ホテル・ルワンダ
本作品は、虐殺が横行したルワンダで、1200余名の命を救った「アフリカのオスカー・シンドラー」とも言うべきホテルマンの実話に基づいて作られた。
2004年度アカデミー賞主演男優賞、助演女優賞、脚本賞にノミネートされた。
ホテル・ルワンダ 原題:Hotel Rwanda 監督:テリー・ジョージ 脚本:テリー・ジョージ/ケア・ピアソン 製作:A・キットマン・ホー/テリー・ジョージ 製作国:南アフリカ共和国 イギリス イタリア 2004年 |
ルワンダでは、長年、フツ族とツチ族の対立が続いていた。
1990年、ツチ族難民で構成されたルワンダ愛国戦線(RPF)とルワンダ政府との間で戦闘が始まった(ルワンダ紛争)。
両者の間で和平協定が結ばれた矢先の1994年4月に、反ツチ色の強い大統領が暗殺されると、フツ族過激派によるツチ族と穏健派フツ族の大量虐殺が始まった。それからRPFが全土を掌握するまでの約100日間に、当時のルワンダの人口730万人のうち80万人から100万人が虐殺されたという(ルワンダの虐殺)。
この間に他国に逃れたツチ族(ディアスポラ)は、先進国で教育を受けたり仕事についたりして、新しい知識や技術や人脈を身につけた。政情が安定すると、約200万人のディアスポラが帰国し、ルワンダの再建に取り組んだことにより、「ルワンダの奇跡」と呼ばれる目覚ましい発展を遂げた。→『アフリカ 資本主義最後のフロンティア』「NHKスペシャル」取材班/新潮新書/2011年
ツチ族とフツ族は、ルワンダを植民地統治していたドイツとベルギーのにより、人為的に区別されたという。特にベルギー当局は、牛の保有頭数、身体的特徴、教会の記録などで分けたという。
外見は、フツ族は鼻がぺしゃんこ丸顔で背が低い、ツチ族は鼻が高く面長で背が高いとされた。実際は、両者には民族的宗教的文化的な違いはなく、最近はフツ、ツチと呼称されている。
1994年4月、フツ族の政府軍と民兵はツチ族を殺戮し始め、次第にエスカレートしていく。
ツチ族を根絶やしにする目的で、女性と子供も容赦しなかった。
ルワンダの首都キガリにある4つ星ホテルのミル・コリンの支配人ポール・ルセサバギナ(ドン・チードル)は、家族をホテルの中にかくまう。
平和国連軍が警備し外国客も宿泊するホテルには、民兵は手出しができなかった。
ポールはフツ族、妻のタチアナ(ソフィー・オコネドー)はツチ族で、虐殺の対象となる。
最初、ポールは家族や親族だけをかくまうつもりであった。
しかし、虐殺がエスカレートしていき、フツ族もツチ族もホテルに逃げ込んできて、ホテル内は1200人もが暮らす、さながら難民キャンプのような状態になっていた。
やがて食料が乏しくなり、プールの水も利用しなければならない状況になる。
ポールは、打開策は国外にしかないと踏んで、ベルギーにあるホテルの親会社の社長(ジャン・レノ)に連絡して、ホテルを襲おうとする軍を止めるように頼み、さらに避難民たちには海外の知人に連絡して援助を求めるよう促す。
その一方で、ポールはビールやウィスキー、貴金属、金を賄賂として巧みに使い、ホテルを守ろうとする。
やがて、ポール一家とホテルの避難民たちは、ホテルを出て難民キャンプに向かう。→人気ブログランキング
→ にほんブログ村
« アフター・ザ・レイン | トップページ | ショーシャンクの空に »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 半導体有事 湯乃上隆 (2023.05.23)
- 半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防 クリス・ミラー(2023.05.10)
- 資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫(2022.09.05)
- 第三次世界大戦はもう始まっている エマニュアル・トッド(2022.09.01)
- ウクライナ危機後の世界 大野和基編(2022.08.04)
「ヒューマン」カテゴリの記事
- 夫婦善哉 織田作之助(2023.04.13)
- 幸せをつかむ歌(2017.04.20)
- ダラス・バイヤーズクラブ(2015.01.21)