私がクマにキレた理由
大学を卒業したアニーは、セレブ夫婦の住み込みベビーシッター(ナニー)になる。母親はエステと社会奉仕で忙しく子育て放棄、父親は仕事中毒、5歳の息子はわがまま放題だ。
アニーは、父親からはセクハラを受け、母親からは散々こき使われて、自由時間なし。おまけに恋路を邪魔されて、それでブチキレる。
私がクマにキレた理由 The Nanny Diaries 監督:シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ 脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ 製作:リチャード・N・グラッドスタイン 音楽:マーク・スオッゾ 製作国:アメリカ合衆国 2007年 106分 |
ナニー映画の傑作『サウンド・オブ・ミュージック』(65年)、『メリー・ポピンズ』(64年)へのオマージュの場面が盛り込まれている。ビルの屋上のシーンや傘を片手に空を飛ぶシーンがそれだ。
大学を卒業したばかりのアニー(スカーレット・ヨハンソン)は、セレブを夢見て20人募集のところ8000人が応募した、ゴールドマンサックス社の入社試験を受けるが、「あなたのしたいことは何?」の質問に答えられずあえなく不合格となる。
そんなアニーはひょんなことから、セレブの豪華マンションに住み込み、ナニーつまり子育て下受け業に就くことになった。
エステ通いと社会奉仕活動にうつつを抜かし子供の面倒をみない母親ミセスX(ローラ・リニー)、多忙な仕事にかまけて妻にも子供にも関心を示さない父親ミスターX(マーク・ジアマッティ)、そんな夫婦の5歳の息子グレイヤーは、当然のことながらわがまま放題。
最初はとりつく島のなかったグレイヤーだが、アニーの献身的なナニーぶりに、なついて心を開くようになる。
ところで、ポッチャリ体型でブランドとは縁のないラフな服装のスカーレット・ヨハンソン、背が高くスラリとして手入れが行き届き、一流ブランドを着こなす、いかにもセレブ風のローラ・リニー。どちらも、ぴったりの役柄だ。
アニーは予想外の量の雑用でてんてこ舞いの忙しさ。
ミスターXは、息子が「お受験」に失敗したのはミセスXのせいとなじり、ミセスXはアニーのせいだという。
そんななか、なんとかプライベートタイムを手に入れて、親友のリネット(アリシア・キーズ)と入ったバーで、X家と同じマンションに住むハーヴァード(クリス・エヴァンス)に出会う。はじめてX家を訪れたときに、前かがみになったアニーのGパンがずれ下がりパンツが丸見えになったところを、後ろから覗かれたあの忌々しい男だ。
ところがアニーとハーヴァードは親密になっていく。→人気ブログランキング
アニーが辛抱して仕事を辞めなかったのは、グレイヤーに愛情を感じていたことと、大学での専攻が人類学だったからではないか。鼻持ちならないセレブという部族(トライブ)の生態を、もう少し解明してやろうと思ったのだろう。
X家一家はアニーを伴って避暑地向かう。アニーは避暑どころか、グレイヤーに加えほかの家の子供達の面倒まで見る羽目になる。
ナニーを雇ったんだから、ハゲ頭のミスターXはちょっかい出さなきゃ損とばかりセクハラをするし、ミセスXはこき使わなきゃー損と雑用をこれでもかと言いつけ、挙句に解雇を言い渡す。
さらに、ミセスXがハーヴァードからの電話を取り次いがなかったことを知り、恋路までも邪魔するのかと怒り心頭に発する。かくしてマンハッタンのX家の留守宅に忍び込んだアニーは、子供部屋で監視カメラを内蔵したテディベアを発見する。そこでアニーはプチンとキレた。彼女はクマに向かって怒りを爆発させる。
そのビデオテープは、セレブママたちの「ナニーの操縦法」をテーマにした講習会の教材に使われ、意外にもママたちの共感を呼ぶのだった。
そして数ヶ月後、ミセスXと街で偶然出会ったアニーは、幸せそうなミセスXから「あんな男とは離婚をし、今は子育てに専念しているのよ。あなたのおかげで目が覚めたわ」と感謝の言葉をかけられるのだった。
これでアニーの苦労も報われた。
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