扉をたたく人
コネチカット州に住む初老の大学教授ウォルター(リチャード・ジェンキンス)は妻を亡くし、すべてにやる気をなくしていた。
![]() 原題:The Visitor 監督:トム・マッカーシー 脚本:トム・マッカーシー 製作:メアリー・ジェーン・スカルスキー/マイケル・ロンドン 音楽:ヤン・A・P・カチュマレク 製作国:アメリカ合衆国 2008年 |
学会で出かけたニューヨークのアパートには、どういうわけか、シリアからきたジャンベ奏者のタルクと、セネガルからきたアクセサリー売りをしているゼイナブのカップルが住んでいて、仰天する。
悪徳不動産屋が、ふたりを騙してウォルターの別宅を貸したのだ。
行くあてのないふたりを見かねたウォルターは、仕方なく、3人の共同生活を提案する。
タルクはウォルターにジャンベの叩き方を教え、ウォルターはジャンベの演奏に生きがいを見い出していく。いつも笑顔で屈託のない性格のタレクを、ウォルターは気に入ってしまう。
ある日、演奏を終えて地下鉄に乗ろうとしたウォルターのジャンベが改札口で引っかかってしまい、助けようと手を貸したタルクが無賃乗車を疑われて警察に捕まってしまう。
タルクは不法滞在がばれてしまい拘留が長引くことになる。ウォルターはタルクのために弁護士を雇い、足繁く面接に通う。
そこに、連絡がないことを心配したタルクの母親モーナ(ヒアム・アッバス)がミシガンからやってきて、ウォルターのアパートに滞在することになる。
行動を共にするようになったウォルターとモーナは、『オペラ座の怪人』をふたりで観劇するまで親密になっていくのだが。。
しかし、現実は甘くない、タルクに国外追放の判決が下される。
「9.11」後、まもなくの2001年10月26日、大した論議もされずに米国愛国者法が成立した。
警察がテロに関係していると疑えば、その理由を司法に説明することなく逮捕状を請求できるという強権的な内容の法律である。
本法施行後、行き過ぎた逮捕が続いているという。
当然のことながら、ことさら中東出身者の男性に対して厳しい状況になった。→人気ブログランキング
万年、脇役だったリチャード・ジェンキンスが初めて主役を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。『シリアの花嫁』(04年)で、毅然とした生き方の女性を演じたヒアム・アッバスの演技も光る。
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