ダブル・ジョパディー
ブルース・べレスフォード監督は、ダブルジョパディという言葉を知ったとき、「これはものになるぞ」と思ったに違いない。ダブル・ジョパディー(二重処罰の禁止)とは、同じ罪で人は2度罰せられないという法律の条項。
日本憲法にも、バブルジョパティーの項がある。
日本国憲法第39条:何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。
なお、監督は名作『ドライビング Miss デイジー』(89年)を手がけている。
ダブル・ジョパディー 原題:Double Jeopardy 監督:ブルース・ベレスフォード 脚本:デヴィッド・ワイズバーグ/ダグラス・クック 音楽:ノーマンド・コルベイル アメリカ 1999年 105分 |
リビー(アシュレイ・ジャッド)は、身に覚えのない夫殺人で有罪になる。
夫のニック(ブルース・グリーンウッド)に仕組まれて、リビーは殺人犯に仕立て上げられたのだ。
刑務所の中で、ニックと息子マティとリビーの友人だったアンジー(アナベス・ギッシュ)が一緒に暮らしていることを知り愕然とする。
リビーは、元弁護士の女囚から「ダブル・ジョパディー」について教えてもらい、彼女はニックへの復讐に燃え、がぜん体を鍛え始める。仮に、リビーがニックの額を38口径で打ち抜いて殺しても、リビーは罰せられないのだ。
そして6年後、仮出所となる。
保護観察官レーマン(トミー・リー・ジョーンズ)の厳しい監視下に置かれたリビーは、ニックたちの居所を探し始めるが、マティの幼稚園に忍び込んで、あっさり警察に捕まってしまう。刑務所に護送される途中のフェリーから、リビーはレーマンを振り切って逃げる。
やがて、リビーはアンジーがガス爆発事故で亡くなっていることを知る。ニックの仕業だ。
彼女は、新聞記事のアンジーの顔写真に写っているリトグラフの売買記録を調べ、ニックの居場所を突き止める。
ニックは名前を変え、ニューオリンズのホテルのオーナーに収まって羽振りのいい暮らしをしていた。
しつこく追いかけてきたレーマンにリビーは捕まってしまうが、ニックの悪事を知った彼は、リビーと共にホテルの事務所に乗り込むのだった。
リビーがニックに38口径を向けると、「殺人はルイジアナ州ではガス室送りだ」と彼が怒鳴るが、「同じ罪で二度は罰せられない」とリビーが切り返す。
死体の上がらない夫の殺人で有罪となった妻に、生命保険料200万ドルが下りるのはいくらなんでも乱暴な話だが、映画だからそこは目をつぶるしかない。
カンディンスキーのリトグラフが小道具として使われている。リトグラフは、リビーたちのコテージに飾られていて、リトグラフの売買記録からニックの居場所が割り出され、ホテルの事務所に飾られたリトグラフは、リビーの撃った弾で撃ち抜かれるのだ。→人気ブログランキング
初老のタフな男とそれにも増してタフな若い女性のコンビは、アシュレイ・ジャッドのお得意の役柄。『コレクター』(97年)、『ハイクライムズ』(02年)で、モーガン・フリーマンと組んでいる。アシュレイ・ジャッドの魅力があふれ出る一作。
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