バベル
バベルは、『旧約聖書』の『創世記』第11章に出てくる町の名。
天まで届くバベルの塔を建てようとした人間を快く思わない神は、人間に別々の言葉を与え、その結果人々はばらばらになり、別々の所に散っていった。
バベル 原題:Babel 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 脚本:ギレルモ・アリアガ 音楽:グスターボ・サンタオラヤ 製作:アメリカ合衆国 2006年 142分 |
モロッコ
夫婦の絆を取り戻そうとモロッコを旅行中のリチャード(ブラッド・ピット) とスーザン(ケイト・ブランシェット)を不幸が襲う。バスで移動中に、スーザンがライフルで撃たれたのだ。
病院に運ぼうとリチャードが大使館と掛け合うが、テロ組織の関与を疑う米国とモロッコ政府との協議が進まず埒があかない。
ライフルを撃ったのは、山羊をジャッカルから守ろうとする幼い兄弟であった。
カリフォルニア・ティアナ
カリフォルニアでは、メキシコ人不法滞在者のアメリア(アドリアナ・バラッザ)が、リチャードとスーザンの子供たちの面倒をみている。
アメリアの息子の結婚式がメキシコのティアナであり、彼女は甥のサンジェゴの車で、子供たちとともに結婚式に行くことにした。
結婚式が終わり、サンジェゴの運転する車でカリフォルニアに戻ろうとするが、彼は酔った勢いで国境の検問を強行突破してしまう。
逃亡の途中で、アメリアと子供たちは車から下ろされる。
彼らは飲み物もなしに、灼熱の砂漠をさまようのだった。
東京
チエコ(菊地凛子)は、父親ヤスジロウ(役所広司)と二人暮らし。母親の自殺で負った心の傷が癒えていない。
聴覚障害のチエコは疎外感を感じていて、不安定で危なっかしい生活を送っている。
警視庁の警部ふたりが父に面会したいとマンションを訪ねてくる。モロッコでアメリカ人が撃たれたライフルが、ヤスジロウ名義のものだという。
ライフルは、ヤスジロウがモロッコに狩りのツアーに出かけたとき、ガイドに謝礼としておいてきたものだった。
チエコは若い刑事をマンションに誘い迫るが、断られてしまう。
この3つの話が、交互に入れ替わりシンクロして物語は進んで行く。
本作のテーマである、思い通りにならない、意志の疎通がとれないといったもどかしさが、ドキュメンタリー風の淡々とした映像によって巧みに表現されている。→人気ブログランキング