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2012年9月12日 (水)

シャッターアイランド

マーティン・スコセッシ監督の仕掛けだらけのサイコミステリ。
本作のテーマ「帰還兵の狂気」は、スコセッシがアメリカンニューシネマの後期の作品として撮った、傑作『タクシードライバー』(76年)においても扱ったテーマだ。
戦争で負ったテディ(レオナルド・ディカプリオ)の心の傷は深い。彼はユダヤ人収容所で、ナチの親衛隊が殺した夥しい数の遺体を目のあたりにし、彼自身もナチの兵士を殺した。そして、負傷し瀕死のナチの隊長が苦しさのあまり自害をしようとするのを、テディはわざと邪魔をし断末魔の苦痛を味わわせるのだった。テディは残忍な男だ。その記憶は何回もフラッシュバックされる。
主人公が残忍であるかどうかは、あとになって重要なポイントになる。
Photo_20201222143701シャッター アイランド
Shutter Island
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:レータ・カログリディス
原作:デニス・ルヘイン
音楽:ロビー・ロバートソン
製作国:アメリカ合衆国   2010年  138分

-ボストンのはるか沖に浮かぶ孤島シャッターアイランドには、精神病の犯罪者を収容するアシュクリフ病院がある。
1954年9月、連邦保安官のテディと相棒のチャック(マーク・ラファロ)は、病院から女性患者が姿を消した事件を捜査するために、シャッターアイランドを訪れる。
テディの左の頬には、わんぱく小僧の目印、絆創膏が貼られている。
ついでに、本作の役回りもそうだけれど、マーク・ラファローって『イン・ザ・カット』(04年)の刑事役のように、どこか得体のしれない怪しげな役がはまる。

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アシュクリフ病院に着くと、さっそくテディは病院の職員を集め、行方不明の患者レイチェル(エミリー・モーティマー)の情報を聞き出そうととする。さらに患者に面接を行い、医師でもある所長(ベン・キングスレー)、専属医師(マックス・フォン・シドー)からも話を聞こうとするが、さっぱり埓が開かない。ところが行方不明だったレイチェルが、ひょっこり現れる。
どうなってるんだ?

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この辺りからテディには、辻褄が合わない幻覚が頻繁に現れるようになる。
アシュクリフ病院に携わる人すべてがテディを陥れようとしているのか、それともテディの思い過ごしなのか?

テディは凶悪犯が収容されているC棟に忍び込んで、妻を殺した放火犯のレディスを探す。そこで出くわした患者と殴り合いになり相手にケガを負わせてしまう。
さらに、はぐれたチャックを探しに断崖の洞窟に入ると、そこには精神科医のレイチェルが隠れていた。この島では必要のないロボトミー手術が盛んに行われていて、捕まれば無理やり手術を受けさせられるという。
テディは一刻も早くチャックとともに島から脱出して、悪事を暴露しようと病院の近くまで戻ったところで、捕まってしまう。

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テディは、自分自身は現役の連邦保安官であり、放火により妻のドロレス(ミシェル・ウィリアムズ)が殺されたと思っている。
レイチェルを探し出す任務を片付け、放火犯のレディスを探し出し、さらに島で行われている陰謀を世間に明らかにする使命があると信じている。しかし、これはあくまでもテディの妄想だが、見ている方はテディの妄想が現実だと思ってしまう。実はレイチェルもレディスも存在しない。

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真実は放火したのは精神を病んでいた妻であり、そのあと一家は子供たち3人と湖畔の家に引っ越す。
そこで、妻が3人の子どもを湖に沈めて溺死させてしまう。テディは子どもたちの死を知り、妻を銃殺するのだった。
逮捕されたテディは孤島のアシュクリフ病院に収容される。これが2年前の出来事だった。テディがチャックと思っている男は、実はテディの主治医であった。

かくして、凶暴な精神病患者のテディにはロボトミー手術が必要であると、医者たちは目配せし合う。→人気ブログランキング

当時、精神分裂病(統合失調症)に対する有効な薬がなく、インシュリン大量療法、電気刺激療法、ロボトミー手術などが行われたという。いずれも現在は行われていない。このうちロボトミー手術は大脳の前頭葉を切除するもの。アシュクリフ病院では、眼窩から器具を入れ前頭葉を掻きだす方法が行われているとしている。
ビューティフル・マインド』(01年)のなかでは、精神分裂病を患っている主人公のジョン・ナッシュに対して、電気刺激療法やインシュリン大量療法が行われている。

 


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