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2012年11月16日 (金)

ゴールデン・スランバー

首相の暗殺犯人に仕立て上げられた男が、杜の都仙台市で繰り広げる逃走劇。
序盤から多くの伏線がはられ、マクガフィンがばら撒かれていて、緻密に構成されている。
大学時代のエピソードが差し込まれ、それが伏線となっている。

Photo_20201222082201ゴールデンスランバー
Golden Slumber
監督:中村義洋
脚本:中村義洋/林民夫/鈴木謙一
音楽:斉藤和義
主題歌:斉藤和義『Golden Slumbers』『幸福な朝食 退屈な夕食』
製作国:日本 2010年 140分

大学時代の友人から釣りに誘われた青柳(堺雅人)は、仙台市の待ち合わせ場所に現れる。呼び出した森田(吉岡秀隆)は、青柳を定禅寺通の近くに停めた車に乗せる。
正午すぎに、郷土が生んだ金田首相が定禅寺通りをオープンカーで凱旋パレードをすることになっている。
青柳は、パレードの頃に、車の中で目が覚めた。森田が勧めたペットボトルの中に睡眠薬が入っていたのだ。
これがゴールデン・スランバー、黄金のまどろみ。
青柳役は堺雅人がぴったりだ。堺の笑っているのか泣いているのかわからない情けなさそうな不思議な目元が、ゴールデン・スランバーにぴたりとくる。

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森田の妻がパチンコにはまり借金を重ね、どうしようもなくなったところに、この話がきたという。
話とは、青柳を連れ出して車に乗せろというもの。「オズワルドにされるぞ」と森田は言う。オズワルドとは、ケネディー暗殺事件で犯人にでっち上げられ、移送の途中で殺された男のこと。

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やがて、大きな爆発音がとどろき、金田首相が爆弾テロで殺される。そうこうしていると、警察官ふたりが青柳たちの乗る車に近づいてきて、森田は青柳に「逃げろ、どこまでも逃げろ」という。青柳が車から出たところで、警官が青柳に向かって発砲した。そして、森田もろとも車が爆発した。こうして、青柳の逃亡劇が始まる。

事件後まもなく、警察サイド(香川照之)は、記者会見を開き、それがテレビで放映される。防犯カメラに映っている青柳を容疑者として指名手配すると、強気の発表した。
手際がよすぎる。事件前から青柳が犯人と決まっていなければ、このような迅速な対応はできない。

犯人は、ラジコンヘリに爆弾をしかけ、無線により爆発させたという。
青柳がラジコン売り場をうろつく映像、公園でラジコンの操作の練習をしている映像、ビルの屋上でのラジコンを操縦する映像が公開された。青柳にはまったく身に覚えのないことばかりである。

2カ月前に、青柳は暴漢に襲われたアイドルの凛香(貫地谷しほり)を助けたことで、メディアに何回も登場して「時の人」となっていた。その映像も流される。
金田首相を好ましいと思わなかい闇の力が、美容整形で作られた青柳の替え玉を防犯カメラで撮影し、青柳を首相暗殺の実行犯にしたてあげたのだ。

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青柳が容疑者として指名手配されたにもかかわらず、大学時代の恋人(竹内結子)も友人(劇団ひとり)も、大学時代のバイト先の花火屋(ベンガル)も、両親(伊東四朗、木内みどり)も、アイドルの凛香も、青柳が犯人とは信じていないところが青柳にとって唯一の救いだ
しかし、警察の執拗な追跡に次第に追い詰められていく青柳は逮捕される前に、テレビに映り犯人でないことを訴えようと計画するのだった。

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物語のはじめに、デパートのエレベーターの中で、晴子一家と乗り合わせた帽子を目深にかぶった男は、エレベーターのボタンを親指の腹で押した。青柳にはエレベーターのボタンを親指の腹で押す癖があった。
物語の最後ではその場面が繰り返され、晴子の4歳の娘が、男の手に「はなまる」のスタンプを押す。
主人公の青柳と晴子が恋人同士だった頃、晴子が「このまま一緒にいると、はなまるの人生ではなくなってしまう」と別れを切り出したのだった。
マンホールから花火が次々上がるというような現実離れした設定がいくつかあって、足を引っ張っているのは否めない。→人気ブログランキング

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