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2012年11月 6日 (火)

フラガール

石炭から石油へと世界のエネルギー需要が変わりつつあった昭和40年、日本各地の炭鉱は閉山の運命にあった。東京オリンピックの翌年、まさに日本は高度成長期を迎えようとしていた頃である。
そんなおり、常磐炭鉱の採掘会社は生き残りをかけ雇用を創出するために、温泉を利用した「常磐ハワイアンセンター」を建設することになった。
Photo_20201207135401フラガール
Hula Girl
監督:李相日
脚本:李相日/羽原大介
製作:李鳳宇/河合洋/細野義朗
音楽:ジェイク・シマブクロ
製作国:日本  2006年  120分 

町には「なにがハワイだ」という反対意見がある。
現状を打破し「ハワイ」を成功させようとする者と、あくまで炭鉱にしがみつく者に、町は二分される。
男は炭鉱夫、女は選炭婦として働くのが当たり前の土地柄。紀美子(蒼井優)の母親・千代(富司純子)も兄(豊川悦司)も、炭鉱で働いている。父親は落盤事故で亡くなった。千代は「ハワイ」に大反対だ。

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フラダンサー募集の説明会に集まったのは、募集の張り紙を紀美子に見せた早苗(徳永えり)、紀美子、炭鉱会社の事務員で子持ちの初子、大柄な小百合(山崎静代)のたった4人だけだ。

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そんな娘たちにダンスを教えるのは、吉本部長(岸部一徳)が東京から招いたSKD出身のダンサー平山まどか先生(松雪泰子)。
まどかは、カラフルなファションに身を包み、ビールの小瓶を片手に稽古場に到着するなり、飲み過ぎで吐いてしまうという体たらく、脛にキズを持つワケアリの女だ。
そして、4人を目の前にして、あまりのど素人ぶりに愕然とするのだった。
まどかは母親の借金を背負い借金取りに追われ、酒でも飲まないとやってられない自暴自棄の心境にあった。
そんな先生と生徒たちの練習の日々が始まる。
やがて、必死に踊りを練習する貴美子たちの姿に心打たれ、「おら、ケツ振れねえ」「おらの体、見世物じゃねえ」などと言っていた娘たちも、踊り子に志願するようになる。まどかもなんとかしようと、本気で教えるようになる。

ある日、母親の千代が稽古場にいくと、そこには一人でもくもくと練習する貴美子がいた。千代はその踊りに見とれるのだった。
このシーンどこかで見たことがある、『リトルダンサー』(2001年 スティーヴン・ダルトリー)だ。
状況もそっくり、ストライキで揺れるイギリスの炭鉱町、踊る息子を父親が見て踊りの才能を認めるシーン。それまで息子が踊りを習うことに、父親は大反対だった。

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数々の困難を乗り越えて、いよいよ常磐ハワイアンセンターのオープンの日を迎える。
見せ場は、本番でのフラガールたちの息の合った踊り。見事な踊りに大歓声が湧く。
ひときわ目を引くのは蒼井優のソロの踊りである。

古いしがらみと闘いながら、新しいことを始めようとする者たちの奮闘ぶりを描くありがちなパターンだが、笑いあり涙あり感動ありのストーリーは見応え充分。出演者たちの福島弁も、ジェイク・シマブクロのウクレレも、いい味が出ている。
あの頃「なんで、福島にハワイなんだ」と、日本中が思ったのではないだろうか。しかし、その強引な発想には先見の明があったのだ。→人気ブログランキング

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