マドモアゼル
年増女が、己の歪んだ欲望を満たすために村に甚大な被害を与え、おまけに一人の男が殺されるように仕向け、やることはやったからと村を去っていく物語。まさに魔女の話。
![]() Summer Fire 監督:トニー・リチャードソン 脚本:ジャン・ジュネ 製作:オスカー・リュウェンスティン 製作国:イギリス 1966年 |
ハイヒールを履き着飾った年増の女(ジャンヌ・モロー)が用水溝の堰を開けようとしている。村を水浸しにするつもりだ。悪戦苦闘の末、堰が開き水は村をめがけて勢いよく流れはじめる。
村は洪水となり家畜たちが溺れ、それを助けるために村人たちはてんやわんやとなる。勇敢に家畜を救い大活躍したのは、イタリア人のマヌー(エットレ・マンニ)。彼は、同僚と息子と連れて森の木を切る出稼ぎにきているのだ。
その女は、2年前にパリから派遣されて村の学校の教師として働いている。村の人々からは、マドモアゼルと呼ばれ尊敬を集めている。
村ではすでに2件の放火事件が起こっていて、男たちはマヌーの仕業にではないかと噂しているが、女たちはハンサムでセクシーなマヌーそんなことをするはずがないと思おうとしている。
マドモアゼルはマヌーの息子ブルーノにことのほか厳しく、精神的な虐待を加えてると言ってもいいくらいの接し方である。にもかかわらず、ブルーノはマドモアゼルを慕っている。
そんななか、放火事件がまたもや起こり、ブルーノは燃えかすのノートの切れ端からマドモアゼルが犯人と知ってしまう。
やがて、家畜のための貯水槽にヒ素が混入され、家畜が全滅する事件が起こる。村人たちはマヌーの仕業と断定して、マヌーを逮捕することを警察に申し出るのだが、証拠がないため警察は腰をあげることができない。
そうしたなか、いよいよマドモアゼルの欲情の炎は燃え盛り、ついに森のなかに入って行ってマヌーを誘惑する。ふたりは、翌朝まで愛欲に溺れるのだった。
朝になって、マドモアゼルは破れて泥にのついた衣服のまま村に帰ってきた。村人たちはマドモアゼルを見て、「マヌーやられたのか?」と訊ねると、マドモアゼルは「ウィ」と答えるのだった。悪女だ。
そしてマヌーは村人のリンチでなぶり殺され、遺体はいずこかに埋められる。
夏がすぎる頃、マドモアゼルは惜しまれながら村を去ろうとしていた。だが、彼女の正体を知っているブルーノは、去って行く車にツバを吐きかけるのだった。
単刀直入でわかりやすい表現。持って回ったようなところは微塵もない。
チェーンソーの音、川の流れや小鳥のさえずり、虫の音、家畜の鳴声などが、BGMがない分鮮明に聞こえ、シンプルなストーリー展開にメリハリが生まれる。→人気ブログランキング
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