『ゴーストライター』
主人公(ユアン・マクテガー)は、元英国首相の自叙伝の執筆を引き受けたゴーストライター。前任者のマカラは、フェリーから転落し遺体となって発見された。
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロバート・ハリス/ロマン・ポランスキー
原作:ロバート・ハリス
製作:ロベール・ベンムッサ/ロマン・ポランスキー/アラン・サルド
製作総指揮:ヘニング・モルフェンター
音楽:アレクサンドル・デプラ
製作国:フランス ドイツ イギリス 2010年 124分 ★★★★☆
主人公が向かったのは、アメリカ東海岸の孤島にある元首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自宅。
ラングの妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)は、ラングと秘書のアメリア(キム・キャトラル)が不倫の関係にあると疑っていて、いつも不機嫌そうに振舞う。
おりしも、ラングが在任中にイスラム過激派に拷問の指示をした疑いがあるとマスコミが発表し、ラングは不利な立場に追い込まれる。
主人公は、マカラが隠し持っていた資料から元首相の経歴に詐称があることに気づき、さらに、島の老人の話から、マカラの死が他殺であると確信するようになる。
疑惑を抱く主人公は、マカラが使っていた車のナビゲーションが指示するままに島を出て、元首相夫婦が学生時代に友好のあった人物と出会うのだった。
その人物に会ってから、主人公は何者かに尾行されるようになる。
そんなおり、息子をイラクで亡くした退役軍人に「アメリカ寄りの政策をとり続けた」と批判された挙句、ラングはあっけなく射殺されてしまう。
ラングの死を自叙伝の売り上げの追い風にしようと、急遽自叙伝は出版される。
主人公は疑惑を抱いて以来、どこかに身を隠していただろうから、自叙伝を仕上げたのは第3のゴーストライターだ。
その出版記念パーティーに、アメリアのパートナーとして主人公は会場に現れ、控え室で見つけたマカラの原稿の手直しされた部分から、過去に仕組まれたことの全てを察するのだった。
本作の主人公は名前が明らかにされず、自らを「ゴースト」と呼んでいる。ゴーストは3人のゴーストライターだけではない。元首相も妻も、アメリカの陰謀に操られたゴーストの存在だったのだ。
本作は、なぜか英仏独の合作、アメリカの外交に対する痛烈な批判ともとれる。