・マースデン)と妻エイミー(ケイト・ボスワース)は、静かな生活を求め、エイミーの故郷ミシシッピー州の田舎町へ引っ越す。その道すがら、夫の運転するオープンカーの助手席に乗ったエイミーは、ダッシュボードに脚を乗せてホットパンツ姿。しょっぱなからこれだ。悪い予感がする。
Photo_20201225082801わらの犬
原題:The Storow Dods
監督:ロッド・ルーリー
製作国:アメリカ  2011年

ふたりは家の修理をエイミーの高校時代の恋人チャーリー(アレクサンダー・スカースガード)と仲間の3人に依頼する。チャーリーはかつてアメフトの花形クオーターバックだった。

1

タンクトップにホットパンツ姿でジョギングするエミーを見て、彼らは欲情する。夫は妻に、身体を見せすぎだと言う。二階の窓から屋根の修理をする4人に、ジョギングから帰ったエイミーが、上半身の裸を見せてしまう。
なんでまたそんなことしでかすのか、それは挑発ってもんでしょう。

2

楽しみといえば、高校のアメフトの試合と鹿狩りと教会の行事くらいしかない、うだるように暑いミシシッピーの田舎町、町の誰もがふたりを好奇の目でみる。
住人たちには、 故郷を捨てたエイミーに対する非難の感情が芽生えている。一方、デヴィッドは、教会の説教の最中に席を立って外に出たり、南部の流儀を無視したり、バーで郷土料理が口に合わないとあけすけに言ったりする。

3

ある日、彼らはデヴィッドを鹿狩りに誘い出し、留守中にエイミーに暴行を加えた。
最後に展開される何もそこまでしなくともと思うような暴力シーンは、観る者をほとほと疲れさせる。
「わらの犬」は、老子の言葉で、「天から見れば、人間の行動は護身のために焼くわらの犬のようにちっぽけな存在」という意味だそうだ。

1971年制作のバイオレンス映画の金字塔『わらの犬』(サム・ペキンパー監督、ダスティ・ホフマン、スーザン・ジョージ出演)のリメイク版。→人気ブログランキング

2012年5月 8日 (火)

『マルタのやさしい刺繍』

マルタのやさしい刺繍 [DVD]

マルタのやさしい刺繍

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CCRE (2009-04-03)
原題:DIE HERBSTZEITLOSEN/LATE BLOOMERS
監督:ベティナ・オベルリ
製作国:スイス 2006年
日本公開:2008年10月

Amazon.co.jp で詳細を見る

 

街で生地店のレースを見ているうちに、マルタは叶えられなかった若い頃の夢を思い出す。刺繍が得意だった彼女は、パリに自分で刺繍をしたランジェリーの店を出すことが夢だった。最初は、彼女を手伝うのはリージだけ。
ある日、村の青年団長に計画を知られてしまい、噂はすぐ村中に広がり、村人はマルタたちに眉をひそめる。

それでも夢の実現に向けて困難に立ち向かうマルタたちの姿を見て、彼女の友人たちは自動車教習所へ通ったり、パソコン教室に参加したりして積極的になっていく。
やがて、待ちに待ったランジェリーショップ「Petit Paris」がオープンする。村にはランジェリーを買う客はいないので、インターネットで販売を始めると、次々と注文が舞い込んできた。
諦めず挑戦するマルタと友人たちを、村人はそれまでとは違った目で見るようになる。
明日を信じて希望をもって奮闘する老女たちは輝いている。

ランジェリーがいい、これが、帽子とかアクセサリーとかハンドバッグとかじゃ魅力がない。なんと言ったって、女性の下着はフェチな男どもの憧れだから。
女の子のパンティ見たさに悪さをしたころが懐かしい。本音は見たかったわけではなく、ちょっかいを出したかった。
公式サイト

2012年5月 7日 (月)

『ブラックスワン』

ブラック・スワン [DVD]

ブラック・スワン [DVD]

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2012-03-16)
原題:Black Swan
監督:ダーレン・アロノフスキー 
脚本:マーク・ヘイマ
製作総指揮:ジョン・アヴネット 
音楽:クリント・マンセル
製作国:アメリカ 2010年

 

監督に強引にキスをされ、唇を噛んで逃れたその激しさを買われて、プリマドンナに抜擢される。
純真なホワイトスワンと、邪悪なブラックスワンの二役を演じなければならない大役である。翌日から過酷な練習が始まるが、ニナは監督の求める官能的で力強いブラックスワンを踊ることができない。監督からブラックスワンを演じるために、性的な喜びを追求し自己を開放しろと忠告を受ける。
やがて、ニナは精神的に疲れ幻覚や妄想に悩まされるようになり、代役のリリー(ミラ・キュニス)が、主役の座を強引に奪おうとしていると思うようになる。
ニナは、精神的な重圧に耐えかねて自傷行為に及び、背中の掻き傷や指先の傷から血が滴り落ちるのだった。

ニナと暮らす元バレリーナの母親エリカ(バーバラ・ハーシー)は、自らが果たせなかった夢を娘に託し、彼女に過剰な干渉をする。
エリカは娘に献身的に尽くすことで、娘を支配していた。典型的なマゾヒスティック・コントロールである。
ニナにとって、母親の呪縛から逃れることもブラックスワンを踊り切る条件であった。
ある夜、性に奔放なリリーに誘われ、ニナは母親の静止を振り切って夜の街に繰り出す。
翌朝ニナが目を覚ますと、一緒にいるはずのリリーは消えていた。
リリーは、昨晩はクラブで出会った男性と一夜を過ごしたと言う。
幻覚や妄想は日増しに強くなるものの、なんとか初日の舞台に立った。

強迫観念と歪んだ母娘関係が生んだサイコスリラーの傑作。
【2011.10.09】『母は娘の人生を支配する』なぜ「母殺し」は難しいのか

2012年5月 5日 (土)

バード

ジャズにただならぬ造詣をもつクリント・イーストウッド監督の天才サックス奏者チャーリー・パーカー(愛称バード)に対するオマージュである。その意図は十分に達成されている。
若いときに、故郷カンザスシティで受けたオーディションで、バードのあまりの独創的な演奏ゆえにバンドがついていけず、彼に向かってシンバルンが投げつけられたことがあった。この屈辱のシーンは何回か繰り返される。
独創性が受け入れないことが、バードに生涯ついて回った孤独であり苦悩であった。
作中バードは15歳から麻薬をやっていると語っている。
彼はドラッグから脱却しようと何度も試みるが果たせなかった。
Photo_20211227083201バード
Bird
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジョエル・オリアンスキー
製作総指揮:デヴィッド・ヴァルデス
音楽:レニー・ニーハウス
製作国:アメリカ  1988年

その後、ニューヨークのクラブで自ら創始したアドリブ主体のビ・バップが、少しずつ観客に受け入れられるようになる。
その頃、彼はダンサーのチャン(ダイアン・ヴェノーラ)と出会い、やっとの思いで彼女のハートを射止めた。

やがてバードのよき理解者ディジー・ガレスピー(サミュエル・E・ライト)とともに西部に進出するが、受け入れられなかった。
失意のうちに、彼は酒浸りとなり入院する。
そんな彼が再びニューヨークで仕事に就けたのは、チャンが仕事探しに奔走したおかげだった。
1949年は、バードにとって飛躍の年となった。
パリでのコンサートは成功し、ニューヨークでもバードの演奏に観客は熱狂した。
さらに、白人トランペッター、レッド・ロドニー(マイケル・ゼルニカー)をバンドに入れ、南部の演奏旅行で成功を収めた。
しかしレッドが麻薬所持で逮捕され、ニューヨークでは仕事がほとんどできなくなってしまう。

このころからバードに不運がつきまとうようになる。
娘が亡くなり、その半年後に失意のあまり自殺を図るが、病院に運ばれ事なきをうる。
彼は仕事を見つけようといつも奮闘しなければならなかった。
ところが、いやがらせをし金を巻き上げようとする悪徳警察官にしょっちゅう追い回されていた。
その頃ニューヨークではやり始めたロックンロールのあまりの幼稚な音楽性に、深い失望を感じる。

ドラッグとアルコールでボロボロになったバードは、ジャズ男爵夫人と呼ばれるパノニカ(ダイアン・ヴェノーラ)が暮らすニューヨークのホテルで息をひきとった。 34歳だった。パノニカもバードのよき理解者であった。→人気ブログランキング
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→ ジャズに生きた女たち』 中川ヨウ

2012年5月 4日 (金)

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

原作は、世界で6200万部売れたという『ミレニアム』3部作の1作目『ドラゴン・タトゥーの女』。
Photo_20210213123601ドラゴン・タトゥーの女 ミレニアム
The Doragon Tatoo
監督:ニールス・アルデン・オブレヴ
原作者:<スティーグ・ラーソン
製作国:スウェーデン 2009年 

出版社「ミレニアム」の敏腕記者ミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト)に、孤島に住む大富豪のヘンリックから40年前の姪ハリエットの行方不明事件の捜査を依頼される。
祭の日、ハリエットは忽然と行方不明となった。
あらゆる手を尽くして捜索が行われたものの、行方はわからず遺体も発見されなかった。ヘンリックは一族の誰かが殺害したと考えていた。

一方、ヘンリックの依頼で密かにミカエルの身辺調査を行っていたリスベット・サランデル(ノオミ・ラパス)は、ミカエルのパソコンをハッキングしていた。
そして、事件解明の糸口に気づきミカエルに接触する。
背中にドラゴンの刺青、耳と鼻にピアス、パンクファッションに身を包んだリスベットは、少女時代に起こした障害事件で精神病院に強制入院させられていた。いまは後見人の監視下で生活している。
リスベットは、並外れた映像記憶能力をもつ天才ハッカーである。
小柄で華奢であるが俊敏、バイクを乗り回す。

ミカエルはリスベットを助手として雇うことになる。
そして二人三脚で、富豪一族が住む孤島の封印された忌まわしい事件の謎に挑むのであった。

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原作はペーパブックで800ページの長編、原作に忠実に描かれているので、放映時間は2時間33分と長い。
見どころは、リスベットの一見かよわそうだが超人的な存在感だ。
本作品には、不正や暴力、差別、女性虐待、ナチスの影、ユダヤ人問題など、スウェーデンが抱える社会問題が根底にある。
リスベットを日本人が演じるとすれば誰だろう?広末涼子か?
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→『ミレニアム2 火と戯れる女』(09年)

2012年5月 3日 (木)

ヒアアフター

爽やかな映画だ。パリの人気女性キャスターのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、東南アジアへのディレクターとの隠密旅行で津波に飲み込まれ、臨死を体験する。
キャスターの仕事に復帰するが、以前のようなジャーナリストとしての鋭さが影を潜め、休養してミッテランについての本を書くように勧められる。
しかし書き上げたのは、自分の再出発ための臨死体験がテーマの本だった。
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原題:Hereafter
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ピーター・モーガン
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ  2010年

サンフランシスコで暮らすジョージ(マット・デイモン)は、かつて名の通った霊能者であったが、霊能者としての生活に疑問を感じ、いまは工場で働いている。
リストラの対象にされ、霊能者として復帰するよう兄に勧められている。

ロンドンに暮らす少年マーカスは双子の兄を交通事故でなくし、悲嘆にくれている。
母親はアルコール依存症で経済能力がなく、マーカスは里子に出される。
兄に逢いたいあまりマーカスは家出をして、何人もの霊能者に透視をしてもらうが、いずれもインチキ霊能者であった。
そして、インターネットでジョージのサイトにたどり着く。

マリーはブックフェアーでの自著の宣伝のために、ジョージは休暇をとってディケンズの生家を訪ねる目的で、それぞれがロンドンにたどり着き、3人につながりが生まれる。

霊能者や死後の世界を扱うと、現実離れした違和感やおどろおどろしさが出てきそうなものだ。
そうならずに、爽やかな印象が残るのは、スピィリテュアルな面を過度に出しすぎていないこと、それと3人の主人公たちの抑制の利いた演技によるのだろう。→人気ブログランキング

【セシル・ド・フランス出演作品】
少年と自転車』(12年)
ヒアアフター』(10年)
シスタースマイル ドミニクの歌』(09年)
ある秘密 ~愛に焦がれて~』(07年)
モンテーニュー通りのカフェ』(06年)
スパニッシュアパートメント』(02年)

2012年5月 2日 (水)

あなたの知らないヒットブランド本当の話―なーんだ!47話 ジャック・ミンゴ

世界を席巻した商品、あるいはアメリカで売れ筋の商品の開発秘話集。
例えば、ジェロー。
レイモンド・カーヴァーの短篇『羽根』(『夜になると鮭は・・・』中央公論社刊に収録)に、パーティでデザートにジェローが出てきたら最悪だという夫婦の会話が出てくる。
アメリカの3/4の家庭の食品貯蔵庫に、少なくとも1箱のジェローが入っているというくらいポピュラーで、ウンザリする定番デザートのようだ。
Image_20201121165401あなたの知らないヒットブランド本当の話―なーんだ!47話
ジャック・ミンゴ
大川修二 訳
東急エージェンシー出版部
1998年

コーンフレークの開発秘話は苦笑ものだ。ケロッグ博士が目指したのは、性欲抑制食品の開発であったという。開発された味のないコーンフレークは売れ行きがよくなかった。
コーンフレークに砂糖を加えるよう提案した弟に、兄のケロッグ博士は砂糖は性欲促進剤であるとして猛反対した。弟が反対を押し切って砂糖を加え発売したところ、爆発的に売れた。このことで兄弟は仲違いしたという。
この逸話を思い浮かべなから、朝食のシリアルをカリカリやると、味わいもことさらだ。

スリーM社のポストイットは、中途半端にしかくっつかない接着剤の使い道を模索し続けた男の執念が実ったものだ。
「怪しげな肉」スパムは、豚肉の売れない肩肉をどうにかしようと開発された。
キャデラックにどでかい羽根がついたのは、社長がかっこいいと思ったからだという馬鹿げた話。
マールボロは女性向けタバコとして売り出されたものだった。
アメリカンフットボール選手用にゲータレードがフロリダ大学で開発される前までは、毎年50名の学生が熱射病で命を失っていた。
スティーブ・ジョブスは、同僚を出し抜くようなことを平気でやる、煮ても焼いても食えない男だった。
フォルクスワーゲンはヒトラーの後ろ盾で生まれた。
というような秘話が載っている。

「はじめに」で、<われわれに大変なじみの深い製品の多くは、実のところ風変わりなーというよりも、むしろひどく気狂いじみたー人物の、直感、当て推量、狂言から生み出されたのである。なぜかといえば、本当に新しいものを生み出すには普通と異なったものの見方が必要となるからだ。と著者は書いている。
だからその逸話は面白い。→人気ブログランキング

2012年5月 1日 (火)

『ツリー・オブ・ライフ』 

ツリー・オブ・ライフ [DVD]

ツリー・オブ・ライフ

posted with amazlet at 12.04.27
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2012-03-07)
原題:The Tree of Life
監督:テレンス・マリック
製作国:アメリカ 2011年

Amazon.co.jp で詳細を見る

 

ジャック(ショーン・ペン)は実業家として成功していたが、人生の岐路に立っている。
少年時代を回想することで、救いをえることができるのか。
1950年代、テキサスの小さな田舎町で、ジャックは両親と2人の弟に囲まれて静かな生活を送っていた。
一見平穏そうな一家だったが、ジャックにとっては心が安らがなかった。
父親(ブラッド・ピット)は社会的な成功がすべてという考えで、子供たちに厳格に接していた。母親(ジェシカ・チャステイン)は、子供たちを包み込む優しい女だった。
ジャックは、父に反感を抱きながら、父と同じような考え方を持つようになり、葛藤を繰り返すのだった。
ごく平凡な一家の物語に、宇宙創成そして地球の歴史をたどるイメージの映像を挟み込むことによって、何を表現したかったのか。
神だろうか、ちっぽけな人間の存在だろうか、人間の奢りに対する戒めだろうか。

カンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞したが、初映では賞賛とブーイングがあいなかばして起こったそうだ。

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