モンスター
実在した女性のシリアルキラー、アイリーン・ウォーノスをモデルにした映画。
アメリカ・フロリダ州で7人の男性を殺害した彼女は、死刑判決を受け12年間服役した後、2002年に刑が執行された。
本作でアイリーンの過去は、8歳の時以来、父親の親友にレイプされ続け、父親に訴えるがとりあってくれない。
父親は彼女が13歳の時に自殺する。
![]() 監督:パティ・ジェンキンス 脚本:パティ・ジェンキンス 製作:クラーク・ピーターソン/シャーリーズ・セロン/マーク・デーモン/ドナルド・カシュナー/ブラッド・ワイマン 音楽:BT 製作国:アメリカ合衆国 ドイツ 2003年 109 |
アイリーン役を演じたシャーリーズ・セロンは本作のために、13キロ体重を増やしたという。メークアップには2時間近くかけ、顔は荒れて吹き出物だらけ、歯並びは乱れ、腹と尻は垂れ下がり、その迫力たるやプロレスラーといっても通用しそうな面構えと体型である。
美人の誉高いセロンとはまったく別人に変身した迫真の演技で、アカデミー賞主演女優賞を獲得した。
1986年、フロリダ。娼婦のアイリーンは、5ドルの所持金しかなく自殺しようと考えていた。
土砂降りの雨に濡れて飛び込んだバーで、タオルを貸せとアイリーンが怒鳴る。ただじゃー貸さないとカウンターの向こうの店員が言う。
そこに近寄ってきたのは、猫のような目をした同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)。こうしてふたりは運命的な出会いを果たす。
ヒッチハイクをしながら客をとる娼婦の仕事に疲れ果て、生きる希望を失っていたアイリーンにとって、セルビーに出会ったことで生きる望みが生まれた。
しかし、アイリーンはふたりの生活費を稼ぐために客をとるが、客から暴行を受け殺してしまう。
彼女は奪った車で、セルビーを誘って町から逃げ出すことにする。彼女が殺人を犯したきっかけはセルビーとの愛をまっとうすることであった。
セルビーと会ったことを機会に、アイリーンは娼婦から足を洗ってまっとうな仕事に就こうと、堅気の仕事を探し回る。
リクルートスーツに身を包み面接を受けるが、13歳から娼婦になったアイリーに常識があるはずもなく、仕事に就くことはできない。
アイリーンは再び客をとり、客を殺して手に入れた金でセルビーを喜ばせる。
アイリーンにすれば、自分が娼婦になったのは生きるために仕方のなかったこと。娼婦を買うような男はろくな男じゃない。殺したところでどうということはないと考えるようになる。
アイリーンとセルビーは互いに依存し合っていた。
アイリーンは生きがいをひたすらセルビーに求め、セルビーは金銭的にアイリーンに依存していた。
この関係が長く続くはずもなく、アイリーンが殺人犯として捕まると、セルビーは目が覚めたかのように警察に協力的に振る舞うのだった。
シャーリーズ・セロンは、南アフリカ共和国で道路建設会社を経営していた家に生まれた。アルコール依存症の父親からの家庭内暴力で、一家は悩まされていた。セロンが15歳のとき、酔った父親が暴力を振るい、娘の命の危険を感じた母親が父親を射殺する事件が起こった。母親の正当防衛が認められたものの、セロンの心に負った傷は大きい。
そうした過去はアイリーの生い立ちと重なるところがある。→人気ブログランキング
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