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2012年10月21日 (日)

『グッドナイト&グッドラック』

グッドナイト&グッドラック 通常版 [DVD]
Good Night, and Good Luck.
監督:ジョージ・クルーニー
脚本:ジョージ・クルーニー/グラント・ヘスロヴ
製作総指揮:マーク・バダン/・ソダーバーグ
製作国:アメリカ合衆国  2005年 93分 ★★★*

マッカーシズム(赤狩り)は、アメリカ史の汚点と言われている。
赤狩りは、1950年2月に共和党のジョセフ・マッカーシー上院議員が国務省内に205人の共産党員が入り込み、スパイのネットワークが作られているという、ショッキングな演説を行ったことから始まった。そして、共産党員、共産党シンパの摘発が、大々的に行われた。
背景にはソ連との核戦争に対する民衆の恐怖があったと言われている。
たとえ共産主義と関わりがなくとも、自分たちの意に沿わなければ、重箱の隅をつつくように、あることないことをでっち上げ、共産主義とかかわっているとして、職を追われ社会的に抹殺されるような風潮があった。
そうしたマッカーシー派の手法に疑問を抱いても、自分自身が標的にされることを恐れ、表だって批判できなかった。
しかし、赤狩りがエスカレートするにつれ、偽の「共産主義者リスト」が作られたり、事実の歪曲、自白の強要、協力者の告発や密告が奨励されるようになり、そうした強引な手法は次第に民衆の反感を買うようになった。

本作は、マッカーシズムが吹き荒れるなか、それが終焉をするきっかけを作ったCBSのドキュメンタリー番組「See it Now」の製作にかかわったエド・マロー(デヴィット・ストラザーン)やディレクター(ジョージ・クルーニー)達のおよそ1年間の及ぶ闘いを描いたものである。
登場人物や企業はすべて実在する。

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マローは、「See it Now」の番組で、ミシガン州空軍予備役の中尉が、父親と妹が共産主義者という内部告発で、空軍からの除隊勧告を受けたことを番組で取り上げ、公然と批判した。企業体としてのテレビ局の上層部は、政治権力と闘うことに難色を示すが、マローたちは引き下がらない。

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生放送の番組作りは真剣勝負だ。机の下に隠れたプロデューサーが、マローの脛に触れて番組のスタートを合図するユーモラスなシーンが何回か出てくる。緊張感の続く中で和むシーンだ。

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そうしたなか、マッカーシー上院議員(本人の実際の映像)が出演したCBSのテレビ番組の中で、マローをいかにも共産主義者のシンパであるかのようにでっち上げた。これに対してマローはひとつひとつ反論して、マッカーシーの嘘を暴いたのだった。

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そしてマローはこう結んだ。「私は成熟したアメリカ人なら、核爆弾や洗脳に頼らず共産主義者と渡り合えると信じています。われわれの信念や決意は彼らよりも強く、武力によらずとも勝てることを、思想によって打ち勝てると信じています」。
いつもタバコをくゆらせながら、静かな物腰の中に強靭な意志を感じさせるマローを演じたデヴィット・ストラザーンの演技は見事だ。

なお、タイトルの「Good Night, and Good Luck.」は、番組の最後で、マローが必ず口にするセリフ。
映画はドキュメンタリー風のクラシックな映像スタイルで、現実にあったことを淡々と映し出している。マッカーシーの演説などの肉声の映像がところどころに差し込まれれ、マッカシー陣営とマロー達の闘いの緊迫感が、ひしひしと伝わってくる。

マローたちが集うバーで歌うダイアン・リーブスの歌声が素晴らしい。
本作は、第78回(2005年)アカデミー賞では6部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞)にノミネートされた。
またサウンドトラック版でダイアン・リーヴスが第48回グラミー賞ベスト・ジャズ・ヴォーカル賞を受賞した。


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