アレクサンドリア
エジプト、アレクサンドリア、紀元391年。
エジプトはローマ帝国の属国であった。
台頭してきたキリスト教徒とユダヤ教徒その他の異教徒が共存して暮らしている。
図書館館長の娘、哲学者であり天文学者のヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は天動説に疑問を抱き、地動説を裏づける証拠を見つけようと学問に打ち込んでいた。
![]() 原題:Ágora 監督:アレハンドロ・アメナーバル 脚本:アレハンドロ・アメナーバル/マテオ・ヒル 製作:フェルナンド・ボバイラ/アルバロ・アウグスティン 製作総指揮:シモン・デ・サンティアゴ/ハイメ・オルティス・デ・アルティニャーノ 音楽:ダリオ・マリアネッリ 製作国:スペイン 2009年 127分 |
そんなヒュパティアは、否が応でも目立つ存在である。弟子のオレステスに求愛されるが、弟子たちの前で経血のついたハンカチを投げつけ拒絶するのだった(なんという大胆な拒絶の仕方)。当然この話は町中に広まる。奴隷のダオスからの屈折した愛慕も拒み続ける。
やがて、数の上で劣勢を強いられ追い詰められたユダヤ教徒が、キリスト教徒を襲撃したことで、両者は激しく対立しはじめる。
「キリストってユダヤ人だろう。仲間じゃないか、なぜいがみ合わなければならないのだ」とユダヤ人たちは言う。
キリスト教徒は新しい信徒を獲得して勢力を拡大しようと、集会を繰り返すのだった。
キリスト教徒であるローマ皇帝が下した裁定は、当然キリスト教徒に有利なものだった。
勢いづいたキリスト教徒はたちは、ヒュパティアたちユダヤ教徒を追い出す。彼らは図書館を破壊し、ヒュパティアが守ってきた貴重な蔵書を持ち出し焚書する。ここがこの映画の見所のひとつ。ヒュパティアにとっては命にも変え難い貴重な書籍であるが、キリスト教徒にとっては、それこそ悪魔の書である。図書館は破壊し尽くされるのだった。
ユダヤ教徒たちには改宗か出国しか道は残されていない。そうした逆境のなか、地動説を研究し弟子たちに学問を教え続けるヒュパティアは、キリスト教徒から魔女と烙印を押されてしまう。
前半のストーリーが散漫でダレてしまう。後半に盛り上がると思いきや、さっぱり。 キリスト教徒の傲慢で排他的な面が容赦なく描かれている点は、史実に忠実そうで評価できる。
スケールが大きくセットが豪華で荘厳、金がかかっていそうだが、訴えかけるものが希薄だ。→人気ブログランキング
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