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2012年10月14日 (日)

天地明察

江戸時代、保科正之から新しい暦作りを命じられた安井算哲は、長きに渡る天体観測と膨大な量の資料を数量解析し、西洋の天文学から得た知識をも加え、日本独自の大和暦を作り上げる。しかし代々、暦に関するを役目を朝廷から賜ってきた公家たちは、猛烈に反発し妨害を加える。算哲が「蝕」を予測した日、京都市中の観測台の周りに、見物人が集まり公家たちも姿を現す。そして、予測した午の刻が訪れる。果たして太陽は欠けるのか。
安井算哲こと渋川春海(1639年~1715年)は実在の人物。
本作は、冲方丁のベストセラー小説『天地明察』が原作である。
Image_20210117165901天地明察 
監督:滝田洋二郎
脚本:加藤正人/滝田洋二郎
原作:冲方丁
音楽:久石譲
製作国:日本 2012年 141分 

江戸時代前期、第4代将軍綱吉の時代、太平の世が続いていた。
主人公の安井算哲(岡田准一)は碁打ちとして徳川家に仕えていた。
算哲は、前もってお互いに打つ手順を決めておく、形ばかりの御城碁に疑問を抱き、真剣勝負の碁を打ちたい願うようになる。その勝負碁を望むのは、碁における革命児本因坊道策も同様であった。
そんな算哲は、庭に日時計を作ってデータを集めたり、太陽や星の観察が何より好きであり、算術にもことさら興味があった。

 算哲は、神社に奉納された算額絵馬に書かれた問題を解くことに、没頭していた。
解答を絵馬に書いて、正解であれば「明察」、間違っていれば「惜シクモ」「誤謬ニテ候」と朱で黒白がつけられる。そこで、後に妻となる「えん」に出会い、また問題を見てたちどころに回答する一蔑即答の人物、関和孝の存在を知る。
 

ある日、徳川家綱の後見人である幕府のブレーン会津藩主の保科正之(松本幸四郎)の命を受け、北極出地の旅に出ることになる。
北極出地とは全国各地をくまなく回り、各地の北極星の位置を測り、その地の緯度を正確に調べるというもの。一行には、隊長の武部伝内(笹野高史)、副隊長の伊藤重孝(岸部一徳)をはじめ、総勢14名。

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武部、伊藤、算哲の3人は、歩幅で距離を計っているため、大手を振って大股に歩く。それはまるで小学生の行進のようだ。3人の後ろには、子午線儀をのせた馬車が続く。北極出地に費やす期間は1年の予定であったところ、1年半の歳月がかかってしまった。

当時使われていた宣命暦は800年前からの中国唐時代のものであるため誤差が積もり、天の動きより2日先行していた。
日々の暮らしに直結する暦の狂いは、農耕の時期に狂いが生じ、月の大小や日の吉凶などが根拠なきものになる。幕府のみならず日本国の沽券に関わること。

原作によれば、当時〈ヨーロッパではコペルニクス(1473年~1543年)が没して百余年が経ち、ガリレオ(1564年~1642年)が地動説を実証し、教会から禁止さられながらもその正しさが認識された。さらにはニュートン(1642年~1727年)によって万有引力の法則が解明されんとしており、新たな宇宙観の萌芽となっている。〉という状況にあった。

算哲は、北極出地での業績を評価され、保科正之から新しい暦作り「改暦」を命じられる。
しかし本来なら、暦の管理は朝廷の聖域である。公家たちの妨害は壮絶なものとなることが予想された。

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算哲は同僚や師や関孝和(市川猿之助)などの友人たち、さらに算哲の妻になったえん(宮崎あおい)や、算哲の後見人として援助する水戸光圀(中井貴一)に支えられ、改暦に取り組んでいく。
算哲は天体観測と和漢のデータだけでは、暦の狂いを解決できない考え、光圀に助けを求める。
そこは、鎖国とはいえ世界に目を向けている新しい物好きの光圀だ。

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そして得た結論は、経度にして15度の差、中国と日本の緯度の差を見逃していたのだ。
算哲は、いかに優れた中国の暦であっても、日本で使うには補正を加えなければならないことを突き止めたのであった。
それは保科正之に北極出池を命じられてから、23年が経った算哲46歳の時であった。

おりしも、今年(2012年)のノーベル賞物理学賞は、極めて正確な光時計の原理につながる理論を発見したフランスとアメリカのふたりに送られた。光時計は宇宙誕生の137億年前から時を刻んだとしても、5秒しか狂わないという。
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