『フェアゲーム 』
本作品は、実際に起こった「プレイム事件(Plame Affair)」に基づいて、忠実に作られているという。原作は、当事者のジョゼフ・ウィルソン、ヴァレリー・ウィルソン(プレイム)夫妻。
この事件でチェイニー副大統領の首席補佐官が実刑判決を受けている。この判決に対し大統領権限で執行猶予に減刑したブッシュは、マスコミから非難を浴びた。
イラク戦争が、捏造された情報によって開戦されたことを、後世に知らしめる作品である。
ヴァレリー・プレイム(ナオミ・ワッツ)は、イラクの大量破壊兵器の有無を調査していたCIA女性諜報員である。大量破壊兵器は存在しないとの調査結果を報告する。
一方、かつて外交官であった夫のジョゼフ・ウィルソン(ショーン・ペン)は、アフリカのニジェールに入り、イラクとの間にウランの取引のないことを把握する。
イラクの核開発疑惑は、イラクがニジェールからの大量のウランを輸入した疑惑、また某国から大量のアルミチューブを輸入した疑惑からなる。アルミチューブは濃縮ウラン製造のための遠心分離機に使われるとされた。
どちらの疑惑に対してもCIAの調査結果は否定的なものであったが、イラクに大量破壊兵器が存在するという考えを捨てない大統領サイドは、執拗に再調査を命じる。
そして、2003年3月20日、ブッシュ政権はイラク攻撃を開始する。
イラク攻撃に激怒したジョゼフが、ニューヨークタイムズ紙にイラクにおける調査報告を寄稿したことに対し、保守派のジャーナリストがヴァレリーがCIAの諜報員であることを公表する。
諜報員であることを暴露されれば、まともな社会生活を送れない。
ヴァレリーばかりでなく 、家族も誹謗や中傷をされ脅迫を受ける。
プレイムが諜報員であることを漏らしたのは、チェイニー副大統領、あるいはアミテージ国務副長官であるとされる。
また、大陪審でブッシュが直接かかわっていたとの証言がある。
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