傍聞(かたえぎ)き 長岡弘樹
短篇の醍醐味が満喫できる珠玉の4篇が収録されている。
いずれも、タイトルが結末を暗示していて、そこかしこに伏線が張り巡らされている。伏線だらけと言ってもいい。
著者は『傍聞き』で、2008年の日本推理作家協会賞、短編部門賞を受賞した。
傍聞き 長岡弘樹(Nagaoka Hiroki) 双葉文庫 2011年 |
副検事が腹を刺され救急車で搬送先の病院に向うが、病院が決まらない。副検事は救急隊員の交通事故で重症を負った娘の裁判を担当した。娘に過失があるとされ、加害者は罪に問われなかった。副検事と隊員の緊迫したやり取りが始まる。
「傍聞(かたえぎ)き」
主人公の女性刑事は小学6年生の娘と暮らすシングルマザー。近所に泥棒が入り、犯人が捕まるが。。
傍聞きとは、相手に直接伝えるよりも第3者にしゃべっているところを聞かせると、相手が信じやすいということ。傍聞きが伏線として使われている。
「899」
消防署員は、近所のアパートに住むシングルマザーの初美に恋心を抱いている。初美が留守のときにアパートが火事になり、初美の4カ月娘を救出しようとして、署員は初美の秘密に気づく。
「迷い箱」
捨てようかどうか迷ったらとりあえず「箱」に入れておく。5~6日経つと捨てる決心がつくという。社会復帰した殺人犯が、迷い箱に入れたのは意外なものは。→人気ブログランキング
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