約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語
19世紀はじめ、フランスのブルゴーニュ地方。
村娘(ケイシャ・キャッスル・ヒューズ)と結婚したワイン農夫のソブラン(ジェレミーレニエ)は、一流のワイン醸造家になる野心に燃えていた。
ある夜、ソブランの前に天使(ギャスパー・ウリエル)が現れ、ワイン造りのヒントを教える。天使に馴染みがないのでこの展開には戸惑う。重そうな羽根につい目がいってしまう。
ソブランはワイン造りの資金を稼ぐために、ナポレオン軍のロシア遠征に志願する。
しかし、ナポレオン軍は敗れソブランは極寒のロシアで散々な目に遭う。おまけに、留守の間に父親は死に、末娘も亡くなってしまう。そうした不運に見舞われたことを、ソブランは天使になぜ導いてくれないのかと詰め寄るのだった。天使はそんな力は堕天使の私にはないという。
ソブランが造るワインは質の高いものだった。
この一帯を支配するシャトーの城主はソブランの技術を高く評価し、姪の男爵夫人オーロラ(ヴェラ・ファーミガ)にソブランの手を借りてワイン造りに専念するように遺言を残して亡くなるのだった。
領地を譲り受けたオーロラは、ソブランとともにワイン造りに精を出し、シャトーは人気のワイナリーに成長していく。
しかし、良質なワインが毎年できるとは限らない。
葡萄の木に蔓延した病気のせいで、出来の悪いワインになってしまった。ワイナリーの葡萄の木はほぼ全滅(*フェロキセラ禍)。
ワイン作りに熱意を失いかけたソブランに、オーロラは新しい葡萄の苗木を植えて、一から出直そうと励ますのだった。
フェロキセラ禍とは、19世紀中頃フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)に耐性をもつ北アメリカ原産の葡萄の木がヨーロッパにもたらされ、その根に寄生していたフェロキセラによってヨーロッパ固有種が壊滅的に打撃を受けた事件。北アメリカの台木にヨーロッパ原産の葡萄の木を接木して、ヨーロッパの葡萄は蘇った。その接木の作業が本作でも描かれている。 |
ソブランのワイン造りに対するひたむきな姿勢と情熱、オーロラの高潔さと不屈の精神には感動する。
それに根気と忍耐が必要なワイン造りの困難さが十分に伝ってくる。
天使が登場することに違和感があるが、それには目をつぶって、天使の身に起こる仰天なことに爆笑するのもこの映画の楽しみ方だ。→人気ブログランキング
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