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2012年6月18日 (月)

ジャズボーカルにくびったけ 馬場啓一

ジャズボーカルはスタンダードがいいと、著者は力説する。
スタンダードについての24のメモの第1に次のように書いている。
<20世紀初頭から今日まで、映画やミュージカルの挿入歌、ポピュラー・ヒット・ソングなどで親しまれ、そのオリジナルから発展して、いろいろな歌手や楽団の歌や演奏などによって一般に認知されるようになった楽曲を言う。P10>
Image_20201228154401ジャズ・ボーカルにくびったけ!
CRAZY FOR JAZZ VOCAL !
馬場啓一
シンコーミュージック・エンタテイメント
2010年

スタンダードが誕生したのは110年前、最初のスタンダードソング作家はジェローム・カーンとされている。
ジャズのスタンダードが広まっていくのを担ったのは、ユダヤ人であると力説している。
スタンダードが生まれる土壌については、大御所の持ち歌をペイペイの歌手が歌うということは、日本ではあり得ないが、アメリカには多くの歌手にカヴァーされてこそ名曲という考え方がある。こうしたオープンマインドな考え方によって、歌い継がれスタンダードになっていく。
じゃあ、最もカヴァーされた曲って、なんだろう。「ルート66」か?。→【2011.10.26】『ルート66をゆく アメリカの「保守」を訪ねて』

100名のシンガーについてのエピソードとそれぞれのシンガーのアルバムを何枚か紹介している。女性シンガーが80名で男性は20名。
この偏りは、ジャズファンには男性が多く、女性シンガーの人気が高いことによるとされている。
著者がシンガーに直接取材をしているので、評価が新鮮。また、誉めるだけではなくて辛口なところもあり信用がおける。
ちなみに、ダイアナ・クラールは天才、ジェイミー・カラムは神童と紹介しているが、ノラ・ジョーンズに対しては辛口だ。

コラムの内容が充実していて、著者と、B.B King、Boz Scaggs、和田誠との対談も読み応えがある。日本人シンガーに肩入れし過ぎの感がするのは大目に見ようね。→人気ブログランキング

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