フローズン・リバー
主人公のメリッサ・レオ扮するレイのタトォーの入った母趾が映し出され、着替えると腕、背中、太腿にもタトォーが見える。トレーラーハウスに住み、1ドルショップで非正規雇用人として働くレイには15歳と4歳の息子がいて、その日の食事にもこと欠く状況になっている。ギャンブル依存症の夫が、新居を購入するための金を持って行方をくらましたのだ。一家は社会の最下層で生きている。
フローズン・リバー 原題:Frozen River 監督:コートニー・ハント 脚本:コートニー・ハント 製作:ヘザー・レイ/チップ・ホーリハン 製作総指揮:チャールズ・S・コーエン/ドナルド・ハーウッド 音楽:ピーター・ゴラブ/シャザード・イズマイリー 製作国:アメリカ合衆国 2008年 97分 |
レオが夫を探しにビンゴ会場に行くと、モホーク族(モヒカン刈りはモホーク族からきている)のライラ(ミスティ・アパーム)が夫の車に乗っているところを目撃する。ライラは車は鍵がついたまま放置されていたと言う。
車を高く売れるところを紹介するとライラに誘われ、ふたりは車で凍った川を渡って対岸のカナダに行くのだった。
しかし、車を売る話は嘘で、レオはその車で密入国者を運ぶ仕事に手を出すことになる。
夫を交通事故で亡くしたライラには1歳の息子がいる。生活能力のないライラから、生まれるとすぐに息子を義母につれていかれ、トレーラーハウスでひとりで暮らしている。
密入国者を運んでいるうちに、レイは警察にマークされるようになる。レイの息子は急に金回りが良くなった母親を、犯罪に手を出しているのではないか疑っている。
こんな悪事が長く続けられるはずもなく、レイがこれで最後と臨んだ仕事で、ブローカーとの間にトラブルが起こり銃で撃たれてしまう。幸いレイのケガは軽傷であったが、川を渡る途中で薄い氷が割れタイヤが取られ、密入国者ともども車を乗り捨ててモホーク族の家に逃げ込むのだった。
警察がモホーク族の保留地を取り囲み、レイたちの出頭を待っている。レイは苦渋の選択をせざるを得なくなる。
必死に子どもを守って生きて行こうとするふたりの母親の生き様を描いた作品。
息が詰まるような閉塞感、寒々とした背景は、『ウィンターズ ボーン』(11年)に似たテイストがする。
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたメリッサ・レオの渋い演技が光る。
本作は脚本賞にもノミネートされた。→人気ブログランキング
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