グラン・トリノ
ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、フォードを退職し妻に先立たれ、ひとりで暮らしている。
自動車産業が斜陽になりかけたころから隣人たちは町を去り、かわりに移民が増えて治安が悪くなっているが、ウォルトは引っ越そうとはしない。
ある日、隣に住むモン族一家の息子タオ(ビー・ヴァン)が不良たちにそそのかされ、ウォルトが大切にしている1972年型のグラン・トリノを盗もうとするが、未遂に終わる。
これを機に、ウォルトとタオは友好を深めていく。
ウォルトはタオにアメリカ式のインディな生き方を教え込もうとする。タオはウォルトに教えに生きがいを見出していく。
ウォルトは、タオの姉のスー(アーニー・ハー)に一族のパーティーに招待される。
グラン・トリノ 原題:Gran Torino 監督:クリント・イーストウッド 脚本:ニック・シェンク 原案:デイブ・ジョハンソン 音楽:カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンズ 主題歌:ジェイミー・カラム 製作:アメリカ合衆国 2008年 |
因みに、モン族は、パーティーでスーがウォルトに説明しているように、
ミヤンマー、タイ、ラオスやベトナムに住む山岳民族。1960年代、ベトナム戦争の頃、アメリカはモン族に軍事支援して共産軍と戦わせ、ベトナムへの武器供給路を断とうとした。ところがアメリカがインドシナから撤退したため、モン族は反体制派としてラオス政府やベトナム政府から弾圧された。行き場を失ったモン族の一部はアメリカに渡ったそうだ。
しかし、不良たちの嫌がらせはエスカレートしていき、抜き差しならぬ状況になる。ウォルトは決着をつけるべく不良たちの根城に乗り込む。ダーティハリーを思わせるような仕草で挑む。
ウォルトはフォードの組立工として定年をまで勤めたが、息子はトヨタのセールスマンでトヨタのRV車に乗り、孫娘はへそピアスでウォルトの妻の葬式に現れる。
不良たちが乗り回すのはホンダのスポーツカー。ウォルトがふだん乗っているのはフォードのボロボロのピックアップ。
ウォルトのまわりだけに、古き良きアメリカがかろうじて残っている。
最後に流れる、ウォルトがかすれ声で歌う主題歌の『グラン・トリノ』が、本作品のテーマを象徴するように、次第にジェイミー・カラムの声に変わっていくのは、「さすがイーストウッド、目のつけどころがいい」って誰かが言っていた。→人気ブログランキング
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