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2012年9月23日 (日)

サンキュー・スモーキング

アーロン・エッカート演じるニックことニコラス・ネイラーは、タバコ研究アカデミーに所属するロビイスト。タバコを擁護するためならばどんな詭弁も弄する。彼は「情報操作の王」と呼ばれ、世間に嫌われている。自らは「1日1200人を殺す業界の代弁者」「ニコチンのカーネルサンダース」と呼ぶ。
そんなニックはタバコ業界にとっては得難い人材であり、業界の黒幕であるキャプテンに目をかけられている。

Photo_20211204084401サンキュー・スモーキング Thank You for Smoking
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ジェイソン・ライトマン
原作:クリストファー・バックリー 『ニコチン・ウォーズ』
製作:デイヴィッド・O・サックス
音楽:ロルフ・ケント
製作国:米国 2005年 93分

タイトルの『サンキュース・モーキング』は、「Thank You for No Smoking」を皮肉ったもの。

よく訊かれる「何でそんな仕事をしているのか?」という質問に、「ローン返済のため」と答えるのがニックの口癖である。それは本音だ。実際はタバコの害について十分に認識していて、ロビイストとしての仕事にジレンマを感じている。業界のためなら己の心を欺かなくてはならない、ロビイストの辛いところだ。

私生活では、バツイチで一人暮らし、ひとり息子のジョーイは元妻夫婦と暮らしている。
ジョーイ役のキャメロン・ブライト(1993年生まれ)は、ニコール・キッドマンと共演した『記憶の棘』(04年)で、難しい役を見事にこなした。本作でも重要な役回りを演じている。

ニックは、嫌煙派のフィニスター上院議員が、タバコのパッケージにドクロマークの添付を義務付けることを画策しているとの情報をつかむ。これを阻止するために、彼はハリウッドに出向き、映画に喫煙シーンを盛り込むようプロデューサーに働きかける。

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さらに、初代マルボロ・マンとしてタバコ業界に貢献した男優が、今や肺がんを患い、タバコの健康被害を訴える急先鋒になっている。ニックはその男に、キャプテンから預かった大金を受け取らせ口封じの工作をするのだった。これらの仕事に同行したジョーイは、ニックの仕事ぶりを目の当たりにして、尊敬の念を抱くようになる。

そんなニックの息抜きといえば、銃産業を擁護する団体のスポークスマン(デヴィット・ケックナー)とアルコール業界のロビイスト(マリア・ベロ)との、「モッズ特捜隊(the Mods squad)」と呼ぶ飲み会である。この会では、言いたいことが言い合える。「モッズ特捜隊」のモッズとは、自虐的な意味を込めた「Marchant of Death(死の商人)」の略。

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ある日、『ワシントン・プローブ』紙にタバコ業界に関する暴露記事が載る。内容は、ニックが女友達の記者へザー(ケイティ・フォームズ)に、ベッドで語った裏話であった。なぜ記事にしたのかと詰め寄るニックに、ヘザーは「ローン返済のため」と、ニックの常套句で答えるのだった。
この大失態が致命傷となって、ニックはアカデミーを解雇され世間からのバッシングを受けてしまう。絶望感に打ちひしがれ家に引きこもった彼に、息子は励ましの言葉をかけるのだった。

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フェニスター上院議員が議長を務める公聴会で追求されたニックは、作戦を変えてタバコの健康被害との関連性を認めた。そこに追い打ちをかけるように、議員が「健康被害のあるタバコを吸いたいと息子が言ったらどうするか」との問いに、「あくまで、本人の意志を尊重する」と答え、公聴会を乗り切るのだった。

父子の関係を丁寧に描くことにより、ニックの人間らしい面が垣間見えて、ヒステリックな禁煙ファッショへのアイロニーだけに終わらない物語になっている。→人気ブログランキング
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