チョコレート
ハンクは、息子の自殺と交通事故に遭った黒人の子どもの死を経験し考え方が変わる。黒人の子どもの母親レティシアを愛するようになり、父親が貫く南部の白人の男としての生き方に疑問を感じ、人間らしい生き方に目覚める。
![]() Monster's Ball 監督:マーク・フォースター 脚本:ミロ・アディカ/ウィル・ロコス 製作:リー・ダニエルズ 製作総指揮:マーク・ウルマン/マイケル・バーンズ/マイケル・パセオネック 製作国:アメリカ合衆国 2001年 111分 |
ジョージア州ジャクソン刑務所の看守ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)一家は、父親(ピーター・ボイル)、ハンク、息子のソニー(ヒース・レジャー)の3人ともに看守を仕事としてきた。父親もハンクも人種差別主義者、しかしソニーは母親似で優しい性格をしている。
南部の男といえば人種差別主義者で、男尊女卑のガチガチのマッチョというイメージが強い。父親はその典型、ハンクは父親に感化されて南部の男を演じているようなところがあるが、ソニーは優男だ。そんなソニーをハンクは嫌っている。
黒人の死刑囚ローレンスの刑執行が間近に迫り、妻レティシア(ハル・ベリー)と息子が、最後の面会に訪れた。息子は父親を描いた絵が学校新聞の表紙になると誇らしげに父に伝える。そうして面会が終わった。
死刑執行の日、ハンクが「イギリスでは、死刑執行前の看守たちの宴をMonster's Ballと呼ぶ」と薀蓄を披露し、看守たちはローレンスのために祈りを捧げるのだった。
その日、死刑執行に初めて携わったソニーはローレンスを監房から移動させる途中で吐いてしまう。ローレンスはハンクとソニーに「写真とは違って、似顔絵は心を描くことができる」と言いながら似顔絵を書き残した。フローレンスは妻への伝言をハンクに頼むのがハンクは断る。
刑が終わると、ハンクはソニーを罵倒しながら掴みかかった。死刑囚の最期のときを台無しにしたのは、看守として失格だというのだ。その夜、ソニーは「父さんが好きだった」言いながら、ハンクの目の前で銃で自殺する。
息子の自殺をきっかけに、ハンクは自分の人生を見つめ直すようになる。 ある雨の夜、レティシアと一緒に歩いていた息子が車にはねられる。そこに、たまたま車で通りかかったハンクはふたりを病院に運ぶが、少年はそのまま息をひきとる。短い間に夫と息子を亡くし、ひとりになったレティシアは悲嘆にくれる。
ハンクは初対面だったレティシアをアパートに送る。そのアパートには、「家賃を払わなければ、30日後に立ち退きを命ずる」との札が貼られていた。
死刑の方法は、絞首刑、電気椅子、静脈注射などがあるが、ジョージア州立刑務所は電気椅子である。レティシアの亡くなった息子を解剖することになる。それに対しレシティアは、「息子は黒人なのに警察は犯人を捕まえてくれるの?」と疑問を抱く。交通事故で黒人が亡くなっても、警察はまともに捜査しないという土地柄らしい。<
レティシアの勤めるカフェで、コーヒーとチョコレートアイスクリームを注文し、車が壊れたレティシアに家まで送ると言って、ふたりの交際が始まるのだった。
ある日ハンクは、刑務所を辞めてしまう。 そして退職金で、ガソリンスタンドを購入する。ハンクは、息子のピックアップトラックを、以前は嫌っていた黒人の整備士に整備を頼み、レティシアにプレゼントするのだった。
ハンクを訪ねて家にやってきたレティシアに、差別的な言葉を投げかけた父親に業を煮やし、ハンクは父親を施設に入れてしまう。もはや、ハンクには人種差別し女性蔑視する父親に我慢がならなくなっていた。
ハンクは自宅の壁を塗り替えて、ガソリンスタンドにレティシアと書いたネオンサインを取り付け、アパートを追い出されたレティシアを家に向かい入れるのだった。
そして、ハンクがチョコレートアイスクリームを買いに行っている間に、レティシアは夫が描いたハンクとソニーの似顔絵を発見し、ハンクが夫の最期を看取ったことを知るのだった。
父親に呪縛されていたハンクが「南部の白人男」を演じることから開放され、黒人のレティシアとの愛が育まれていく過程が丁寧に描かれている。
邦題の『チョコレート』は、ハンクの大好物チョコレートアイスクリームと黒人の肌の色からとったもの。
本作で、ハル・ベリーは有色人種初となるアカデミー賞主演女優賞を獲得した。→人気ブログランキング
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