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2012年10月31日 (水)

眉山

東京の旅行代理店に勤める咲子(松嶋菜々子)は、知人の知らせで母親の龍子(宮本信子)が入院したことを知り、徳島に帰省する。主治医(永島敏行)の説明によると膵臓がんが肝臓と肺に転移していて、長くはもたないという。
Image_20201129083701眉山-びざん
監督:犬童一心
脚本:山室有紀子
原作:さだまさし
音楽:大島ミチル
主題歌:レミオロメン『蛍』
公開:日本  2007年  120分 

「神田のお龍」と呼ばれた龍子は、曲がったことが許せないたちの江戸っ子、お龍さんが怒ったら怒られている方が悪いと周りは言うくらいだ。
龍子は小料理屋をたたんでケアハウスに入居したときも、今回の入院も咲子には知らせなかった。咲子にすればなぜ知らせてくれないのかと思っている。
咲子は母親の付き添いをしているうちに若い小児科医(大沢たかお)と親しくなる。

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母娘の人間関係は、ややもすると互いに依存した関係になりがちで、それが原因で母娘間に問題が起こることがあると言われている。(→ 『母は娘の人生を支配する』なぜ「母殺し」は難しいのか
しかし、龍子がサバサバした男気質であったから、あるいは小料理屋が忙しくて娘に手を掛けていられなかったから、母娘はそれぞれがインディーな生活を送らなければならなかった。ふたりともベタベタするようなタイプではない。

咲子は龍子から父親は死んだと聞かされていたが、墓も遺骨もない。
そのことで龍子に詰め寄ると、主治医から知らされた病状を教えなかったことと、父親について嘘をついていたことでおあいこだと、龍子ははぐらかす。

咲子は自分の出自を知りたかった。龍子にすればそのことを知らせれば母娘の間に亀裂が入るような気がしたのかもしれない。この母娘の感情の機微が本作の重要なテーマである。この点をもっと掘り下げた方が良かったのではないか。

知人が咲子に龍子から預かったという風呂敷包みを渡した。そこには、父親と思われる人物からの龍子へのラブレターと咲子の誕生日ごとに送られてきた現金書留の封筒が入っていた。さらに、眉山を背景に撮った若き日の龍子と父親のスナップ写真が入っていた。父親には妻がいて、龍子は引き下がらざるを得なかったのだという。
このあと、咲子は手紙に書かれている東京本郷の住所を訪ねる。

咲子は父(夏八木勲)の診療所に患者を装って受診する。
ふたりは娘とも父とも名乗り出せないまま、咲子が「徳島の祭にお出でください」と言い残して、診療所をあとにするのだった。

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龍子は毎年楽しみにしている阿波踊りを見たいと言い出した。
主治医の制止に対し、「阿波踊りを見にいかなければ良くなるのですか?」と咲子は反論して、龍子を連れ出すのであった。
阿波踊りの桟敷席には父親が現れる。
という当たり障りのないベタなストーリーだ。

その2年後。
龍子は献体に登録していた。
献体とは医学生の解剖実習に遺体を提供することである。それゆえ、家族の元に遺体が戻ってくるのは、解剖実習が終わってからになり、死後半年から2年くらいかかる。そして、献体を登録した人は、学生に対して一言書き残すことができる。
龍子が書いたのは、「咲子は私の宝でした」であった。→人気ブログランキング

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