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2012年10月12日 (金)

武士の家計簿

幕末から明治にかけて、加賀藩の下級武士、会計処理の役人「御算用者」の三代に渡る物語。
武士が武芸に秀でていても食べていけない世にあって、算術を身につけていれば、なんとか生きる術がある。当時、加賀藩には150名の御算用者がいたとのこと。
Photo_20201207082701武士の家計簿 
監督:森田芳光
脚本:柏田道夫
原作:『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』磯田道史 新潮新書
音楽:大島ミチル
主題歌:Manami「遠い記憶」
公開:2010年

代々猪山家は、加賀藩の会計のエキスパートとして務めてきた。

猪山家八代目の直之(堺雅人)は「そろばん侍」とあだ名されるくらい、そろばんの腕がたつ。父信之(中村雅俊)とともに、御用算者としてその能力を高く評価されている。

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直之は間違いをそのままにしておけないタイプ。
彼は米台帳に間違いを見つけ上司に報告するが、詮索するな言われる。そこで引き下がれる性分でない直之は、密かに過去の米台帳を調べると、領民への救済米と称して米が横流しされていることを突き止める。
上司たちは不正が公になることを恐れ、直之に輪島への転勤を命じる。ところが、藩がその不正を知るところとなり、関係者は処罰され、直之の左遷は取りやめとなり、異例の昇進をするのだった。

ここで、猪山家の年収が気になる。
直之の出世で、100石から180石になった。
180石は、大雑把に計算すると、1石が1両、1両が4~5万円とすると、7200万~900万円となる。多いんだか少ないんだか。。

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そんな直之はある日、町同心・西永与三八(西村雅彦)を父にもつお駒(仲間由紀恵)と結婚をする。
披露の宴会は世間様に恥ずかしくないようにと背伸びをした。
武家社会には、出世するにつれて冠婚葬祭をはじめとする交際費が増え借金をせざるを得ないという構造的な問題があった。猪山家もご多分に漏れず、収入に見合わない借金を抱えていた。

倹約生活に入る前は意外と贅沢な暮らしをしていたように思える。
武士の体面を保つために交際費がかさむというのは、武士がいかに見栄を張って生きているかということだ。
猪山家の借財は、父信行が江戸詰の生活のときに嵩んだとなっている。

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そんな折、息子の直吉4歳の「着袴(きばかま)の祝い」を前に、直之は家計が窮地に追い込まれていることを知る。直之はお駒と知恵を絞り、祝膳に欠かせない「鯛のお頭」の代わりに、鯛の絵を書いて膳にそえたのだった。

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家族は一丸となって借金を返済することに腹をくくり、余分な家財道具を処分することを決める。
着物はひとり3着として、父親の書画骨董、母親(松坂慶子)の着物、祖母(草笛光子)の茶道具などの贅沢品はすべて売り払うことにした。
そして、猪山家の入払帳(家計簿)が直之の手で細かくつけられることになった。
新婚のころ、同僚に羨ましがられた弁当は、今や雑穀に漬物それにサツマイモと、同僚が哀むほど質素なものになった。
そんな生活のなか、直之は4歳の直吉に家計簿をつけるよう命じ、徹底的にそろばんを教える。

時は幕末となり、父の英才教育のおかげもあって、直吉は父と同じく算用場に見習いとして入る。
時代の荒波のなか、直吉は成之(伊藤祐輝)と改め、生き方を模索していた。しかし、父の平時と変わらない泰然とした様子がもどかしく思え、成之は父に激しくぶつかるのだった。

その後、成之は京都に出向き、そこで新政府軍の大村益次郎にそろばんの腕を見込まれ、軍務官会計方に入り、新政府軍の財政を支える。しかし、大村が暗殺された事件で加賀出身の者も殺されたと伝えられ、息子の安否を気遣う直之とお駒は不安に苛まれるのだった。
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その後、成之は兵部省会計少佑海軍掛を経て大日本帝国海軍の主計官となり、海軍主計大監に昇進して、呉鎮守府会計監督部長と大出世を遂げている。→人気ブログランキング

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