『アメリカを売った男』
事件は、FBIのハンセン特別捜査官が2001年2月に逮捕されるまでの20年以上にわたり、FBIやCIAなどの重要な機密をロシア圏に漏らし続けていたのも。
FBIの訓練捜査官エリック・オニール(ライアン・フィリップ)は、上司のケイト・バロウズ(ローラ・リニー)に、新設される情報管理部でハンセン(クリス・クーパー)と共に仕事をするよう命じられる。
オニールは、ハンセンがロシア圏にアメリカの国家機密を漏らしている証拠をつかめという司令を受ける。ハンセンの行動を逐一報告するよう言われたものの、怪しいところが見当たらない。
オニールは人を騙すことに後ろめたさを感じ苦悩する。
たった2ヵ月で、ハンセンの尻尾をつかむのは並大抵のことではない。
ハンセンの信仰心につけ込んで、なんとか親密になろうとする。そこでオニールは、カソリック教徒である妻を説き伏せて、ハンセン一家が通うプロテスタント教会の礼拝に行き、信頼を勝ち得ていく。
ついには、家族同士でディナーを共にするくらいまでに、ハンセンの家庭に入り込むことに成功するが、妻はそうした異常な日常に不満を漏らすようになる。
ハンセンはオニールを認めるようになるが、長年に渡りスパイ行為をしてきたハンセンが、そう易易と馬脚を表すはずがない。
しかし、ハンセンがちょっと気を許したことで、オニールのしかけた罠に嵌るのだった。
渋い演技が光るクリス・クーパーは『アメリカン・ビューティ』(サム・メンデス監督、1999年度アカデミー賞作品賞)で、ゲイの元海兵隊大佐を演じていた。
それと、厳格な上司役がぴったりのローラ・リニーは、『ミスティック・リバー』(クリント・イーストウッド監督、2003年)で、ジミーの妻役だった。
原題の『Breach』は、違反、不履行、侵害という意味。邦題のほうがいい。
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