告発のとき
軍警察を退職したハンク(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、イラクから帰還したマイクが軍に戻ってこないと連絡が軍から入る。72時間以内に軍に戻らなければ、脱走兵としての重い懲罰が課される。
告発のとき 原題:In the Valley of Elah 監督:ポール・ハギス 脚本:ポール・ハギス 製作国:アメリカ合衆国 2007年 121分 |
ハンクは基地のあるフォートラッドを訪れ、マイクの仲間たちから情報を得ようとするが、手掛かりはマイクの残した携帯電話だけだった。
次に、情報を求めて地元警察に出向くと、同僚のセクハラに辟易している女刑事エミリー・サンダース(シャーリーズ・セロン)が、ハンクに協力を申し出るのだった。
そんな矢先、軍の敷地内で、切断され焼け焦げた遺体の一部が発見され、マイクであることが判明する。
現場を調べたハンクはエミリーに、マイクはほかの場所で殺されて軍の敷地内に運ばれたことを告げる。
ハンクのそうした推理の強引さに、はじめは反発を覚えたエミリーだったが、次第に信頼するようになる。
そして、携帯電話の動画が修復され、イラクでのマイクの心の闇が明らかになっていく。
戦場が人間を変えてしまったのだった。
愛国法が制定されて以来、正面から政府を批判できなくなった。
そこで、監督ハギスは、警察署内の壁に飾られたブッシュの写真をチラリと映し出す細工をしている。
『ミリオンダラー・ベービー』を書いたハギスらしい骨太の作品だ。
原題の「In The Valley of Elah」は、旧約聖書の「サムエル記」に記載されているダビデとゴリアテが戦った場所とのこと。
羊飼いのダビデが尻込みするイスラエル軍の兵士の代わりに、ベリシテ軍の巨漢の兵士ゴリアテに戦いを挑んだ。
ダビデの武器は杖とパチンコと石。
ダビデがパチンコで石を放つと、石はゴリアテの額に命中した。ダビデはゴリアテの剣を奪い、首をはねてとどめを刺したという。
この故事にちなんで、弱小な者が強大な者を打ち負かす喩えとして使われるそうだ。
この話を、ハンクはエミリーの幼い息子に聞かせる。→人気ブログランキング
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