愛を読む人
原作は世界的ベストセラー『朗読者』(新潮文庫)。
アカデミー賞作品賞をはじめ5部門にノミネートされ、ケイト・ウィンスレットが主演女優賞を獲得した。
愛を読む人 The Reader 監督:スティーヴン・ダルドリー 脚本:デヴィッド・ヘアー 原作:ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』 製作:アンソニー・ミンゲラ/シドニー・ポラック/ドナ・ジグリオッティ/レッドモンド・モリス 音楽:ニコ・マーリー 製作国:米国 2008年 124分 |
1958年10月、雨に濡れ体調が悪くなった15歳のマイケル(ダフィット・クロス)は雨宿りしたアパートで、母親のような年回りのハンナ(ケイト・ウィンスレット)から介抱される。そのあと、猩紅熱となり3カ月たって回復したマイケルは、礼を言うためにハンナのアパートを訪ねる。マイケルの下心は、ハンナに見透かされてしまう。
やがてふたりは親密な関係になり、21歳年上のハンナの求めに応じ、会うたびにマイケルは本を朗読して彼女に聞かせるのが習慣となった。ハンナはマイケルを「坊や」と呼んだ。
ある日、私鉄電車の車掌としての勤勉な働きぶりを認められたハンナは、上司から事務職に昇進する旨を伝えられる。そのことを期にハンナはアパートから忽然と姿を消した。マイケルの必死の搜索にもかかわらず、ハンナの姿を見かけることはなかった。
1966年、ハイデルベルグ大学の法律学科の学生となったマイケルは、ナチの戦犯の裁判を傍聴することになる。
そこで彼は被告席に座るハンナを見つける。
争われていたのは、ユダヤ人を拘束していた教会が火事になった時に、監視していたハンナたちナチの女性隊員が、扉を開けなかったために教会の中にいたほとんどのユダヤ人が死んだ事件である。
裁判が進むうちに、マイケルはハンナが隠していることに気づく。罪が重くなることを承知で、ハンナは自分の秘密を隠し通したのだった。そして、ハンナには無期懲役がいい渡され、他の被告たちは軽い刑となった。
このあたりで、ハンナがマイケルに本を読んでもらった理由、事務職昇進を目の前にして姿を消した理由が、そういうことだったのか、とわかった。
その20年後、マイケル(レイフ・ファインズ)はかつてハンナに読み聞かせた本をテープに録音し、テープとテープレコーダーを獄中のハンナに送り始めた。
マイケルは朗読以外のことは録音しなかった。
そして数年後、「テープをありがとう、坊や。ハンナ」という手紙が届いたのだった。マイケルの意図はハンナに通じた。
ハンナの出所間際に、マイケルは面会に訪れ、出所後の住居と仕事を用意していることを伝えるのだった。
しかし、ハンナの選択はマイケルの厚意に答えるものではなかった。
マイケルは、ハンナが他人に知られることを恐れ頑なに隠した秘密を、誰にも語らなかった。だからこそ、テープには朗読以外のことは吹き込まなかったのだ。→人気ブログランキング
スティーヴン・ダルドリー監督作品 『愛を読む人』The Reader(08年) 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』Extremely Loud and Incredibly Close (11年) 『めぐりあう時間たち』The Hours (02年) 『リトル・ダンサー』 Billy Elliot(00年)。 |
【ケイト・ウィンスレット出演作品】
『おとなのけんか』Carnage/2011年
『コンテイジョン』Contagion/2011年
『ミルドレッド・ピアース 幸せの代償』Mildred Pierce /2011年
『愛を読むひと』The Reader/2008年
『リトル・チルドレン』Little Children/2006年
『エターナル・サンシャイン』Eternal Sunshine of the Spotless Mind/2004年
『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』The Life of David Gale/2003年
『アイリス』Iris/2001年
『エニグマ』Enigma/2001年
『タイタニック』Titanic/1997年
『いつか晴れた日に』Sense and Sensibility/1995年
『乙女の祈り』Heavenly Creatures/1994年
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