バーレスク
アリ(クリスティーナ・アギレラ)のパンチの効いた伸びのある歌声と円熟したテス(シェール)の渋いバラードは、聞き応えあり、歌と踊りだけでも十分に楽しめる映画だ。
筋をかいつまんで書くと、才能豊かな田舎娘のアリが都会に出てきて、夢を実現しようと孤軍奮闘する。アリの歌声と踊りは、人々を魅了する。スターダムにのし上がろうとするアリに、野心家の金持ち男が近寄ってくる。アリが心を奪われると思いきや、自分を認めて寛大に見守ってくれたバークレイに関わる人たちのことを、アリは忘れなかった。
![]() Burlesque 監督:スティーヴ・アンティン 脚本:スティーヴ・アンティン 製作:ドナルド・デ・ライン 製作総指揮:ダナ・ベルカストロ/ステイシー・クレイマー/グレン・S・ゲイナー 音楽:クリストフ・ベック 製作国:アメリカ合衆国 2010年 119分 |
アイオワの田舎のバーで働くアリは、一旗あげようとサンフランシスコに出て行く。その前に、アリが無人の店で一曲歌う。その歌声を聞いて、彼女は田舎でくすぶっているような人間ではないと、映画を見ている者は確信する。
サンフランシスコの安ホテルにたどり着いたアリは、早速、大人のためのショークラブ、バーレスクに向かう。そこで繰り広げられるショーを見て、アリはステージに上がることを願うのだった。そこで、彼女は勝手にウエートレスの仕事を手伝って、そのまま居ついてしまう。
ある日アリが泊まっているホテルの部屋に泥棒が入り、金目の物がすべて盗まれてしまう。アリはバーテンのジャック(キャム・ギガンデット)のアパートに転がり込むが、そのあとも、アパートから出ていくチャンスを逃しルームメイトとして暮らすようになる。ジャックには、ニューヨークに婚約者のナタリーがいる。
かつて繁盛していたバーレスクは経営難に陥っている。オーナーのテスは、舞台監督のショーン(スタンリー・トォツチ)とともにバーレスクを再建しようとするが、経営は悪化するばかりだ。バーレスクを買い取って、大西洋が見える高層ビルを建てて一儲けしようと企んでいるマーカス(エリック・デイン)は、テスにバーレスクを売却するように迫っていた。
そんなある日アリにチャンスが巡ってくる。テスの指示で問題児のニッキ(クリスティン・ベル)の代わりに歌うことになった。怒ったニッキはショーの最中にマイクのジャックを抜いてしまう。しかし、とっさにアリがアカペラを披露すると、歌声はホールに響き渡り、客たちは拍手喝采するのだった。アリの迫力ある歌声で、バーレスクは連日満員の大盛況で賑うようになったった。しかしその程度では、バーレスクの借金には焼け石に水。
アリは、甘い言葉をかけてきたマーカスから、不動産の空中権について教えてもらったことを思い出した。バーレスクの向かいにある高層マンションのオーナーにテスを連れて会いに行き、二人はオーナーにバーレスクの土地の空中権を売ることを持ちかけた。空中権がなければマーカスは、バーレスクの跡地に高層ビルを建てられない。一方、オーナーとしては、目の前に高層ビルが建てば、高所からの絶景を売り物にしていたマンションの価値がなくなるため、オーナーは高額で空中権を購入してくれることになった。そうしてテスは借金を完済しバーレスクは救われた。
ジャックはナタリーと別れアリと結ばれる。そしてジャックが作曲した歌を、アリは高らかに歌うのだった。
こうしたストーリーの中に、アリの歌やバックダンサーたちとの踊りがそこかしこに挟み込まれ、わくわくする。決め所で歌うテスの歌声にも聞き惚れてしまう。エンターテーメント満載の映画だ。→人気ブログランキング
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